アダマン号に乗ってのレビュー・感想・評価
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タイトルなし
アダマン号、航行するのかと思ってたら係留してあった(大阪で言えば淀屋橋のかき広形式)。とはいえ、川の流れと広々とした景色と降り注ぐ太陽と、すごく居心地が良さそうな空間だった。
生命という大きなものへの愛と、個々の人間の粒立ちやそれへの信頼が感じられて、見ていてとても心地よい。登場人物みな印象的だが、新入りを念入りに確認せし者の存在感と、“前髪垂らして唇分厚く鳩みたい”の話が印象的。
毎日接していると…というのも分かるのだが、毎日接しているからこそこういう感覚を忘れずにいたい。
べてるの家関係とか森田療法関係の映像に近く、あとは『ゆめパのじかん』とかも思い出した。
世界で一番やさしい空間
オンライン試写の機会をいただけたので視聴。ドキュメンタリーはきっかけがないとなかなか観ることがないのですが、今作に出会えて本当によかったです。
精神疾患の患者が受ける、偏見、奇異の眼、人格、人権の否定、こういうことが世界共通であること、アダマン号は唯一一人の人間として存在できる場所というのがよく伝わってきました。
後半に、一人の利用者が「自分もワークショップを開催したい。資格がないと難しいかもしれないけど、私には人に教えられるだけの知識と経験がある。スタッフはそれをわかってくれない。」という主張をするシーンがありました。それに対してスタッフが、だめだと言っているわけじゃない、自分たちは対応や決定に時間がかかったり慎重なことがあるかもしれないけど、それは今後の課題だよね。このことは話し合っていこう。と答えるこのやりとりが1番強く印象に残っています。
今まできっとずっと否定され傷ついてきたであろう彼女に対して、しっかり向き合って対話している、これがアダマン号のあり方だなというのがよくわかる1シーンでした。
マイナス要素はありませんが、取り立てて言うならあまりにずっとやさしい時間が流れているのでちょっと眠たくなるくらいです笑
(オンライン試写会はネタバレがなくても便宜上のネタバレ扱い)
今年116本目(合計767本目/今月(2023年4月度)11本目)。
入れ替わりになりますが、先日12日、fanvoiceさまのご厚意で先行オンライン試写会でみました。
テーマとしてはやや重めの、「精神疾患を持つ方にどのように接するべきか」という、その中でもいわゆる「デイケアセンター」に焦点がある映画です。
タイトル通りこの「デイケアセンター」は船舶であり、日本とフランスを比較すると行政法規の違いがあるため(日本は概して厳しい)一概に語りづらいものはあるものの、その言わんとすることは日仏同じであり、日本では行政法規の関係で船舶内での取り組み事案はないかごく少数であるものの、一般のデイケアセンターでは同趣旨のものはいくつかあります。その限りにおいて「船舶か船舶でないか」という点はあまり問題ではありません。
ただ、日仏で大きく違うのは、特に精神疾患をお持ちの方に対するいわゆる「デイケアセンター」に対する一般市民への考え方(もし何かトラブルになったらどうしよう…)というもので、フランスではあまり反対運動は起きないようですが、日本ではこの反対運動はそこそこ見られます。また、日本では3障害(身体・知的・精神)の中でも、知的・精神を両方受け持つ場合がある(もっぱら、センターの集約化という理由による)のに対し、フランスは個々個別に「疾患に合わせて復帰センター等がきめ細かく整備されている」点については、映画および、オンライン試写会後のミニトークショーでも触れられていたことであり(詳細はネタバレになるので回避)、この点についても日仏の福祉の違いはかなり現れます。
映画「それ自体」は架空のお話ですが、日仏ともに特に精神疾患をお持ちの方に対するデイケアセンター等の論点があることは周知の事実であり、本映画はこれをフランス側から描いた作品になりますが、日本の一般的な福祉論(一般常識レベル)と対比させたとき、福祉先進国と言いうるフランスでどのような考え方、取り組み方がされているのか、あるいは、一般市民がこうした施設に対してどのような考え方を持っているのか、という「日仏の違い」について論じられていた(ただし、この映画はドキュメンタリー映画ではないので、そこはその論点があることに気が付く必要がある)点については好印象です。
特に減点対象にするまでも見当たらないのでフルスコアにしています。
正規の公開日には対抗以上になると思います(特に、福祉にかかわりたいなと思っている方など)。
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