「【”縁ーイニョンー”初恋の相手は忘れられないモノ。今作は8000層もの”縁”は結ばれず結婚は出来なかったが、幼き時別れてから24年間の男女の生き方及び漸くの出会いと別れを描いた素敵な恋物語である。】」パスト ライブス 再会 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”縁ーイニョンー”初恋の相手は忘れられないモノ。今作は8000層もの”縁”は結ばれず結婚は出来なかったが、幼き時別れてから24年間の男女の生き方及び漸くの出会いと別れを描いた素敵な恋物語である。】
ー 冒頭、バーのカウンターで二人のアジア人男女と一人の白人男性が飲んでいる。
それを見ていた男達が、”アジア人だけ二人で喋っていて、白人は黙ったままだ。”と会話するシーンから物語は始まる。男達の姿は映されない。印象的なファーストショットであり、ラストに繋がる巧い作品構成である。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・物語は、ナヨン(グレタ・リー)とヘソン(ユ・テオ)が12歳の時から始まる。二人はお互いに好きになるが、ナヨンの父の仕事の関係でカナダのトロントに移住してしまう。
そして、ナヨンは名前をノラと変える。
ー 親の転勤で初恋の子と別れてしまう。初恋が実らない、あるあるである。ー
・ヘソンは大学に入り、兵役も経験するがナヨン(ノラ)の事が忘れられない。そして、24歳の時にヘソンはFacebookで、一人ニューヨークで作家として生計を立てつつあるナヨン(ノラ)を漸く見つけ、ビデオチャットで12年振りに会話を交わす。
ー 成長二人は”面影があるね。”と懐かしそうに会話しつつ、ヘソンは名残惜しそうに、”大学があるから・・。”と席を立つ。脳内で”何やってんだ!”と突っ込みつつ、ナヨン(ノラ)がソウル行きの便を検索している姿を見て、”このまま行くのか!”と期待する。
が、何故か二人は相手に会いに行く行動を起こさない・・。-
・その後、米国人の作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚したナヨン(ノラ)。それを知ったヘソンはナヨン(ノラ)への想いを振り切るために、漸く会いに行く。
ー ”全くもう‼ヘソン、行動が遅いんだよ!”と思いつつ、二人がマディソン・スクエアーパークで24年振りに直接対面するシーンを見て、ヘソンの”あの時、何故・・。”と言う後悔と、そんな彼に”自分で選んだ人生なの。”と伝えようとするノラの心も垣間見える様に感じる。
そして、二人が相手の身体を抱きしめるシーンは、少し沁みる。-
■一番心に沁みたシーン
・ナヨン(ノラ)が、韓国へ帰るヘソンをウーバーまで送ってから、家の前で待っていたアーサーに抱き付いて、泣くシーンである。
序でに言えば、アーサーは実に懐の深い良い男である、と思う。
<今作は、ナヨン(ノラ)とヘソン、そしてアーサーも含めた3人の心の葛藤を、最小の台詞で描くことで、縁が織り成す3人の人生が浮かび上がる作品である。>
<2024年5月12日 刈谷日劇にて鑑賞>