「大切な人を傷つけないために」ミツバチと私 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
大切な人を傷つけないために
映画の途中で、「クラスに女性器のある男子がいるよ」というセリフがサラッと出てくる。こういう言葉が、何の気負いもなく出てくるというのは、彼女をはじめとして、そのクラスやその学校では、そのクラスメイトの男子を当たり前のこととして認知しているということだ。
どの学校もそうであるべきなのは間違いないし、日本でも、きっとこうした対応が当たり前になっている学校もいくつもあることだろう。
ただし、もしそういう方向になっていないとしたら、どこに理由があって、何を変えていけばよいのか。そんなことを考えさせられた映画だった。
私自身も、4才の孫(男)がピンクの靴を好んで履いていたことがあって、「この子の性自認はどうなんだろう?」と、正直ドギマギした経験がある。
ドギマギする時点で、私自身の中に無自覚だった偏見が潜んでいた訳で、それに気づいたときは結構ショックを受けた。
映画に出てくる父や祖母が語る「甘やかし」という捉え方は論外だよなと断じている私自身だって、生身は偏見だらけなのだ。
偏見は、生活していると自然と形作られてしまう部分があるが、逆に人権感覚は、何もせずには絶対身にはつかない。大切な人を傷つけないために、知ること、気づくこと、考えることを通してずっと学び続けたいと思っている。
ところで話は全く変わるが、大学時代、私も、主人公の母親のように、蜜蝋を使った蝋型鋳造に取り組んでいたので、強烈に懐かしかった。
画面の向こうから、蜜蝋の溶ける匂いが漂ってくるような思いがして、きょうだいみんなで作品を作るあの工房のシーンは、自分にとってはめっちゃリアルで、いいシーンだった。
sow_miyaさん
〉偏見は、生活していると自然に形作られてしまう部分があるが、逆に、人権感覚は、何もせずには絶対身にはつかない。
(sow_miyaさんの言葉)
コメントありがとうございました。
レビューを読ませていただき、さらにいろいろなことを考えさせていただきました。
本当に、人間ってなんなんでしょう。
どう生きることが正しいことなんでしょう。
たくさんのこと、考えさせられた映画でした。
コメントありがとうございました。
くどい文章でまったく申し訳なかったです(笑)
もっと長文の返信は、拙レビューのほうに記しました。
きりん
こちらこそ、フォローとコメントありがとうございます! 短期間にたくさんご覧になって、それぞれに的確な感想をアップされていて、自分でも観た映画のだけ拝見しましたが、いずれも素晴らしかったです。
ソフィアちゃんの件は僕の勘違いでしょうね。というか、パンフを見ても、ココちゃんのような「心が女の子」の人も含めて「彼女」「女性」表記で統一されているので、よくわからなくて(笑)。「性的少数者役を性別の異なる人」がやる問題とかもあって、注釈なしで女の子にやらせたりしないだろうと勝手に思いこんでしまいました。ただ、ソフィアちゃんが正真正銘の女の子だったとしても、ケアすべき問題は似た形でたくさんあるような。りゅうちぇるさんの件以降、こちらもちょっと敏感になりすぎている気もしますが……。
偏見との戦い(自分との戦いです)に最初から完ぺきな人はいないでしょう。色々な見聞きをして少しづつ自分の中の見識をシャープにしていくのだと思ってます。この映画を観たことも材料の一つになるんじゃないでしょうか。
蜜蝋の匂いの話、羨ましいです。自分はあまり映画の中で匂いを思い起こしたことがないのです。普通、あまり映画を観ることでは動員されない嗅覚がここで発揮されるなんて良い人生経験をされてますね。