「模倣のなかから。」ミツバチと私 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
模倣のなかから。
2023年。エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督。スペインとフランスにまたがるバスク地方。8歳の少年は自身が男の子だということを認められずに戸惑っていた。夏休みで母の実家に帰省すると、混乱はさらに増していき、という話。親戚のおばさんが養蜂家で、家族から逃れるようにしてそのおばさんに近づくのだが、ミツバチが特別に意味を持っているわけではない。主人公をめぐるさまざまな視線や人間関係が描かれている。
性的マイノリティとしての目ざめがいかに微妙なものであるかが描かれるが、最終的に、居なくなってしまうよりはなんでもいいから生きていてほしいという取引的状況において、相対的に、周囲の認知が進むように見える。本人は微妙なままなのだが。
まだ幼い少年が周囲に問いを投げかけ続けること、その言動が基本的に周囲に影響された模倣的言動であることが強調されている。人は模倣のなかから自分自身を見出していくのだということだろう。
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