「じわじわと面白い!!」ザ・キラー Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
じわじわと面白い!!
殺し屋版の“孤独のグルメ”だ。
長いモノローグ。大げさなリアクションは一切無し。やけに丁寧な描写。シンプルなストーリー。
孤独のグルメの魅力は、松重さんの魅力にのせて、ウンチクなんぞ語らず、日常の食事を一個人の主観で楽しませてくれるところだ。
本作も同じ。マイケル・ファスベンダーの魅力的な殺し屋が、ルーティンを唱えながら、大義なんぞ語らず淡々と仕事をしているのが楽しい。
復讐劇という大義があるようで、結局はクライアント(我々の貨幣を牛耳るファンドマネージャー)に自分をアピールする俗っぽさには笑った。所詮ビジネス。
マクドナルド、アマゾン、スタバといったグローバル企業にしっかり絡め取られており、そういった描写にも「グローバル」「自由主義」ビジネスのダサさがにじんでいる。その点では、“ファイトクラブ”の精神的続編のようだった。
消費社会の奴隷から脱皮し真の自由を獲得しようとした“ファイトクラブ”から24年。資本主義の成れの果ての現代、これからはグローバルよりローカルな場所で愛する人と静かに暮らせばいいんじゃない?
と、ラストを勝手に解釈しました。
ほんと、かつての“世界を股にかけた殺し屋”ならば巨悪を倒してくれたでしょうね。
本作は、世界を股にかけた殺し屋=グローバルが当たり前の現代人。頭の中はカッコいい言葉でいっぱいなんだけど、無意識のうちに均一化されているから薄っぺらい。根っこの強さよりビジネス的な思考が正解だと思っているダサさ。クライアントを殺さなかったシーンによく表れていて、さすがフィンチャーと思いました。
共感ありがとうございます。
クライアントを殺さなかったのは、
〉自分をアピールするため?
自分の優秀さを顔出しで、アピールしていました。
泡よくば、顧客になって貰おうとか?ですか?
私はファスペンダーがモノローグで、
「金持ちを殺すと警察が本気になる」
・・・からかなぁ、と思いました。
秘書やタクシードライバーなど、罪のないものは殺しても
巨悪(というか金持ちの権力者)には立ち向かわないのか?
なあーんだ。
とちょっと不満でした。