「キミガヨ」ホーリー・トイレット ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
キミガヨ
今年はまだ3月時点ですが、ジャンル映画の当たり年です。高いテレビ塔の上に取り残されたり、マンホールの下に落ちたりと、国内外問わずアイデアが光り、その上面白い作品が続いているので今作も期待せざるを得ませんでした。しかも前2作よりも場所は安全ですが、身動き取れず爆発待ちとかいう訳分からん状況に置かれてのスタートとか最高すぎです。
鉄筋がぶっ刺さっており、皮膚は剥がれまくり、出血量は異常、仮設トイレに逆さまで閉じ込められて爆発の危機に陥るとかその時点でパニック死しそうな感じですが、割と主人公は冷静に脱出の機会を窺っているのがソリッドシチュエーションの強みが出ているなと思いました。
PG12とある様に痛々しい描写はてんこ盛りです。まず右腕に刺さった鉄筋は終盤まで抜けないので、何かアクションする度に肉が抉れていくので思わず目を覆いたくなる時間が結構続きます。この一つのみの痛みで中盤まで持たすんですから、製作陣の考えた有り得そうな痛みを映像で体現して、主演のトーマス・ニーハウスもそれに応える様な絶叫で素晴らしかったです。刃物多めなので刺さったり刺したり、爆発で肉片が飛び散ったり、ハンドソープを使って鉄筋から右腕を血まみれながら抜いたり、コアドリル的なやつで腕に穴を開けたりと結構凄惨な描写多めなので耐性の無い人にはきつい作品なのかもしれません。自分もグロは苦手ですが、慣れたらキャッキャしながら観れました。さながらサイコパスでしょうか。
仮設トイレという構造上、トイレの奥底に落ちてしまったスマホを拾うためにウ○コまみれのトイレ内に手を突っ込んだり、自身の危機を知らせるために放った火で焼き焦げそうになった際の消化方法として汚水を放り投げまくりますが、結構顔面にかかって臭くなってしまうなど、トイレのフィールドを細かく活かしていて良かったです。
犯人が建設を支持した市長候補のドラ息子で、どうしょうもないくらい清々しいクズなので、コイツがどんな結末を迎えるのかという荒ぶった楽しみ方が後半はできる様になりました。
残念だった点は少しですがあって、一つ一つのシチュエーションが長いのが有ります。特に終盤の爆発寸前の時間帯は結構モタモタしてて、早いとこ爆発するか止めないかなと思っていました。どうにも頼りにならない警官が来たあたりからテンポがあやふやになってしまった感が否めません。ここがもう少し簡潔かつスピーディーに進んでいたらなと。あと地味に宣伝文にある"爆発まで34分"というキャッチコピー、これは普通に宣伝詐欺で、実際はもっと長い事トイレで葛藤します。まぁ上映時間と照らし合わせたらそれはパッと分かるんですがね。
割と製作陣が日本が好きなのか、出資者がタケシという日本人だったり、君が代を熱唱したり、日本人でもあまり使わない会話を濡れ場で行ったり、締めのセリフも日本語だったりとなんだかニヤニヤしちゃうシーンが多かったです。ジャンル映画大好きな日本人を意識してくれたのかなぁ。
90分と短い時間ながら満足度はとても高い作品になっていました。こういうアイデアが先行して作られる映画は大好物です。
鑑賞日 3/5
鑑賞時間 20:45〜22:20
座席 D-10