「映画の特性上、誤訳はかなりの痛手になってしまう…。」search #サーチ2 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の特性上、誤訳はかなりの痛手になってしまう…。
今年130本目(合計781本目/今月(2023年4月度)25本目)。
多くの方がすでに触れられている通り、物語の95%以上はパソコンで進みます(どうもMacである模様?)。一般的な知識ではやや不足してしまい、VPN接続といった高度な知識も出てくるので(もちろん、GoogleがどうだのFacebookがどうだのという簡単なお話のほうが多い)、「ある程度」この辺の知識がわからないと難しいかな…という気がします。
どうも前作もそうであったようで(映画のほぼほぼ大半がPC上だけで進む)、日本基準で見る場合、どの程度の「ITリテラシー」を想定するかは難しいところがあり、本映画は「やや超えている部分があるかな…」という部分もあります(特にVPN接続や暗号かぎ通信などは一定の知識がないと本当にわからない…)。またかつ、このことについての説明がないので、ここはある程度補っておく必要はあるように思います(特にVPN接続について。ただ、日本ではVPN接続を常時行っているという方は珍しいように思えるし、そんなに頻繁に使うようなサービスでもない)。
通常は多少の誤訳であれば減点対象にしないか、0.4を下回る(一般的な描写からある程度の推測ができるため)ものの、本映画は結局この部分がどうしても論点にならざるを得ず(パソコン以外のシーンが大半ないため、他からの推定が何もきかない)、この部分はそこそこ減点幅はあるかな…という気がします。
なお、誤訳うんぬんよりも、前に書いたように「一般的なITリテラシー知識を若干超える、情報セキュリティに関する知識(VPN接続など)がないとやや理解が難しくなる」点に関しては重ねて書いておきます。
採点に関しては、下記の通り、4.2を4.0まで切り下げています。
(減点0.4/「却下」と「棄却」の違いについて)
英単語では reject(または、名詞形rejection)ではどちらも指しますが、映画内で出るのは「却下」のほうです。ただ、刑事裁判においては「却下」ということが通常ないので(日本で見る場合のお話。民事訴訟だと本人訴訟で法的知識が不足しているとおこりうる)、ここは「日本で見る場合」を考慮すると、前後関係から見れば「棄却」になるはずです。
※ 裁判における「却下」と「棄却」
却下 … 必要な書類を出さないなどの「門前払い」のパターン(裁判自体が開かない)
棄却 … 裁判自体は開かれた上でで「あなたの言い分を認めない」というパターン
(減点0.4/less thanについて)
less than は「その値を含まず、その値よりも小さい」状況にしか用いません(more thanと同じ)。したがって、これを「以下」と訳すのは明確な誤訳というそしりは免れないと言わざるを得ないように思えます(ただ、これに気が付く方はかなり少ないし、字幕の文字数制限からそういう誤訳が(承知の上)起こりうるというのも理解はできる)。