「アイデア頼りでないストーリーがGOOD!」search #サーチ2 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
アイデア頼りでないストーリーがGOOD!
すべてパソコン画面上で展開していくという斬新な画面構成と演出でヒットした「search サーチ」のシリーズ第2弾。前作とのストーリー上の繋がりはないので、事前の前作鑑賞は不要ですが、そのアイデアだけはきっちり踏襲しており、本作もしっかり楽しませてくれました。
ストーリーは、母子家庭で暮らす娘のジューンが、恋人とコロンビア旅行中に母・グレイスが消息を絶ったため、パソコンから検索サイト、SNS、代行サービス、防犯カメラなどを駆使して行方を追う中で、事件の裏に隠された真相が明らかになっていくというもの。
とかくその画面構成や演出に注目が集まりがちですが、ストーリーそのものがおもしろいし、テンポもいいのでぐいぐい引き込まれます。あっと驚かされ、うるっと涙が滲み、じわっと心温まるような展開が実にうまいです。冒頭の幼き日の映像のトリミング、現在の母と娘の関係性、娘に対する過保護なまでの母の態度、母の友人ヘザーの存在…全てが伏線として機能し、終盤に一気に収束していく心地よさはたまりませんでした。
それを、多少の無理くり感はあるものの、パソコン画面上の映像だけで描き出している点が秀逸です。また、デジタルネイティブ世代のジューンのもはやハッカーかと思うほどのITスキルの高さにも舌を巻きます。加えて、FBI捜査官ばりの鋭い洞察力にも脱帽です。一方で、多様なネットサービスの連携と活用は、なりすましによる悪用と表裏一体であるという恐さも感じさせます。そんなネット社会の利便性と危険性が、スピード感と緊迫感を生み出すことに成功していると言えます。
ただ、ジューンのあまりの能力の高さに、彼女が行なっている手がかりの集め方を目で追うだけでも大変でした。また、あまりにも簡単に情報を入手しすぎというか、それぞれのユーザーのセキリュティ意識が低すぎだと感じます。まあ、その点に対して警鐘の意味もあったのかもしれませんし、そもそもゆっくり説明していてはテンポや緊迫感が損なわれるので、これはこれでOKです。でも、ご年配の方には意味不明に映るかもしれません。
キャストは、ストーム・リード、ニア・ロング、ヨアキム・デ・アルメイダ、ダニエル・ヘニー、エイミー・ランデッカーらで、知らない俳優ばかりですが、適材適所な感じで悪くなかったです。