「デジタルネイティブの主人公で検索スキルとスピード感をアップデート」search #サーチ2 ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
デジタルネイティブの主人公で検索スキルとスピード感をアップデート
前作は女子高生のお父さんがネットを操っていたが、今回は女子高生。しかも全画面伏線ありなんて予告をされたので、観念して吹替で観た。字幕を読みながらデジタルネイティブの画面操作を満足に追える自信がなかったので。
ネットの画面だけで語れるということの新鮮さに驚いた前作。今回はそのフォーマットを踏襲しつつ、より加速するスピード感で、二転三転しつつストーリーが疾走する。
不可能ではないかも知れないが都合よすぎるだろ、という場面も散見されたが、まあこの方が面白いというのは間違いないし、そもそもジューンの画面操作が早すぎて、脳内でのんびりケチをつけている暇もない。
PCやスマホの画面越しという体裁の映像は、SNSでバズるような動画を見慣れた目には妙に臨場感が増して見える。そして、怪しい人間がケヴィン→母グレイス→ヘザー→ケヴィンの愛人(実際は雇われ女優)などとどんどん変わってゆくジェットコースター的展開に気が抜けず、手に汗を握ってしまう。
そんな中で、近しい人に愛情を伝えることの大切さを考えさせられる要素も織り込まれている。ジューンは母がいなくなってから、別れる間際に「愛してる」と返さなかったことを後悔した。また、レンタルおっさんハビは息子と仲違いした傷を抱え、その穴埋めをするかのようにビジネスを超えてジューンに協力する。緊迫感が続く物語の中で、思いがけずいい人だったハビに心が癒された。
事実関係を整理してみる。グレイスはDV夫から逃げるため改名していた。DV夫は刑務所で知り合ったケヴィンと共謀してグレイスを騙し、恋愛関係を作らせて旅行に行く体で連れ出し、旅先に行く前にかつての自宅に拉致監禁した。ケヴィンは旅先で雇われ女優と行動を共にし、グレイスが現地で行方不明になったと偽装するため、拉致られるところまでを演じた。途中でジューンが連絡を取った更生施設の職員はDV夫が演じていた。大筋これで合っているでしょうか。(ヘザーを脅してたのは、何のためだっけ?改名したグレイスの所在を知るためかな?)
DV夫の作戦、結構な費用がかかりそう。
ラストは一瞬夢オチならぬフィクションオチかと思ったが、「アンフィクション」は実際あった事件をドラマ化した番組ということらしくて安心した。終盤で警官が家に踏み込むシーンは、これ誰目線の映像だよ(ボディカメラと言い張れないこともないが)と思ったが、あの辺からはもうドラマですよということなのだろうか。
前作に比べると、今誰がこの画面を見てる設定なんだろう、というシーンが少し多めだった気がする。そこはちょっと残念。
このシリーズは、いち早く映画館で鑑賞するのももちろん楽しいが、他の映画と違ってPCの画面で観るとより臨場感が増すと思う。