「ゲージュツ映画が好きな人向けの絶望的に退屈な作品」サイド バイ サイド 隣にいる人 シゲさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲージュツ映画が好きな人向けの絶望的に退屈な作品
前作「ひとりぼっちじゃない」がアレだった伊藤ちひろ監督の次作は
坂口健太郎と齋藤飛鳥が大好きな人じゃないと130分の長い拷問。
冒頭のバス車内のシーンからのんびりした演出でストーリーに
関係ない無駄なカットや殆ど状況説明のない不親切な脚本のせいで
キャラクターの立ち位置が今ひとつ分かりにくい。
考えるな、感じろ的なヨーロッパの芸術映画のような悪いノリ。
さて主人公未山は「見える人」でしかも「あっちの人」を引き寄せる
体質みたいでそっち関係の相談に乗ったりしている癒し系の人らしい。
冒頭から隣にいる謎の若者が何者かと思ったらそういう事でした。
祓う事は出来ないらしくずっと隣に立たれると凄いストレス。
そんな訳で大した活躍もできず全然役に立ってない使えない奴。
おまけに仕事もしないでコブ付き恋人詩織の家に寄生しているニート。
外国人研修生の悩み相談、迷子の牛など小話を挟みつつ
ここまでで上映時間の半分くらいを費やす。30分でできるよね。
中盤でようやく登場する元恋人の莉子は正体不明の不思議ちゃん。
個性的な黒づくめの謎の出立ちで序盤に個展を開催していた件から
どうやら芸術家らしい。始めは未山が借りている(?)蔵みたいな所に
ほぼ幽閉していたのだが詩織に見付かり同居する事に。
余談ですがこの蔵みたいな家屋のボロボロの室内はセットだろうけど
何故か引きで撮った外観のカットが無い。これは配慮に欠ける演出。
で、唐突に莉子の妊娠が発覚。父親を誰も言及しないので最後まで謎。
その後特筆すべきトピックもなく4人で暮らす描写がダラダラと続く。
そして問題の結末のシーン。
また迷子の牛を見つけた未山は牛舎に連れて帰ろうとするが
牛を追いかけてカメラのフレームから消えてそのままフェイドアウト。
牛になんかされたの?先が崖っぽかったけど滑落死?
他の人と会話をしていたので実は未山は幽霊でしたのオチは違うと
思うし何がなんだか分かりません。
己の芸術的センスに酔いしれて撮ったマスターベーション映画です。
このスタイルで芸術的謎映画を撮り続けて欲しい。