アンダーカレントのレビュー・感想・評価
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100人/日
希死念慮が付きまとう出だしで、原作は未読だが今作は逃れられない何かを引きづる話だろうと想像する
とはいえ、今泉節もちょいちょい差込まれる 特にリリー・フランキーのおとぼけコメディリリーフは絶品だ それと対を成すかのうような康すおんの爺さん役は始め高名な落語家なのではと見紛った程、独特の節回しがやけに心地よい
父親を亡くし、旦那が失踪し、自分の周りからどんどん大事な人が消えていく憂き目に遭う主人公の喪失感を十二分に表現している真木よう子の演技力はキラリと光る そう、今作は配役が絶妙にピタリと嵌るキャスティングなのだ
1/2の負けの方は、卓球映画『ミックス。』の引用だろう(苦笑)
そして赤ちゃんの仇名は作家町田町蔵ではなく町田 康のギャグ まぁ本筋には全く関係無いところにスルリと入れ込んでくる(苦笑)
本題に戻るが、そんな幽霊的生き方をしている風呂屋にふらりと寡黙な男が求職に訪れる 抑揚を抑えた、何かスネに傷持つイメージを掻立てられる佇まいは井浦新の真骨頂だろう
そして、薪でくべていた燃料を重油に変更する際の器具を貰う約束をしていた別風呂屋の亭主も失踪し風呂屋はボヤ騒ぎを起こし、益々尋常じゃない雰囲気を醸し出す 一種のホラーかも知れない そしてクライムサスペンス張りに常連客である小学生女子が事件に巻き込まれ失踪する(最悪の事態は免れるが)
そこで主人公は初めて観客にその希死念慮の原因を訥々と表明する
そこからは怒濤のクライマックスへと疾走感がストーリーに彩りを付けていく
見付かった夫は"虚言癖"のサイコパスだったことを自ら吐露する 虚構で生きている男は、"子供"だ"ボイラー”だという現実が湧き出るからこそ、あの苦い顔を一瞬表面化する あのシチュエーションは今作の白眉であろう
人は表面のみで他人を判断する 知った振りをする イメージを落とし込む 本当の自分は水の底にしかない 主人公の小さい頃の壮絶な出来事は確かに異様でありトラウマとしてはこの上ない 自分の代わりに毒牙に懸かった顔立ちが似ている友達 その友達はいつも兄が迎えに来ていた その兄を含めた家族も又喪失感に苛まれ一家離散の憂き目に遭う
その兄が不気味な男であり、同じ傷を抱えた主人公に引き寄せられたのだ
本当に不思議で、でも『仄暗い水の底から』寄り添い共存できる関係を構築できる可能性を示唆したテーマなのである
どじょうはそれ程好きではない事実も、黙っていれば誰も気付かない
それでも、本当の自分をせめて米粒ほどでも知ってくれる人が傍にいる そんな幸せを、ラストの微妙な距離感で犬の散歩をしている2人に祈りたい、そんな想いに胸がいっぱいである
※題名は一日の自殺者数
淡々と
好きとは違う感情
何だ、そういう事か
彼が辿ってきた人生を考えると苦しくて辛くて、鑑賞後しばらく動けなかった
今度は本当に分かり合える人の予感
静かなエンディングが、穏やかな日常になりつつあるのを予想して
兄弟のような恋人のような…
ある男(たち)
来月には元アイドルと同居する井浦新が、真木よう子と同居する話。
穏やかで、下心を感じさせない佇まいがこういう設定で重宝されるのでしょうか。
正直、驚くような事件や秘密はない。
過去の事件も現在の少女連れ回しも詳細は明かされず、犯人が映ることすらない。
夫の失踪理由も、分かるような分からないような。
堀の正体は、かなえの過去が描かれた時点で察しがついてしまうし。
それでも、“本当の自分”と“相手を理解すること”についてはしっかり描かれていたと思う。
終盤のどじょうの件は、非常に示唆的で上手い。
自分はもともと“本当の自分”なんてあってないと思ってる。
例えば、相手への信頼や好意や忖度から自分の欲求を曲げることは、自分を捨てることだろうか。
それもあくまで、“自分”の選択ではないかな。
“噓”もまた真実。
真木よう子は台詞回しが少しわざとらしかったかな。
反面、病み上がりの縁側での足元の芝居と遊園地で振り回される姿が非常に可愛らしかった。
井浦新、リリー・フランキー、瑛太は安定だが、タバコ屋の爺さんも良かった。
江口さんの役名、字面まで『菅野よう子』って。笑
やや長尺ですが、主に山崎が適度に笑わせてくれるので飽きずに観られた。
個人的には、その後の関係性がどうなるかをもう少し匂わせて欲しかったです。
堀の件と旦那の件に関わりがなかったのも少し拍子抜けでした。
異質な2つの物語を1つにまとめたことで「据わりの悪さ」を感じてしまう
夫婦であれ、親子であれ、相手に自分のすべてをさらけ出して生きている人はいないだろう。相手に伝えていないのは、必ずしも「秘密」とか、「隠し事」とかではなく、「敢えて相手に伝える必要はないだろう」といったレベルのことも多いに違いない。
それは、相手も同じことで、そういう意味では、お互いに100%分かり合えることなどあり得ないし、あくまでも自分の知っている範囲内で「相手を分かっている」と思うしかない。
ただ、そこには、「自分が知りたいと思うことしか知ろうとしない」という作用も働くはずで、必然的に、主観的で独りよがりな思い込みにならざるを得ないのでないか?
そんなことを考えながら映画を観ていると、途中から、どこか「据わりの悪さ」を感じはじめる。
最初の頃は、突然失踪した夫と、風呂屋を手伝いに来た男にまつわる2つの謎を軸として物語が進んでいくのかと思っていたが、突然、主人公が、過去の殺人事件のことを思い出して、その違和感に戸惑ってしまう。
そもそも、いくら「忘れてしまいたい」と強く願っていたとしても、そんなに綺麗さっぱりと過去の出来事を忘れ去ることができるのだろうか?「自分のことは、他人のこと以上に分からない」といったことを描きたかったのかもしれないが、それにしても都合がよすぎるのではないか?
しかも、夫の失踪と過去の事件とは、結局、何の関わりもないのである。
さらに、終盤で明らかになる夫の虚言癖は、明らかにパーソナリティに問題があると思われ、過去の忌まわしい出来事を封印しようとしていた主人公や手伝いの男の秘密とは、まったく事情が異なると言っていい。
「相手のことを、分かっていると思っていても、実はよく分かっていない」ということを描きたかったはずなのに、その相手が、息を吐くように嘘をつくサイコパスでは、「分からないのも無理はない」ということになってしまうのではないか?
いずれにしても、夫の失踪と過去の事件とはまったく関連性のない話だし、鍵を握る男のキャラクターも異なるので、それぞれを分けて、別々の物語として描いた方が良かったのではないかと思えるのである。
嘘つきが言う「本当」て本当ぅ??
久々の原作既読作品の実写化。
300ページの物語で、まぁ、普通なら30分あれば読み終える。
原作は本作よりコメディ色が強く、かなえ
(真木さん)も木島のおばちゃんも菅野(江口さん)も、もっと表情豊かだし笑いパートもある。
それこそサブじい(康すおんさん)なんて亀仙人の風貌でトンデモ爺さんだ。(あんな感じで鋭いのも似てるw)
だから本作が始まると、何だかみんな暗いなぁ〜と思った(°▽°)
唯一ガチハマりだったのが山崎リリーw 豊田先生、リリーさん想像して描いたんでは?と思える程似ているのです。
個人的に、リリーさんに対する愛が深いので、それは後ほど。。♡
ちょっと戻るが、原作は30分程で読み終える。セリフも多いがコミカルな日常会話部分も多くて飽きさせない構成。
しかし、所々挟まれるセリフが哲学的過ぎてハッとさせられる。止まってしまう。
結局1時間位かけて読み込んだのだが、答えの出ない問いかけを残されたまま、最後のページを迎える事になった。
中々中々な題材を前に、
今泉ver「アンダーカレント」はどんな仕上がりになったのか、期待していました。
原作の少年が絡む事件パートはカットし、徹底してかなえの心情にフォーカスを当てた作りになっていた。
そして鑑賞者の私達はかなえと同様に、自分に問う事になる。
「人をわかるってどういうことですか?」
「あなた自身のことは彼にわかってもらえてたんですか?」
人の心の奥底なんてわからないよ。
本音をくれなかったり、嘘なんてつかれたら尚更。。
本当の自分?だってわからないかもしれないし。。
誰でも人に言えない事はあると思うし、打ち明けたくても出来ない人もいる。
そして今まで生きてきて一回も嘘をついた事がない人なんていないと思う。
自分は他者の何%を見ているのだろう。その反対も。。
「怪物」でもあったが、自分の見たいようにしか他者を見ていなかったり、自分に都合の良い捉え方をしていたり。。
ずっとずっと考えて、進んでみては後戻り。難しい。。だけど、
誠実でいたいと思いました。
そして心の中って全て解決出来るわけではない。だけどそれも含めて受け入れれば良いよと言われている気がしました。
私が最初に「みんな暗いなぁ〜」と思った雰囲気も、全ての演者が、抑えに抑えた演技に徹した結果、かなえ自身の心の奥底に沈めていた想いを浮かび上がらせる事に成功した演出だったと納得しました。
作中にはなかった山崎の言葉
「黙って去って行くなんて幼いナルシズムでしかない」ってセリフが大好きなので言わせて欲しかったな。。
又、山崎の歌う「裏切り者の旅」
って曲。知りませんでしたが、歌詞が刺さりますねー!!
本作のキーになるシーン。リリーさん歌も上手くてもっと観たかったです。
あっ、「デュカ」のデュエットも聞きたかったぁ〜!!
そして原作にプラスされたラストには今泉監督の優しさが感じられて良かったです。あのパートが加わった事で余韻に深みが出たと思います。
そ、し、て♡
私。リリーさん大好き。それは変♡態♡リリーさんを指すのだが、褒めてます♪
変態は褒め言葉。
リリーさんといえば、
イラストレーター、作家、俳優と多才な方だという認識だと思います。
「おでんくん」はアニメ化され、まなみ様が声を充てたビックリ事件wあり、
「東京タワー
ーオカンとボクと時々オトン」では強烈に泣かされ、小説も映画も大ヒットしましたね。
俳優としても唯一無二!
「万引き家族」「そして父になる」
など主演級の存在感!
(まさみちゃんとも仲良しだし、謎な人物ですよね笑)
ね〜♡ぷぷぷ。大活躍!
しかし私は昔むかしからのファンなので。
「上手く切り替えよって〜」って感じなのですw あ、好意的です♡
いや、ご本人は何も変わってらっしゃらないと思うんです。
露出の仕方が変わりましたからね♪
「リリーフランキーの人生相談」
「美女と野球」などなどなど。。
白目で読んで笑ったものです。
今もエロ本と同じ位置付けで隠し持っております✌︎('ω'✌︎ )
アングラ変♡態リリーさん♡大好き〜
本作でも胡散臭くても実はキレ者山崎になりきっていました!すばらしま!
ちょっと脱線し過ぎたから
最後に、、
無料パンフに載っている印象的な言葉。
偽りも、本当も、抱きしめながら、
生きていく
原作からも本作からも受け取れたメッセージでした。
心の深淵なんて誰にもわからない。
人間の心の奥底を抉るような映画です。
観ていくうちに本当の自分が如何にそこはかとない存在であるかがわかります。
今泉力哉お見事です。
追記(ラストシーン考察)
ホリさんが
私には妹が1人居ます、さなえと言います。
とかなえに言ったそのあと暗転
犬の散歩をするかなえを距離を少し置いて歩くホリさん、そのあとエンドロール
この2つのシーンの間に何があったのか?
人間は都合のよい思考をしますから、かなえがさなえの存在をふたたび忘れてしまい淡々とした関係が続く。
かなえが自分都合の過去をしっかり受け止めて、前に進もうとする。
かなえはホリさんと決別し、ひとりで前を向こうとするが、ホリさんは過去の柵を拭えず、付き従っていく(かなえだけが過去を払拭し、前だけをただ見つめていこうする)。
この3つくらいが考えられる。
観るものに賽は投げられている映画なので、余韻を引き摺りたい者にはうってつけの作品
ちなみに過去から逃げよう逃げようと生きるサトルと過去へ過去へと引っ張られていくホリさんの対比もおもしろい
リリー・フランキーについては、あれは神様かもしれない、ちょっと風変わりな神様、運命の糸を操っているような・・・あやとりの糸そのものの存在
だらだらと追記しましたが、画面だけでは語り尽くせない、佳作です。
その人の事を知っているか?
セリフにもあるけど、例え夫婦でも本当にその人の事を知っているか?と問いかけられると、???ですよね。自分でも自分がわからない時もあるのに、元は他人である人の事がわかるはずは無いですよね。永山瑛太さんが失踪した理由にはもっと深いものがあっても良かったですよね。そこだけが少し残念でした。
面白かったけど
失踪した旦那さんが探偵を雇って置きざりにしてきた妻の何を知りたかったのか?
というのと、子供の頃の妹の友達が大人になった姿をバスの中から気がつきますかね。子どもの頃似ていたから?の2点。
どう考えてもムリがある。😙
期待したのにねぇ 今泉監督はイジワルだよねぇ
東京は下町の銭湯、月乃湯が舞台。
親から受け継いだ銭湯。大学の同期だった夫が銭湯組合の旅行先から忽然と消え、残された妻(真木よう子)はショックからしばらく休業していたが、叔母の援助を得て再開したところに、組合長の紹介でホリという男(井浦新)が雇って欲しいとやってくる。
銭湯♨️de真木よう子とくれば、俄然期待が膨らみます。
しかし
まったくの肩透かし。
バストがあるのかないのかさえわからないほど。
もうひとり期待したシングルマザー役の内田理央もほんのちょっと出。
焦って、初日鑑賞。レイティング確認を怠りました。
でも、しーんとした銭湯で声が響くのいいですね。
ひとり開店前の湯船に浸かる真木よう子のほぼすっぴんのふっくらしたお顔はとても美しかった。
体調を崩したとかの情報がいろいろあった真木よう子。
ふっかーつ。
しかしアタシは完全復活とは認めませんよ。こんなんじゃ。
せめて下から持ち上げてウォーターラインより上にぷかりぷかりさせてくれなくちゃ。
冒頭、アンダーカレントの意味の注釈が表示されます。低層での水の流れを意味する言葉らしいけど、深層心理の意味合いが濃いような内容でした。でも、なんだかよく分かりませんでした。瑛大の役は気の弱さから嘘を重ねてしまうなら許せるが、黙って蒸発は相手無視だしイカン。先天性の嘘つきだって言っちゃってるし。仲がよかった年の離れた妹さなえをかなえに取られてしまったと感じたと告白したホリが、黙ってかなえに近づくのも気持ち悪い。康すおんのおじいちゃんはまるでホリが妹殺しだって知ってるような感じで近づいてきて、なんだか気持ち悪い。単行本一冊のコミックの内容はこんなに凝縮した内容なのか?
退屈になって、鼻毛3本も抜いてしまいました。抜いた鼻毛は足元に。決して前の席に飛ばしたりしてません。
大学時代の友人(江口のり子)から紹介された怪しい探偵、山崎役のリリー・フランキーは、最初の待ち合わせは喫茶店。
ヤマザキです。ても、本当はヤマサキなんです。釣りバカ日誌の浜ちゃんと一緒です。
なんてご挨拶。
最初の報告はカラオケボックス、次いで遊園地(サマーランド)、離島(神津島?)と毎回場所を変えながら登場します。
蒸発した夫の捜索を依頼された探偵が中間報告の待ち合わせ場所にカラオケボックスを指定し、まるで依頼人の気持ちをさらに落ち込ませるかのごとく熱唱。
うまい! 本家よりうまい!
裏切者の旅/ダウンタウンブギウギバンド
1976年。
アップストロークでアクセントを入れながら、昔アコギでよく歌ったものです。
🎵 おまえと会えないさみしさだけから行きずりの女を愛した俺
それほど長くもない旅に疲れ果てた心の片隅にお前の泣き顔がぼやけて映る
ひび割れた鏡の中に裏切者の顔がゆがむぅ~
色褪せた写真の中でお前の微笑みがおれの胸を刺すぅ~
🎵 明日の行き先を決めずにいるのは行きずりの女のやさしさなのか
それほど長くもない旅の続きなのにお前の住む町がやたらと懐かしく心に浮かぶ
ひび割れた鏡の中に裏切者の顔がゆがむぅ~
色褪せた写真の中でお前の微笑みがおれの胸を刺すぅ~
ホリはある意味ストーカーでした。
ダウンタウンだと、デビューシングルの「知らず知らずのうちに」です。
🎵 知らず知らずのうちに~ 君のあとをつけて~ 🎵 知らず知らずのうちに~ 履歴書を書いてた~
まんまとリリー・フランキーにもってかれちゃったような・・・
原作コミックでもカラオケボックスで裏切者の旅をうたうんでしょうか?
サマーランドの観覧車も乗ったことありますんで、懐かしかった~
アマガエルとドジョウも出てきます。
ドジョウは丸煮。
浅草のどじょう料理屋に行きたくなりました。
あと、叔母さん役の中村久美がすてきでした。
罪悪感は消えるのか?
今泉監督作品は
好き嫌いはともかく面白く観て来たので
今回も期待していた。
原作があるので仕方がないとは思うが
非常に後味が悪かった。
なぜ映画化しようと思ったのか…
【以下ネタバレ】
真木よう子演じるかなえの罪悪感は
堀さんの正体を知った時
より確かなものになるのではないかと
懸念した。
堀は
年の離れた妹への思慕から
同い年で似た雰囲気を持つかなえに対して
愛着を感じたのではないか。
そのかなえが
脅された恐怖心から
事件のことを誰にも話せずにいたことを
堀はどう受け止めるのか…
モヤモヤしてしまい
暗澹たる気持ちになった。
【”人を分かるってどういうことですか。死にたいと思った事はありますか。そして、嘘の人生と真の人生。”複数の関係する男女の、表層心理と深層心理の奥底に秘めた葛藤と真実を静的トーンで描き出した作品。】
■家業の銭湯を継いだかなえ(真木よう子)は、共に店を切り盛りしていた夫のサトル(永山瑛太)に突然失踪される。
暫く、店を閉めていたが再開した日にホリ(井浦新)という男が、住み込みで働かせて欲しいとやって来る。
◆感想
・夫に失踪されたかなえを演じる真木よう子さんの抑制した演技が、印象的である。
ー かなえは、前半風呂に背面から落ち、伸びてくる腕に首を絞められる”夢”を度々見る。このシーンが今作の大きなキーになって行く。-
・かなえを案じるように、静に銭湯の仕事をこなすホリ。
ー 彼が、抱えて来た深い哀しみも後半分かって来る。前半はイロイロと思索しながら鑑賞する。-
・そして、かなえは久しぶりに会った友人よう子(江口のり子)から夫の行方を探るため、探偵(リリー・フランキー)を紹介される。
ー リリー・フランキー演じる怪しげな探偵が良い。
そして彼はキッチリと仕事をする。明らかになるサトルの過去。
彼は両親を早くに失っていたと話していたが、皆嘘で、両親は2年前に火事で焼死。
深まる謎。-
・店の常連客の子供が誘拐され、かなえはを記憶の中で封印して来た過去の哀しき出来事を思い出してしまう。それは、仲の良かった女の子がかなえと遊んでいる際に、誘拐され殺されてしまった事件だった。
ー ここで、水面に背面から落ち、伸びてくる腕に首を絞められる”夢”の原因が明らかになるのである。かなえが押さえ込んでいた深層心理の奥底にあった真実。-
・更に、探偵により見つけられた夫サトルとかなえとの海辺の喫茶店での再会のシーン。
かなえは詰ることなく、サトルの話を聞くのである。
”小さい頃から、ごく自然に嘘を付いてしまう。会社を同僚の罪を被って辞めたのも嘘。あれは僕が仕組んだ事。”
”では、私への想いも嘘だったの”
”違う。君への想いが本物になってしまいそうだったから、逃げたんだ・・。”
ー サトルは、人間としては破綻しているように見えるが、多くの人も虚実入交の人生を送っているのではないか・・。-
・ホリの正体を暴いたタバコ屋の銭湯の常連さんのお爺さん(康すおん)。
”ホリが黙って姿を消そうとしたときに”何で戻って来たの。お兄さん。”と声を優し気に掛けるのである。
ー ホリは、かなえの親友だった女の子の兄だった。そして、偶々見かけたかなえの後を追って来たのだ。だが、彼にかなえを害する気持ちなどなく、逆に自分の亡き妹だと思って接してきた事が、かなえと夕食を共にしたときの、嗚咽する姿で分かるのである。-
■ラスト。ホリはいつものようにかなえと愛犬と散歩に出る。
但し、彼はそれまでと違い、少し後からかなえを守るかのように、歩くのである。
沁みてしまったシーンである。
<今作の解釈は多数あると思う。
上記の私のレビューは、私が鑑賞して感じた事である。
私は、今作は、”人間が虚実を抱えながら生きる中で、心の中に有る真の真実を描いた作品ではないかな。”と思いながら、劇場を後にした。>
偽る男たち。
夫婦で共同経営してた銭湯、ある日旦那が失踪してしまった話。
失踪で一時休業してた銭湯、営業再開するとそこへ突然現れた男(堀)、銭湯組合の紹介で銭湯での仕事をやりたいと…住み込みで働く事に、旦那失踪を調べる追う妻かなえと、謎の男のホリ…この町で起こった過去の事件で繋がってる二人だった…
旦那失踪の謎、突然現れた堀、銭湯組合のオッサンのセリフ「この銭湯で働きたいと言ってた(堀が)」堀のセリフ「組合からの紹介で」ってワードでこの先どうなるんだこのストーリーは?で一気に引き込まれました。
ベースはミステリーだけど、江口のりこ演じる友人よう子がかなえに紹介した胡散臭い探偵山崎(リリー・フランキー)、その山崎の調査報告が合間合間に入るんだけど、そこが何か個人的ツボでミステリーだけどちょっと山崎のセリフや仕草、行動が何か笑えていいアクセントになってたなと思いました。
で?かなえと旦那は山崎のお陰で再会出来たけど、失踪の理由はうやむやのまま?(笑)
個人的に思ったのはかなえさんってこれから相手が大事な話をしようとする時、旦那の時も堀の時もだけど必ずかなえの方から話をして話を相手にさせない感じに見えたんだけどこれ原因!?(笑)
人を分かるってどういうことですか ?
かなえを演じた真木よう子さんの表情が色っぽく魅力的。
心に辛い記憶やわだかまりを抱えて生きる姿を、真木よう子さん、井浦新さん、永山瑛太さんが演じる。
探偵山崎( ヤマサキだけど、ヤマザキでもある )をリリー・フランキーさんが魅力的に演じる。軽妙さと鋭さと温かみある人物を、柔らかな演技で魅せる。
ポツリポツリと語る悟( かなえの夫 )を演じた永山瑛太さん、江口のりこさん( かなえに寄り添う友人 )、康すおんさん( 煙草屋 )、実在してそうな演技はさすが。
堀( 井浦新さん)が嗚咽するシーンが胸に迫る。
ゴールデン・レトリバー君も好演でした 🐶
ー人は皆 本当の事より心地いい嘘が好きなんだ
映画館での鑑賞
アンカレ っじけいゆぱりゆき
原作未読だがフランスでも人気があるそうで、確かにそんな感じ(どんな感じ?)。幼児期の事件でその後の人生を狂わされてしまった人々。闖入者たる夫の失踪、そして身近に発生した子供の事件を媒体として思い出す過去、気づく自らのトラウマ。
終盤のふたつの場面の長回し入りカットバックは見ごたえ十分。タバコ屋の芝居がかったセリフ回しは自分にとってはキワキワだったけど。
真木よう子、もう少し綺麗に撮ってあげても良いのになどと思いつつ。帰宅したらAスタジオで爆笑しておりました。
リリー・フランキーはぴったり過ぎる配役、カラオケのダウン・タウン・ブギウギ・バンドもジャスト。そしておばさん役の中村久美。その昔atgの蜜月ってのを見たなぁと遠い目。変わらずお奇麗でした。
ところで、江東区にあんな丘?と思ったら日野市と出ておりました。
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