オットーという男のレビュー・感想・評価
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普通だった
人は生かされている…
最愛の妻ソーニャに先立たれ、生きる希望を失い、自分の殻に閉じこもる偏屈男オットー。何度も自殺しようと試みるが、その度に近隣の人々の邪魔が入り、お節介をしてしまう。それはまるで天国からソーニャがまだ早い、生きてと止めているよう。近隣の人々との交流を通し、再び生きようとするオットー。その時間は短ったかも知れないが、人は周囲の人によって生きる糧を見出し、またその人々に生かされていると感じた。既視感はあるが、偏屈な老人をトム・ハンクスが好演していた
バカモンだらけの世の中だけど、ハートの大きな幸せがある
私も一人でいる事は嫌いじゃない。大抵映画は一人で観に行くし、その帰り一人外食もよくする。何より、小面倒な人間関係と無縁。自由に伸び伸びと過ごせる。
しかし、ずっと一人で居ると、さすがに退屈してくる。そんな時は親しい友人らと会食したり、そういうのも好き。
と言うか、そう言っている時点で私は一人で居るより人との交流や繋がりの方を欲しているのかもしれない。
結局、人ってそう。たった一人では生きられない。必ず誰かしらと交流や繋がりを望む。
殊に、人嫌いや人を寄せ付けない人こそ、実は本当は人との関係を望んでいる。
この映画の主人公もそう。
オットー・アンダーソン。
初老の男性で、町一番の嫌われ者。偏屈、堅物。口から出る言葉は友好的な言葉よりもまず、相手を不快にさせる言葉。
毎日町をパトロール。挨拶されても返さない。車の停車位置にいちいちクレーム。野良猫にだって八つ当たり。
スーパーでロープを購入。5フィート分の料金と6フィート分の料金を巡って、あーだこーだ。
何かと言うと説教やお小言しか言わない。私はしつこい性格の人が嫌いなので、ご近所にこんな人居たらお近づきになりたくない。
スーパーで購入したロープ。ただの何気ない買い物かと思ったら、ある事に使おうとしていた…。
長年勤めていた会社を定年退職。
さらに半年前に、学校の教師だった最愛の奥さんを亡くしたばかり。
人嫌いのオットーが唯一愛した人を亡くしたのだから、そのショックと悲しみと喪失感は埋めようがない。
生きる気力も亡くし、自殺を…。その為のロープ。
でも、これから死のうって人が料金にいちゃもん付けたりする…?
遂に首を括った時、窓から見える酷い駐車をしようとする車にまたまた勘弁ならない。
って言うか、これから死のうって人が他人の駐車を気にする…?
ひょっとしたら、本当はまだ死にたくないって気持ちがそうさせてるのかも…?
自殺は上手くいかない。天国の奥さんがまだダメって止めたのかも…?
あなたにはこれから、素敵な出会いが待っているのよ。
偏屈オットーに、思いもしなかった出会いや交流が…。
偏屈な主人公が周囲との交流によって…。
よくある話っちゃあよくある話である。想定内以上の事は起きない。予定調和で目新しさもない。
でも、時々そういうのがいいんだよね。
2015年のスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』のハリウッドリメイク。
こういうのは万国共通。皆、好きなんだよね。
でも、それをしっかりと魅せてくれる人が居ないと。
さすがのトム・ハンクス。開幕からの仏頂面でいきなり笑わせてくれる。
ユーモアやコミカルはお手の物。勿論ただそれだけじゃなく、偏屈性格の凝った演技、悲哀も滲ませる。
やっぱりこの人は、映画界の至宝だとつくづく思わせてくれる。
オットーのご近所に越してきたのが、メキシコ系の一家。
夫トミー、妻マリソル、アビーとルナの娘二人。
早速車の停車でオットーの洗礼。
うわ…、ヤな所に越してきちゃったな…と思ったか否か、とにかくこのファミリー、特に奥さんのマリソルが陽気。
どんなにオットーが嫌み言っても全くへこたれない所か、動じない。
寧ろこの町一番の嫌われ者に、こちらからアピール。
そんな事がきっかけで、ご近所付き合いが続く事に。
夫婦で外出の時、娘二人のシッターを頼む。娘二人も何だか懐いているよう。
本当に人嫌いの人にこんなにフレンドリーに接する…?
この一家は町の人々と違って、オットーに対し先入観が無い。
だからこういう人と割り切って接する事が出来る。この一家にしてみれば、オットーは確かに頑固だけど、普通の人と変わりないおじさんなのかもしれない。
実際、そうなのだ。
マリソルとその家族。
ちょっとウザい近所の男。
ある事がきっかけで仲が拗れた旧友夫婦。
妻の元教え子のトランスジェンダー。
それから、可愛い子猫ちゃん。
不思議とオットーの周りに、人が集まってくる。
人嫌いで人を寄せ付けないようにしているのに。寧ろ、人を惹き付ける。
駅のホームから線路へ倒れ落ちた人を救出。周りが助ける所かスマホで撮影する中、咄嗟に。
離れて暮らす息子によって介護施設に入れられようとしている旧友夫婦。悪徳不動産会社が立ち退きを勧告。ひょんな縁や協力あって、不正を暴く。
偏屈であってもなくとも、我々にこれらの事が出来るか…? オットーは正しいと思った事は自分を信じてやる。善人以外の何者でもない。
本当に嫌われている人だったらそんな行動しないし、人が寄って来ない。
皆、本当は知っているのだ。オットーは本当はいい人。そんな彼を、皆好き。
そして何度も何度も思い出すは、妻との思い出。
死のうと決め実行に移そうとしたのは一度や二度じゃない。
でもその度に、決まって思い出が甦る。待ったを掛けるかのように。
君には会いたい。でも、まだ死ねない。
オットーの心の中で、そんな思いが強くなってくる。
バカモンだらけの世の中だけど…。
人に愛され、奥さんを愛す。
人嫌いの偏屈は孤独を隠そうとしていただけ。
人一倍、人との繋がりや思いを大切にしている。それが、オットーという男なのだ。
若い頃、ある病気が原因で軍から入隊拒否。
今また、その病気が身体を蝕もうとしている。
深刻な事態だが、その病名を聞いて、マリソルだけじゃなく見てるこちらもつい笑いがこぼれてしまった。
肥大型心筋症。
つまり、人より“心臓(ハート)”が大きい。
落語のオチかよ!(笑)
でも結局、これが原因で…。
本作が“オットーという男”というオットーの本当の人柄や人との交流を描いた作品だったら、ドライブ出発のシーンでハッピーエンドで終わって良かった筈だ。
が、オットーの死まで描く。若かりし頃や奥さんとの出会い、愛と幸せの日々、思わぬ事故、先立たれ偏屈になってしまった今、死のうとした時思わぬ出会い、周囲との交流、そして人生を終えた。
本作は“嫌われオットーの一生”とでも言うべき、本当は愛し愛されたオットーの人生ドラマでもあったのだ。
バカモンだらけの世の中だけど、幸せはある。ハートの大きな。
やはり、生きないと🌹
人にもよるかと思うが、
男性が伴侶を亡くした方が女性よりもダメージ
が強いのだろうか。
このオットーさん、半年前に最愛の妻を亡くし
後追いを考え実行し始めるところから物語が始まる。
オットーさんという人物、大変きちんとした人で家の中も整然と片づいておりいろんな機械類の構造もわかり修理にも長けている。自宅周辺にも敏感で居住民のことを考え自ら見回りして外部の人間などが勝手なことをしていないか点検し実行犯を見つけたら厳しく注意してくれる。その分他のことにも口うるさい印象を持たれている。が、ジミーなどに好かれている。
また改めて観て気づいたが、職場も酷い。
肩たたきで退職にし向け、祝うような雰囲気の最後。
祝い⁉️のケーキって⁉️
オットーさんの顔を切り刻んで皆で食べるって
残酷気味❗️
辞めたくなる筈だ⁉️
しかし、そういう日常の諸々全てを顧みようという気が起こらず実行あるのみの如く、この世とおさらばしようとするが‥‥。
ことごとく新しく越して来たマリソル家族によって邪魔される。
やはりこのマリソル、賢い知恵者だったのだろうか。お勉強ができるだけでなく人の心を素早く察知して相手が何を考えているか見抜き最善の対処法でやり過ごして来たのではないか⁉️
一人暮らしの高齢男性、というだけでも、どのように暮らしているのかと気になるし、
このオットーさん、とっつきにくいが、心根が優しく親切な人だと見抜いていたのだ。
娘たちの懐き様を見ても一目瞭然。
手作りの料理を持って行っても直ぐに追い返されるし、何を考えているのだろうと⁉️
だから閉め出される前にドアを足で止めたマリソル。
だからか、偶然ももちろんあっただろうが、
偶然を装ってズカズカと入り込むようでつぶさに観察していたのではないだろうか。
火急の時もあるかと。
電話を借りに来た時にも確認したら、やはり。
マリソルはオットーさんが気に入っていたのだろう。
駅で人命を救ったことを取材に来たマスコミに協力してもらい、友人の家を乗っ取ろうとする不動産業者を追い払った人間性、賢さ、友情の厚さなども。
ただ、個人による違いがあるかと思うが、猫には、猫専用の毛布でないと嫌だし、
オットーさんの奥さんの衣類を早々と片付けることには賛成できない。男だから利用できないにしてもスッキリ片付けるのには異論を唱えたい。
オットーさんに生きるべき理由を体現して知らしめ断念させ、実の親子以上の仲に。
ソーニャのお墓参りにも家族みんなで。
いつもながら素敵な美しい花束💐携えて。
三年ほど賑やかな愛情に包まれて、過ごせたのだろうか。
雪かきしていないことで異変に気づいてくれるなんて。
最期にマリソルに手紙を書いておく周到さは
オットーさんらしい。
追記:『幸せなひとりぼっち』もなので、原作だと思うが。
オットーさんのソーニャとの追憶シーン、
出会った時から結婚新婚ぐらいまでの若い頃しか出て来ない。初めソーニャは若い頃に亡くなったのかと思っていたが、半年前だった。
熟年の年頃であっても懐かしい思い出は色々あるだろうに、なぜ描かなかったのかと思う。
辛辣で無愛想だけど優しさが溢れ出ちゃってる
心あたたまる ハートフルムービー
妻に先立たれ、人との交流を閉ざしてしまった男が
再生するまでの物語。マンションが増え、人との繋がりが希薄に
なっている現代に問いかけているような作品だと感じた。
リアルでの繋がりの大切さ、そしてネットの力の大きさを実感させる。
トム・ハンクス作品にハズレはないですね。心あたたまる
ハートフルムービーです。
名優トム•ハンクス
人はひとりでは暮らしていけない
妻に先立たれた男の悲哀
いい人専門トム・ハンクス
スウェーデン「幸せなひとりぼっち」(2015)のハリウッドリメイク。
嫌われ者の嫌みな爺さん役ながら、トム・ハンクスが主演なのだから、
いい人以外ありえないでしょう。
スウェーデン版は、見慣れた役者さんではなかったので、
嫌みな爺さんの行動の、本当の意味がじわじわ来て、
最後、愛しさがこみ上げてきたのだけれど…
車椅子生活になってしまった妻の安全を守るため、頑なに部外者の駐車を拒み、
道路のゴミや、ゴミ収集場所での分別のチェックや近所のパトロールを怠らない。
不器用ゆえの愛情表現の意味の説明が、ハリウッド版はちょっと弱かった気がする。
ただ、トム・ハンクス親子が若き日のオットーと、
爺さんのオットーを演じていて自然だった。
オリジナル越えはなかったけれど、普通によい映画として変換されていました。
ちょっとした違和感?
こんな男になりたい
街では、嫌われ者の「オットー」という男。
少し性格に難がある所がまた魅力的に映っていました。ただ、実際に居たら少し面倒くさい人だと感じるかもしれない。
それでも困っている人がいたら助けてしまう。
そんなオットーの事をみんな嫌いになれないでいる。
オットー自身は、もともと明るい性格だった妻が事故で妊った子供を失ってしまった事により、人生がどんどん悪い方へ向かってしまう。
そんな事もあってか自殺を試みるも何度も失敗に終わってしまう。
それは妻から「まだ、あなたにはこの世でやるべき事があるから」というメッセージなのかもしれない。
これだけ不器用でありながらも誰よりも誠実であるからこそ素晴らしい人生なんだなと感じました。
泣かせたい一心
切なくて、面白くて。絶妙です。
予告編が気になって、なんとな〜く暇つぶしで鑑賞することに。
ところがどっこい、最初から最後まで引き込まれるようにあっという間に見終わってしまいました。
トムの演じている昭和の頑固親父のような性格のオットーは、過去のバックグラウンドから影があるキャラクターなんですが、マリソルを始めご近所さん達皆んなが個性があって、可愛いいんです。オットーとのバランスが面白い。
キャラクターはもちろんですが、ストーリーもコメディとシリアスのさじ加減が上手で、見てるこっちも笑ったり泣いたりと、色んな感情に揺さぶられます。
個人的なお気に入りシーンは、迷惑そうにマリソルから貰った手料理を「ん、意外と美味しいな」と言わんばかりの表情をして、トムがスペイン料理を食べるシーンが好きです。メモを付けて、翌日の朝にはきちんと容器を返すシーンも几帳面で可愛い。笑
ほんのりと後味のある映画
生きることは、誰かに何かを与えること
奥さんのソーニァを亡くし、生きる意味を見失っていた主人公オットー
オットーは自殺を図るが、最近引っ越してきた隣人が気になり自殺未遂に終わってしまう。
マリソルとの交流を通じて、ソーニャとの出来事を振り返るオットー。ソーニャの願いは、オットーが生き続けていくことだった。
その事に気づいたオットーは、旧友の人助けを実行する。
その後マリソルの赤ちゃんと接する事で、今まで他人に与えてきたオットー自身も報われる事となる。
その後、満ち足りたようにオットーはこの世を去った。
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