劇場公開日 2023年3月10日

「今の自分にカオスは要らない?のかなぁ」オットーという男 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今の自分にカオスは要らない?のかなぁ

2023年3月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

この題材、このキャラクターならこう書くんだよ。

という、まるで脚本家養成所?の見本のような作品。
分かっちゃいるけど、まんまと笑って泣いて、最後にまたほろりとさせられる。

①小うるさい頑固者(面倒くさいけど、概ね言ってることは真っ当)
②化学反応を起こすに決まってる天然系の明るくお節介な隣人
③クセツヨだったり、事情はありそうだけど、根が良い(心の腐ってる人ではない)と分かるご近所さん
④多様性、ジェンダーなどの要素もキチンと用意
⑤富裕層の高級住宅街のような別世界の話にはしないけれど、それなりに民度の高い(この言葉自体、意味が曖昧で解釈の幅が広いのですが、ここでは一定のルールや公共性が維持されているという意味)コミュニティーを背景として用意。

冷静に考えたら、毎朝街の見回りをするなんて本当は素晴らしいボランティア活動です。この利他的精神も亡くなった奥様が、うま〜くコントロールしてやらせたのだと思います。
無愛想で、口うるさいのも、街の人に善意を押し付けてると思われないないような照れ隠しにもなるし、この辺も奥様が旦那さんの性格をうま〜くコントロールしたのでしょう。

こんな奥様が、あなたは生きて❗️と背中を押すのですから、そりゃあ、いい話になります。

フェイブルマンズとこの映画に素直に感動して、エブエブ⁈がまったく刺さってこない。
ということは、今の自分はかなりの安定志向で、現状を破壊するようなハチャメチャな混乱やカオスなどは求めていない。
それだけ、現状に満たされている、ということなのかもしれません。
ありがたいことです。

【以下、追記】
そういえば、20代の頃の自分は、村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』が大好きで、今ならそれテロじゃんと簡単に括られてしまいそうですが、体制が大事にしてる何かを破壊する……破壊する行為自体にとても重要な意味があるような気がしてました。
小説や映画は、当時の若者の一部(多かったのか少なかったのかは分かりませんが)にとっては、ある種のガス抜きでもあったのだと思います。
実際は何も壊してないし、その後の社会人生活やバブルの間にすっかり体制に守られる側の一員になりましたが。
今は、若い方々も政治的には保守側という方が大勢を占めているし、大衆民衆の不満も、政府を倒せ❗️という方向には向かわず、政府が守ってくれない‼️とむしろ駄々っ子のような感じです。駄々っ子なら、そのうち疲れて泣き止むさ、と政府もたかを括ってればいいのですから、そりゃ緊張感がなくて、あまりにも迂闊な失言をしたり、お金に公私の区別がつかなくなったりするわけですね。

閑話休題(それはさておき)。

オットーは、頑固者というイメージが先行してるだけで、やってることはまともだし、親切。
偏屈な人は男女年齢を問わず、いるわけですが、高齢男子だと思うどうしても頑固ということで括りたくなる傾向がある。他者のペットの糞尿処理やゴミの分別におけるマナーの悪さにムカつく人が女性だったら、頑固とは決めつけずに、ルールやマナーにキッチリした人なんだな、と思われるだけで、その人をちゃんとした人だと思うか、うるさい人だと思うかも人それぞれ。

つまり、オットーが、愛想が良くて、人を注意する時も穏やかであれば、メチャクチャ素晴らしく得難い人なのです。
というわけで、日本の中高年の男性は、みんな愛想の良いオットーを目指すといいかもです。
私は今日から心掛けていくことにします。

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2023年3月12日

そのように書いてるレビューがありましたね。
私も知らなかったので、ビックリです。

グレシャムの法則
2023年3月12日

遅くなりましたが空白と言う映画を観たばかりです。配信にて。娘を亡くして負の連鎖があり父親が娘の中身を知らずにいて加害者でもあり被害者にも見えたストーリーでした。

美紅
2023年3月12日

トム・ハンクスの青年期は実の息子さんが演じていたのでしょうか。

美紅
2023年3月12日

つい先日、幸せなひとりぼっちを配信にて観ました。国や俳優によって演じ方が違いがありそこが面白かったです。

美紅
2023年3月12日

観賞されたのですね!

美紅
2023年3月12日

こんばんは☆グレシャム様

美紅
Bacchusさんのコメント
2023年3月12日

ホントお手本の様なストーリー展開でしたよねw
それ故少しキレイ過ぎた感じもしましたけど。

Bacchus