Firebird ファイアバードのレビュー・感想・評価
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国をも変えた悲恋
このところ『蟻の王』『シチリアサマー』など同性愛が禁止されていた時代の映画が続いてるけれど、過酷な状況に毎度ギュッとなる。
今度はまたバレたら大変な軍人。
ロマンの気持ちは分からないでもないのだけど、いかんせん言葉足らずというか、相手への思いやりに欠けるなぁ、もっと言い方があるだろう。
時代や立場なんかを考えると、仕方ないっちゃ仕方ないのだろうけども。
抑えきれないのは分かるのだけれど、バレたら刑務所行きと分かっていながら2人とも大胆というか軽率というか、何度もハラハラした。
誰もが幸せになるべきはずなのに、離れざるを得ない、身を引かなくてはいけない、なんとも切ない。
そして3人の結末は呆気なくて、なんだか淋しいなぁ。
結局、大佐は何が目的だったのだろう?
執着が凄すぎて最後はちょっと怖!ってなった。
禁断
24本目。
時代背景考えれば禁断ではあるし、ましてや兵士となれば尚更。
3人とも傷ついてはいるんだろうけど、秘匿にしなきゃいけないし、難しいよね。
それが恋だよと思いはするけど、ルイーザが一番可哀想と勝手に思ってしまう。
二人にとってのファイアバードは、心の中でだけ翔ける隠匿の存在だった
2024.2.12 字幕 MOVIX京都
2021年のイギリス&エストニアの映画(107分、R18+)
原作はセルゲイ・フェティソフの自叙伝「ローマンについての物語』
ソ連領エストニアにて、パイロットと恋仲になった二等兵の苦悩を描いた恋愛映画
監督はペーテル・レバネ
脚本はペーテル・レバネ&トム・プライアー&セルゲイ・フェティエフ
原題の『Firebird』は、劇中で主人公たちが感激するイーゴリ・ストラヴィンスキーのオペラ『The Firebird』のこと
物語の舞台は、1900年代前半のソ連領エストニアのとある基地
そこで二等兵として従軍しているセルゲイ(トム・プライヤー)は、友人のヴィロージャ(ジェイク・ヘンダーソン)、ルイーザ(Diana Pozharkaya)とともにハメを外して遊ぶのが日課になっていた
国境が近いこともあり、司令官のクズネツォフ大佐(ニコラス・ウッドソン)やズベレフ少佐(Margus Prangel)はピリピリしていて、規律を重んじる基地としての機能を重要視していた
セルゲイは任期が終えたら地元に帰ろうと考えていて、大佐はそれを惜しんでいる
少佐はKGBとのつながりがあり、常に全隊員を監視していて、ルイーザは軍の通信を記録する係として赴任していた
物語は、その基地にパイロットのローマン・マトヴィエフ大尉(オレグ・ザゴロドニー)が赴任するところから動き出す
彼はセルゲイを気に入り、ルイーザは彼に首ったけになっていく
ヴィロージャは「セルゲイがルイーザのことを想っている」と感じていたが、実はセルゲイは同性愛者で、二人の接近を違う角度で見ていた
ある日、ローマンに指名されて出向したセルゲイは、そこでオペラ「ファイアバード」を一緒に観劇する事になった
セルゲイは劇に魅了され、任期が終えた後にモスクワの演劇学校に進むことを決める
そして彼は、ローマンにモスクワに来た時には尋ねてほしいと懇願する
ローマンはその言葉を受け取ったものの、二人の仲はKGBの標的になっていたのである
物語は、セルゲイとローマンの悲恋を描き、これが主人公セルゲイが後に記した自叙伝として世に残る事になった
それを映像化したのが本作であり、脚本にもセルゲイ本人、セルゲイ役を演じたトム・プライヤーが参加している
実に生々しい描写が多く、かなり美化されているように思えるのは、その思い出が記憶に定着している過程と似ているからだろう
本作にはパンフレットが発行されているのだが、これがまた規格外的な大きさになっている
サイズで言えばB4くらいの大きさになっていて、ぬいぐるみを入れる用の袋を購入することになった
なので、パンフレットの購入を検討している人は、かなり大きめのカバンなどを持参した方が良いのではないだろうか
いずれにせよ、禁じられた愛の中でせめぎ合う三角関係が描かれ、それが悲劇的な結末の中で向かう先を見失ってしまう物語になっていた
ルイーザとローマンの結婚は「愛はある」とは言うものの、彼女がそれを信じられるとも思えない
また、KGBへの密告が親友というところも罪深く、それを公言することもできない時代性が伝わってくる内容だったと言える
軍隊は規律を重んじる場所で、それが異性間でも許されないものもあるが、そんな中で、死と隣り合わせにある者たちの素直な衝動はこれぐらい激烈なものだったということだろう
濃厚なシーンは多いものの、R15+ぐらいだと思われるので、抵抗のない方は鑑賞しても良いのではないだろうか
凄く切ないラブストーリーでした。
BL版のロミオとジュリエットでした。実話とのこと。
こーいう壁がある愛って幾ら観ても面白いし切ない!!
生々しい感じはなく、純粋に愛し合った2人を綺麗に描写された作品。
LGBTQに関心がなくても美しいラブストーリーです。
多くの方に観て欲しい。お勧め映画です。
悲しいストーリー、あまり見れないロシア系舞台に惹かれて一気見した
今でも根強くあるLGBT偏見、他人ならともかく身近な人にいて、裏切られたら辛すぎる。
セルゲイのストーリーなので彼視点だと、誓った将来もないのに待ち続ける→しかも露見したら監獄行き。しかもルイーザへ良心の呵責も。
耐えられなさそう。
3人とも悲し過ぎるのだが、時代とロシア設定を考えると仕方ない、むしろ、辛いことになっても出会いがあっただけでも良かったのかもと受け入れることで、泣くことなく感情移入できた。
ただ独断推測だが軍に露見、ルイーザが気付いた経過がどうしても映画的に不自然に脚色されてる気がしました。
興味深いソ連時代
18禁というから覚悟して観に行ったのに、私的には18禁でもなかった。
物語自体はこれまでにも何度も描かれてきたような感じである。
男同士で禁じられた恋に落ち、周囲に気取られて片方が保身に走って女性と結婚し、もう片方は若いだけに情熱的で割り切れずに苦悩しつつも、数年後ふたたび姿を現した妻子を持った男に惑わされて不倫の泥沼にはまり、破局を迎える——。
ただこれは同性愛が法律的に取り締まりされていた冷戦下のソ連時代の実話なのだ。しかも軍属。軍なんてただでさえ厳しい規律に縛られて窮屈なものだけど、それがソ連軍だなんてめったに見られるものではなく、冷戦時代の緊張感とか狂気のように厳しい軍隊内のあれやこれやが興味深かった。
ルイーザはセルゲイが好きだったんだと思う。でも少しも前に進まない関係に見切りをつけて、ロマーノに恋して結婚したのだろう。なんの罪もない彼女の悲嘆がつらい。
ロマーノは妻子を持ったことで同性愛疑惑が晴れたとでも勘違いしたんだろうな……。
ずるずると続いたロマーノとセルゲイの関係は思わぬ形で裁かれる。
KGBが暗躍していたようなソ連時代おそろしあ。
想いを秘めて、それぞれの愛の形
たしかにLGBTの話ではあるのだけど、それだけじゃない奥深さがある。
それぞれが、相手を想うあまりに人生をかけて、嘘を(嘘なのか?)真実のように見せかけて生き抜く。
切ない。
相手がだれであろうと、同じように心が震えるのに、自分を否定される心ない言葉にどれだけ傷いたことか。
それは昔だから?
今は違う?
大佐はなぜ、執拗に2人を追いかけたのだろう?
もしかして?
そんな疑問がわいてしまう。
Firebird。
舞台挨拶があるとのことで、そちらのチケットを取って鑑賞へ。
実話に基づいた、冷戦時代のラブストーリー。
というくらいの情報量で鑑賞したんですが、個人的には結構カロリーを持っていかれる作品でした。
セルゲイ、ロマン、ルイーザ
誰の視点で見ても、あの当時何が正解であったのか……答えるのは非常に難しいなと感じました。
私は序盤からセルゲイの目線で見ていたので、正直ロマンの態度に「嘘やん!!」と何度も思ってしまったんですが(苦笑)、もちろんあれはセルゲイの事を思っての行動でもあったわけだよな…と、理解はしています。
でも、セルゲイ目線で見てしまっていたので、正直つらかった。
小さなあの部屋で、膝を抱えて声を押し殺しながら泣くセルゲイが、あまりにも悲しすぎて。
後半になるにつれて、ストーリーの展開っぷりに何度溜息ついたか分りません。
心がしんどかった。
ロマンの気持ちは、あの手紙の文章と、あの写真が全てかなと思いました。
ルイーザと子供に対する気持ちはあったでしょうけど、何よりも大事だったのはセルゲイだったんじゃないかな。
エンドロール前のラストシーン、涙を堪えられませんでした。
そこまで耐えていたけど、あれはダメだった。
あの時、セルゲイはどんな気持ちだったんだろう。
そして、エンドロール後、ですね。
あの1カット。
声出してOKだったら、多分「このクソが!!!!!!」って言ってたと思います(笑)
正直、あの1カット必要だったのか??と思うんですが、「そういう時代であった」ということなんですかね。
俳優陣が本当に綺麗で美しく、もちろんあんなシーン、こんなシーンも含まれていますので、そういったところが見たい!!という方にもおすすめです(笑)
主演のお2人の肉体美たるや。
風景や音楽も素晴らしいと思いましたし、本当に見て良かったなと思う映画でした。
タイトルでもある、Firebird。
このバレエのお話し、あらすじ等を頭の片隅に置いて見ると、色んな捉え方が出来るのではないかと思います。
自分としては、Firebird=ロマン。
ですね。
Firebird ファイアバード セルゲイ、ローマン、ルイーザの三...
Firebird ファイアバード
セルゲイ、ローマン、ルイーザの三人の恋愛関係が主として描かれるエストニア産のLGBT作品。
三者共に普通に生き、普通に愛し合いたいのに法律が彼らを苦しませる。それらは自分を欺き、友を恋人を欺くこととなる。
同性愛を禁止とする、自由を奪う法律がもちろん悪なのだが、三者共どこか視点を変えると正しくもあり悪しくもある。それはやはり根底に嘘をついて生きなきゃいけないからなんだろう。
この辺の自由への気持ちと自分を守らなきゃいけない気持ちが非常に切なくそして熱く描かれておりとても好きな作品であった。
幸せへの近道はやはり自由に生き、選択できる事なんだと改めて感じさせてくれる。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
5 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
6 アクアマン/失われた王国 4.5
7 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
8 異人たち 3.7
9 ミツバチと私 3.6
10 僕らの世界が交わるまで3.0
11 カラーパープル 2.9
12 弟は僕のヒーロー 2.8
13 ジャンプ、ダーリン 2.5
14 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
15 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
16 哀れなるものたち 2.3
17 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
18 ゴースト・トロピック 2.2
19 葬送のカーネーション 2.2
20 Here ヒア 2.1
21 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
22 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
23 VESPER/ヴェスパー 1.5
24 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
人が愛する権利を、冷静時代の秘められた実話を通して、現代に問う愛すべき作品。
エストニアでつい今月元旦に施行された、同性婚法。
その制定の原動力になった作品。
監督のペーテル・レバネは、いかなる勢力や思想も、人が愛する権利を侵害してはならないと。
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