劇場公開日 2023年5月19日

  • 予告編を見る

「もはや何でもあり」ワイルド・スピード ファイヤーブースト Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5もはや何でもあり

2023年6月3日
Androidアプリから投稿

第一作からの歴史を振り返ると、毎度毎度「ワイスピってこんな映画だったっけ?」と思わせられる。金庫を引きずり回し、飛行機を撃ち落とし、挙句の果てに宇宙にまで行ってしまった。四輪でV8乗っけてればどんな事だってできるという、無限の可能性を広げ続けてる本作はそのやり過ぎ設定のせいか、シリーズ物の難点である、マンネリという概念は不思議なくらい払拭されている。それは、観客が予想するカーアクション映画の範疇というものをこれでもかと超えてくるからだろう。本作でもまるでユニバーサルのアトラクションに乗っているかの如くのど迫力の映像がてんこ盛りである。
車好きの目線で見ると、装甲車等の戦闘態勢バッチリな車両よりかはチューンアップされたアメ車や日本車の活躍が見たいものだが、本作は前作よりかはその辺もきちんと「ワイスピ」だったため安心した。本作の難点は、登場人物が多すぎて中々焦点を当てづらいというところだろうか。故に場面があちこち暗転し、こちらも落ち着いて観れないまま進んでいく印象だった。フィナーレの流布だと思えば良いのかも知れないが、シリーズ初心者にはやや厳しいかと思う。どうしても次に繋がる前提の物語はこうなる率が極めて高く、その役目と言っても過言ではないポジションの作品になる為、ここら辺は次に期待するとしよう。本作でもテーマはやはりファミリー。ジェイソン・モモア演じる魅力的なヴィラン、ダンテも背景にはファミリーの存在がある。口数の多い陽気なキャラだが、守りたいものは敵味方関係なく同じであるという事が分かった。本編141分とシリーズ最長クラスとなるが、怒涛のアクションの連続でそれほど長く感じないのも本作の魅力の一つ。これだけ長い本編で物語の整合性や辻褄を合わせない、あるいは無理矢理ねじ込むスタイルで不平不満を漏らさずに劇場を後にできる作品はそうそう無いだろう。最終章突入という事だが、製作陣のアイデアが尽き果てるまで、このシリーズは続けてもらいたいものだ。

Mina