「ジェイソン・モモアが演じる魅力的なヴィラン」ワイルド・スピード ファイヤーブースト 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
ジェイソン・モモアが演じる魅力的なヴィラン
製作開始から22年目を迎えた人気シリーズの最新作では、益々荒唐無稽のシーンが連続する。中でも、ドミニクに対して復讐の炎メラメラのヴィラン、ダンテが放った球体形の中性子爆弾が、古都ローマの街を破壊しまくるシーンには度肝を抜かれる。まさに復讐の炎が視覚化された形だ。しかし、いくらCGとは言え、世界遺産級の建造物があちこちにあるローマをそんな風に叩き潰しちゃっていいのか?多分いいのだ。映画公開の際、世界中のプレスを招待して開催されたプレミアの場所として、ローマ市は最大のランドマーク、コロッセオが背後に見える特設ステージの建設を許可しているのだから。
そんなロケーションムービーの楽しさに加えて、本作にはシリーズの最終章を締めくくるに相応しい顔ぶれが勢揃いしてメガヒット作の吸引力を見せつける。中でも、ダンテを演じるジェイソン・モモアの役作りが際立っている。冷徹な破壊行為を楽しそうに実行、または指示する様子は、明らかに『ダークナイト』のヒース・レジャーをイメージしたものだと思うが、マッチョなボディにガーリーな衣装を纏い、頭のてっぺんをツインテールにして飛び跳ねるその姿は、ジェンダーフリー時代を象徴していて秀逸だと感じた。
ロングシリーズの延命は魅力的なヴィランにかかっていることを改めて実感させる1作だ。
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