「『ワイルド・スピード』はアベンジャーズだった…!」ワイルド・スピード ファイヤーブースト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
『ワイルド・スピード』はアベンジャーズだった…!
22年、スピンオフも含めれば11周目。
爆走し続けてきたこのシリーズも、いよいよ最終コーナー。
昨今の大ヒット人気シリーズあるある。最終章は2部作構成で。
その大事なスタートダッシュ。
ストリート・カーレースがいつの間にか世界スケールの大アクションへ。
毎回毎回アクセル踏みっぱなしの大アクションには度肝を抜かれ、我々の見たいという渇望を存分に満たしてくれるが、それと比例してリアリティーは減速し、ありえねー!ツッコミ所は加速。
その為、『~MEGA MAX』以降興行だけじゃなく批評も意外に良かったが、遂に宇宙にまで飛び出しちゃった前作でちと蛇行に。
今回もありえねー!ツッコミ所は平常爆走。批評も鈍いようで。
本当に、もう何でもあり。色んな意味で。
だけど何だか言っても言われても、見た後爆走したくなるハイテンションにブレーキはかからない!
巨大金庫を引きずり回したり、戦車が出たり、空を飛んだり、潜水艦が出たり、宇宙にまで走り出したり…。
もうこのシリーズのありえねー!ツッコミ所満載のアクションには動じないつもりでいた。
が!それでも!またしても度肝を抜かれるアクションの連続に度肝を抜かれた。
冒頭のローマにて。お馴染みド迫力カーチェイスに加え、転がる鉄球爆弾が爆発寸前。爆発すれば街そのものが吹っ飛ぶ。止めろ!
リオの橋の上でのスリリングな攻防。
各々の肉弾戦(特にレティvsサイファー)や、ストリート・カーレース映画ではなくなったけど、ストリート・カーレース・シーンも織り込み、初心忘るべからず。
クライマックス。ポルトガルにて最大の見せ場のカーアクション。ダムに追い込まれ、絶体絶命…。
全てのアクションが常識外れ、規格外、桁外れ。
有無をも言わせないアクションの怒涛の爆走に、今回も興奮MEGA MAX!
シリーズ初登板のルイ・ルテリエが、『トランスポーター』『タイタンの戦い』で培ったアクション演出を存分に発揮。
そう、『~MEGA MAX』。
シリーズは全て流れを汲んでいるが、今回はそのシリーズ5作目と色濃い。
『~MEGA MAX』と言えば巨大金庫引きずり回しアクションに圧倒され、本作でシリーズは今日のスーパーエンタメへと変貌を遂げた。私もそれまではシリーズはそこそこ好きだったが、『~MEGA MAX』で一気に心鷲掴みにされた。ある意味、シリーズの記念碑的作品。
その時、ドミニクたちと対したのは、リオの麻薬王、レイエス。
あれ? どんな奴だったっけ?…安心して下さい、おさらいシーンありますよ。それで思い出した。
開幕はこの『~MEGA MAX』のクライマックスの金庫引きずり回しアクションから始まる。
あっ、ブライアンの姿が…。
12年前。まだブライアンがいた。そして、“敵”にもある人物がいた。
レイエスの息子、ダンテ。
この時戦いに参加していたが(既存シーンと新撮シーンを巧みに編集)、ドミニクの車のクラッシュよって、戦線離脱。
落下した海の中で、一瞬死ぬが、覚醒する。
だって当然。“アクアマン”だもん。
ドミニクたちに倒された父親の復讐。
今回の敵ダンテは、シリーズ最凶の敵の称号に相応しい。
単なる復讐鬼ではない。相当な切れ者。
10年以上に及ぶ復讐計画。ドミニクたちの様々な足跡、繋がりを徹底的に調べ上げ、常に先手を打つ。罠に嵌める…。
ただドミニクを殺すだけじゃ生温い。苦しめる。
その手段は、ドミニクの愛する“ファミリー”を標的に…。
常にチームを組んできたファミリーだけじゃなく、これまでの関係者&協力者。さらにはあのサイファーも。『~ICE BREAK』でドミニクにとって憎き敵として登場し、前作でも対した因縁あるサイファーが、ダンテに襲撃され、傷付いた身体で警告を。(にしても、事情が事情とは言え、ドミニク宅に堂々と訪問してくるサイファーの肝っ玉もスゲェ…)
お前は俺から大切なものを奪った。俺も同じ事をしてやる。お前から大切なものを奪ってやる。苦しめ!
徹底的にドミニクを苦しめるダンテ。
その策略によって、ファミリーはバラバラに離れ裂かれ、魔の手が…。
ダンテの魔の手は何より愛するリトルBに迫ろうとする…。
ドミニクの最大の強みはファミリーの絆と愛だが、サイファーの時もそうだったが、そこを突かれると最大の弱点になる。更なる非情な手段で。
ドミニク・ファミリー最大の危機。
復讐鬼であり、頭の切れる知能犯であり、イカれたクレイジー野郎。
憎々しいが、シリーズ最凶の敵として間違いなく圧倒的な存在感。
ジェイソン・モモアが作品を支配する。
腐乱死した部下二人に足の爪のペイントしながらのトークは個人的にお気に入り。ダンテのイカれっぷりが表れたシーンであると同時に、ジェイソン本人もノリノリ嬉々として演じているのが伝わってくる。
極悪アクアマンと激戦を繰り広げるは、こちらも“ヒーロー集団”。
“グルート”ヴィン・ディーゼル、“ピースメイカー”ジョン・シナ、“クレア(『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のラストシーンにカメオ出演)”シャーリズ・セロン、今回からシリーズ初参戦の“キャプテン・マーベル”ブリー・ラーソン。
今回出演はしていないが、カート・ラッセルとマイケル・ルーカーはディーゼルと同じ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』組。それから忘れちゃいけない“ワンダーウーマン”ガル・ギャドットに“ブラックアダム”ドウェイン・ジョンソン。
皆、不死身なのは当然。『ワイルド・スピード』は“アベンジャーズ”だったのだ…!
そうでなくとも、彼らのやり取り、絆は醍醐味の一つ。
ローマン、テズ、ラムジー、ハンの珍道中。
孤立無援の彼らはハンの思い付きである所へ。そこでハンは“自分を殺した”デッカードと再会。(前作のED後シーン)
成長したリトルB。魔の手が迫る。彼を守るは、ミアとジェイコブ。前作ではあまり絡みがなかったが、今回は共闘シーンあり。そうそう、この二人も兄妹なんだよね。
ジェイコブとリトルBはドミニクたちとの合流地へ向かう。僕とおじさんの逃避行ロードムービー、もうちょっと見ていたかった。
にしても、前作では敵として兄ドミニクに憎悪を燃やしていたジェイコブ、急に別人になったようにいいおじさんに。彼も色々ありました。
デッカードママも引き続き登場。それ意外にも、ブリー・ラーソン演じるミスター・ノーバディの娘、リトルBの実母の妹、さらにはトレット家の長であるグランマ(演リタ・モレノ!)も登場。○○の○とか、今まで触れられなかったのが不自然なくらいファミリーが増えていく。
その中に、本当のファミリー。亡きポール・ウォーカーの実娘。あの役だったのか…。
皆、ファミリーなのだ。見る我々、世界中のファンや観客も、ドミニク・ファミリーの一員なのだ。
それだけに、今回の危機は本当に絶体絶命。
築き上げてきたもの、育んできたもの、それらが壊され、標的にされ、奪われていく…。
ドミニクたちは確かにこれまで世界の危機を救った。インポッシブルなミッションもクリアしてきた。
が、その分やりたい放題。誰の手回しか分からないが、どんなに世界中で暴れても罪には問われなかった。
そのツケが回ってきたのか…? 一番最悪の形で。
だけれども…
愛するファミリーに危害が及ぶのは絶対に許さねぇ。
守る。とことん戦ってやる。
それはダンテも同じ。
奪う。とことん苦しめてやる。
ラストシーン。
ダムに追い詰められたドミニクとリトルB。
当然ながら、ダム決壊…。二人はどうなる…!?
…って所で、今回は一旦レース終了。
次が本当の最終レース。
…と思ったら、2部作予定の筈が3部作の“延長レース”が聞こえてきた。
とにかく、早く再開してくれ!
続きが気になるが、ラストに登場した思わぬ人物二人の動向も大いに気になる。
一人は、ディーゼルと仲違いしてシリーズ降板したと報じれたアノ人。やっぱり彼のカムバックを望んでいた!
もう一人は、まさかのアノ人! もはやシリーズ恒例、死んだと思われたキャラが実は…。“ワンダー”なサプライズ!
もう驚かない。きっと『ワイルド・スピード』の世界には“七つの龍の玉”があって、生き返る事が出来るのだろう。
行方不明のミスター・ノーバディも、今回死んだ?死んだかもしれないキャラも、皆カムバックしてくるだろう。
最終レースは、皆勢揃いして、もうとことん爆走しまくってくれ!
でも、ブライアン/ポール・ウォーカーだけは…。
いやひょっとしたら、アーカイブ映像を駆使して、最後の最後、超サプライズ登場するかもしれない…?
何だ、また禁じ手か…。オイオイオイ、幾ら何でもそこまでやるか…?
そう思いつつも、最愛のファミリーの再会シーンがあったら、きっと私は、男泣きしてしまうだろうなぁ…。
ご配慮痛み入ります〜♪
あはは、最後、潜水艦の辺りじゃ自分でも「マジかよ」って笑ってしまいました。
ジェイソン・モモア、本当に良かったですよねぇ。
「僕とおじさんの逃避行」も同感です。
この上、トニー・スタークまで参戦したらどんな事になってしまうんだか。
まだ、声かけ段階みたいだけどヴィーゼルが口にするって事は好感触は得てるってことなのか。
現在確定中の面子だけでも充分フィナーレは飾れそうだから確実に安定の面白さを追求してほしいと願ってますw