「最強の絆、絶体絶命!」ワイルド・スピード ファイヤーブースト しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
最強の絆、絶体絶命!
"ワイルド・スピード" シリーズ第10作(通算第11作)。
通常スクリーンで鑑賞(吹替)。
冒頭から怒涛の展開。5作目のクライマックス、高速道路のシーンを流用しながら(ブライアン…泣ける)、新撮映像との無理の無い接続が素晴らしく、ダンテ・レイエスを紹介するプロローグとして最良のつくりだなと思いました。
家族の恨みを晴らそうとするヴィランが立ちはだかる展開は7作目ですでに使われていて二番煎じではと懸念しましたが、前作からさらにレベルアップしたアクション・シーンが畳み掛けられ、そんな懸念はいつの間にか消え去りました。
爆弾転がしはクライマックスに持って来てもおかしくないハラハラ度で、はじめからブーストしてんなぁ、と…。さすが終わりの始まり、気合いの入り方が違う。アドレナリン全開なカー・アクションの乱れ打ちに興奮しっぱなしでした。
本編には久々の登場となったデッカードのアクションが見られて大満足。もうちょっと出番が欲しかったところですが、それは次作に持ち越しと云うことで、どんな活躍をしてくれるのか期待が高まる。まずはおふくろさん守ってあげて!
これまでドミニクたちが迎え撃って来た数多の敵たち、作品ごとに史上最強と銘打って登場していたけれど、本作のダンテこそ正真正銘・完全無欠な史上最強・最悪のヴィラン!
ドミニクたちの二手三手先を読んで罠を仕掛け、粘着質に追い詰めて来るダンテの恐ろしいこと恐ろしいこと。ドミニクの最大の強みが弱点に変わり、いよいよ絶体絶命か?
「ロード・オブ・ザ・リング」の「旅の仲間」のラストみたいにバラバラになったファミリー。集結した時には最高のカタルシスが待っているに違いないと、今からワクワク!
ドミニクは、自分の大切なファミリーを守るためとは言え、敵のファミリーを壊わしていたわけであります。どんなクソ野郎な敵にも、そいつを愛する家族がいるのだと云うことに、今まで考えが至らなかったことを思い知らされました。
ファミリーを踏みにじられる痛みをいちばんよく知っているのがドミニクであることにも思い至り、ドミニクを苦しめるために彼の(シリーズの)根幹を巧みに突いて来るダンテこそ、このサーガのフィナーレに相応しい敵役なのだと実感。
最高にイカれているのにどこかおかしみもある役柄を見事に体現しているジェイソン・モモアの演技によって、素晴らしいキャラクターとして成立しているダンテとの戦いは、果たしてどのように決着するのか、今から大変楽しみです。
あぁ、続きが待ち遠しい。でも終わるの寂しい!
[余談1]
設定の後付けに次ぐ後付け。キャラが実は死んでいませんでした。昨日の敵は今日の友。…この3つがシリーズの持ち味であり懸念点でもあるわけですが、本作でもそれは健在。
嬉しい反面、大丈夫なのかと憂慮してしまいそうになりましたが、最後の最後、誰もが待ち望んでいたであろう最高のサプライズが待ち受けていました。それは観てのお楽しみ!
[余談2]
前作の悪人面が嘘みたいに陽気なおじさんにキャラ変していたジェイコブ。ジョン・シナのコミカル演技が秀逸で今後の活躍も期待大だなぁ、と思っていたのに…さすがに泣いた。
でも…蘇る可能性は充分に残されている!?