「完成度の高さと俳優陣の演技と雰囲気は好きな作品」岸辺露伴 ルーヴルへ行く といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
完成度の高さと俳優陣の演技と雰囲気は好きな作品
原作は未読、NHKのテレビドラマ版『岸部露伴は動かない』は全話鑑賞済み、アニメ版はネットフリックスで何話か鑑賞。『ジョジョの奇妙な冒険』第四部のアニメは全話鑑賞済み。大爆死した山崎賢人主演の実写映画『ジョジョの奇妙な冒険ダイヤモンドは砕けない第一章』も鑑賞済みです。
高橋一生が演じる岸部露伴の再現度の高さが非常に話題になった、NHK制作のテレビドラマ『岸部露伴は動かない』の劇場版です。申し訳程度に初見の方への説明はありますが、基本的にはテレビドラマを鑑賞済みの方やジョジョについて最低限の事前知識を持った方をターゲットにしているように感じました。
公開前はかなり大きな期待をされていた本作でしたが、私の観測する限り、あんまり高い評価は受けていないように感じます。私も鑑賞して感じましたが、映画ならではの盛り上がりとかそういうのがあんまり無くて、悪い意味でテレビドラマ版と変わらないと感じました。作品自体がストーリーの盛り上がりの起伏が少なく、雰囲気と演技と会話の間で魅せるタイプの作品なので、ドラマの1時間弱の尺がちょうど良かったんだと思います。
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人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品『岸部露伴は動かない』の実写映画。リアリティにこだわり、精力的に取材を行う漫画家、岸部露伴(高橋一生)。他人を本にして過去の生い立ちや秘密を読むことができる特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を持つ彼は、取材先で不思議な事件を見つけては首を突っ込んでいた。露伴の幼少期、祖母の家に居候していた女性から聞いた「邪悪な黒い絵」の噂。その絵がルーブルに収蔵されていることを知った彼は、新作漫画の取材旅行のためルーブルを訪れる。
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これはテレビドラマ版を鑑賞していた頃から思っていたんですが、スピンオフ元である『ジョジョの奇妙な冒険』はテンションの起伏の激しいバトル漫画ですが、本作『岸部露伴は動かない』は大きな盛り上がりどころが無い、淡々とした作品なんですよね。終盤に向けてじわじわと盛り上がっていくような感じ。1時間弱のドラマならめちゃくちゃ楽しめたんですけど、2時間近い映画作品になってしまうと、その淡々とした盛り上がりが「冗長」と感じられてしまいました。
ラストのオチもなんだかイマイチに感じます。幼少期の露伴少年が密かに思いを寄せていた祖母宅に下宿していた女性が、露伴が探していた日本人画家・山村仁左右衛門の妻の幽霊的な何かで、旧姓が「岸部」だったというオチ。おそらく露伴の遠い親戚にあたる人なのだと思いますが、それなら回想で山村仁左右衛門を岸部露伴役の高橋一生が演じているのは、違和感ありませんか?仁左右衛門と奈々瀬の間に子供いませんでしたよね?ということは、山村と露伴は血の繋がりは無いのだから、同じ俳優が演じるのはおかしいです。誰か他の俳優さんを使った方が良かったと思います。
上記のような不満点はありつつ、良い意味でも悪い意味でもテレビドラマ版とあんまり変わらない内容だったので、テレビドラマ版のファンの方はそれなりに楽しめるかと思います。本作独特の雰囲気だったり言葉遊びだったり、俳優陣の素晴らしい演技は映画でも健在です。
ジョジョ好きの方・テレビドラマ版のファンの方は、ぜひご覧になってみてください。