「残念だった」岸辺露伴 ルーヴルへ行く みさきさんの映画レビュー(感想・評価)
残念だった
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テレビドラマシリーズがとても面白かったこと、ルーヴル美術館が出ること、この2点においてかなり期待値が高い状態で映画館に足を運んだが。
結論を先に言うと、相当な期待外れ。
ルーヴル美術館内の映像は確かに美しかったが、それは撮影対象が美しかったからというだけ。あれなら特集番組などを大画面のテレビで観れば良し。パリの町並みなどに関しては、ネット上にいくらでも美しさのみを表現した写真ならいくらでもある。
そもそもテレビドラマに惹き込まれ、面白いと感じたのは、ヘブンズドアという特殊能力を土台に繰り広げられる会話劇にあったように思う。あるいは日常に潜む、正体のはっきりとは最後まで分かり得ない、恐ろしさ。
しかしながらこの映画には、じっくりと何度も聞きたくなるような、そんな会話劇はなかった。
そして一番がっかりしたのは、恐ろしさの陳腐さ。もちろんストーリーとして必要だったのだろうが、仁左衛門の亡霊的なものがハッキリとした形として現れ暴れまわったのには、相当に悪い意味でびっくりさせられた。
例えば、テレビドラマにあった背中の正面で猿之助演じる雅三が、黄泉の国へ飲み込まれるシーン。黄泉の住人たちがハッキリとは描かれないからこそ、より恐ろしさがあり、そこが面白かったのだと思う。
当初は二度三度と足を運ぶ予定だった、この映画。そうではなくなってしまった。とても残念。
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