「安定のおもしろさ、美しさ」岸辺露伴 ルーヴルへ行く きーとろさんの映画レビュー(感想・評価)
安定のおもしろさ、美しさ
ドラマ版は全て鑑賞済み。ジョジョの原作は6部まで読了、ドラマや本作の原作にあたる岸辺露伴のスピンオフは未読です。
ドラマと変わらぬおもしろさでした。ドラマ版が気に入った方なら楽しめるはず。ただ登場人物はドラマ版よりクセが弱めですかね、奈々瀬のミステリアスで色っぽい感じはよかったです。木村文乃さんの話し方が魅力的で見入ってしまいました。
約120分という尺でゆったりした展開ですが、本作のミステリーホラーな雰囲気に合っていて、個人的にはあまり気になりませんでした。
冒頭の故買屋のシーンが良い。しょっぱなから露伴らしさ全開で素晴らしい。(ヘブンズドアーされて見下げられる擬似体験ができるカメラワーク最高!)
高橋一生さんの露伴の立ち振る舞いと喋り方がとても好きです。なんだかクセになる。
ルーヴルでの黒い衣装+丸いサングラス(祖母の形見らしい)の姿が刺さりました。パリの風景と相まってお洒落で美しいんですわ。
ドラマの時から美術面がとても好きです。奇抜さを上手くリアルに馴染ませた衣装とか、露伴の部屋とか、ロケ地のチョイスとか。カメラワークや色調、撮り方も世界観に合わせていて見ているだけで楽しい。
本作では顔料の話なんかも興味深くて良かった。実は伏線でもあったんですね。
ルーヴルと日本の風景、空気感もいい対比になっていて引き立てあっていたように思います。
過去の露伴ってあまり想像できませんでしたが、長尾謙杜さん衣装も似合っていましたし、奈々瀬とのやりとりでどぎまぎしていてかわいらしい。露伴先生にもこんなかわいい頃があったのか…笑
夏のじっとりした湿度と少しの奇妙さ、ゆったりとした時間の流れ…相性がいいですね。
泉君とのやりとりも健在。かわいくて笑えて楽しい。
全体的に重い雰囲気の続く中、泉君が清涼剤になってくれていました。終盤はウルっとくる場面も…。
終盤、見たら幻覚に襲われるとわかっていながら絵を見るのがなんとも露伴先生らしい。この絵も最後まで観るとちょっと見方が変わったりして良かったです。
一段落して更に残った謎を解き明かしてくれるのも好印象でした。いろんな高橋一生さんが見られるのでファンの方は必見なのでは。
序盤で車の幻覚にやられた人は黒い絵は見ていないのになぜああなったのかとか、蜘蛛や奈々瀬の存在に関して完全には腑に落ちていない部分もありますが、楽しさが勝ったので満足です!もう1回観ても新たな発見ができそう。
好きなシーンはたくさんありますが、ルーヴルでファンにサインあげるところがジョジョっぽくてめっちゃ良かったです。
音楽とSEも◎です。
映画館で岸辺露伴を観られるなんて、幸せな体験でした。ドラマでも映画でも、これからも続いて欲しい!