丘の上の本屋さんのレビュー・感想・評価
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【「世界人権宣言」本から得た知識と正しき思想は一生の宝物なのである。今作は、心優しき年老いた自由を愛する古書店主とアフリカら来た移民少年の交流を軸に、本の大切さを描いた作品なのである。】
ー 古書店主ののリベロ(イタリア語で自由)の店には、様々な客が来る。-
・冒頭表れたのは、ナチス思想に被れた男である。彼は「我が闘争」を求めるが、リベロは無いと言い、代わりにその男に分厚い本を渡し、”この本にはあらゆる人物の事が書かれていますよ。”と言う。あの本は、愚かしきナチスの所業を描いた歴史書であろうと、勝手に推測する。
・ある日、リベロの家に有色人の少年エシエンがやって来て、店先の漫画本を眺めている。リベロは”どれでも、持っていって良いよ。””お金が有りません。””貸すだけだから、お金は要らないよ”と会話を交わし、少年は嬉しそうに本を抱えて走り去る。
・そして、3度目からはリベロは少年に「ピノッキオを大冒険」や「イソップ童話」「星の王子様」「白い牙」「白鯨」などを順番に貸し、返しに来た少年に感想を嬉しそうに聴くのである。
■リベロの店には、初版本の収集家や、自分が出版した本を探す教授、発禁本(政治的な理由で)に興味を示した牧師など、様々な人がやって来る。
神父には、”発禁本だから売れません。但し、読んだら又持って来てください。多くの人に読んで欲しいので‥。”と言ったりする。
リベロの店の隣のカフェを営む青年も、毎日やって来る。体調の悪いリベロを気遣う優しい青年であり、好きな女性の気を引こうと頑張る青年である。
<ある日、リベロはエシエンに青い薄い本を貸し出す。
だが、エシエンがその本を返しに来た時には、店の戸は締められている。
店の戸には”喪中につき・・。”と記されている。
そして、隣の青年がエシエンに渡したリベロからの手紙。
エシエンの手には青い薄い本「世界人権宣言」が握られているのである。
今作は、本好きには堪らない佳品だと思います。>
本を読むのが好きな人には刺さる
試写会にて視聴。
上映後のパンフレットに寄稿した作家と翻訳家の対談は退屈を極め、余韻を汚す悲惨なモノであった。
マイナス評価終了。
以下つらつらと。
石造りの街並みがとても綺麗。
日本人的に住みたいとは思わないけれど、歩いてみたい、そんな街。
主人公のリベロ爺を中心とした登場人物の繋がり、掛け合いに生きた血が通っている様で、素敵。
特に毎日のニコラとの掛け合いは羨ましいを通り越して尊い。
エシエン君、始めは女の子かと思った。
漫画読みから白鯨を読めるようになるのは中々素質が高い。
本好きならこんな子、育成したくなる気持ちも良く解る。
薦める本のラインナップが渋い。
日本の今の子供だと多分うまく行かない。
多分ピノキオで読まなくなる(悲)
シュバイツァと星の王子さまを薦めるのは、思わず唸るほど共感できる。
総評:本屋さんではなく古本屋さん。
それが凄く大事。
追記:京極夏彦の「書楼弔堂」シリーズと三上延の「ビブリオ古書堂」シリーズ好きの身にはイタリア版のそれに思えて終始多幸感に包まれて観ていた。
古書は渡り歩いた持ち主によって育ち続ける。
本とかつての持ち主との物語を読み解くのが古書の醍醐味の一つであり、その意味でもリベロ爺のエシエン君への無料レンタルや禁書本は販売ではなく進呈と言うスタイルはしびれる程カッコイイのだ。
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