「エシエンに出会えて幸せ者だ」丘の上の本屋さん つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
エシエンに出会えて幸せ者だ
主人公リベロが移民の少年エシエンに本を貸し、親交を深めていくというのが物語の中心だ。
少々コミカルで優しい雰囲気の作風は心地が良く、シンプルに良い作品だったなと思える。
移民だけではなく幾人かの変わった人々や、本についての多少の蘊蓄など見るところはある。
それでも自分が一番気になったところとしてエシエンの成長をあげたい。
エシエンが自分で本を選んでいるわけではなくとも数冊目には白鯨であり、それを読破した。
映画なので少々ハイペースな成長ではあるだろうが、自然な成長をみせているといえる。
それを見ると日本人の成長の鈍化具合に少々不安を感じてしまうのだ。
自分は映画ファンなので映画に置き換えるならば、子どもの頃に戦隊ものなどを観て、小学生になればディズニーなどを観て、中高生になれば日本のアニメ映画などを観て、その後はワイルドスピードとかミッション・インポッシブルなどを観て、次に本作みたいな作品に移行する。そして映画好きならば国際映画祭の受賞作を観たりし始める。
もちろん好みの問題があるので誰でも全員がとは言わないが、中高生向けの作品で止まっている人が多すぎないかと感じてしまうのだ。
若年層向けの作品を観るなとは言わないけれど、そういうのって次第につまらなくなっていくものなんじゃないの?。
日本の洋画離れが進んで、洋画がつまらなくなったからと言われたりもしているが、ただ単に多くの人の成長が止まって、若年層向けしか楽しめなくなったからな気がしてしまうのだ。
そんなわけで、晩年とはいえエシエンに出会えたリベロは幸せな本好きだなと羨ましく思った。
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