劇場公開日 2023年2月17日

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「【”見者”、オタール・イオセリアーニ監督ならではの作品。今作を観ると、芸術家って”見者”の素養と資質が必要なんだなあ、と思った作品でもある。】」ある映画作家の手紙。白黒映画のための七つの断片 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 【”見者”、オタール・イオセリアーニ監督ならではの作品。今作を観ると、芸術家って”見者”の素養と資質が必要なんだなあ、と思った作品でもある。】

2025年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

癒される

◆感想
 今作では、ノンテロップでパリの街の日常と、非日常(銃で、男二人が撃ち合うシーン)が7シーン映される。
 人の手が紙に書かれた1.2.3を持ちカメラの前に差し出すシーンを映し出してから、シーンが変わって行くのである。
 面白いなあ。
 これが、2時間続くと少し飽きるけどね。21分だと丁度いいのである。
 今作を観ると、オタール・イオセリアーニ監督が、優れたる”見者”である事が良く分かるのである。

■NOBUが”見者”だと思っている人。

 それは、故、武田百合子さんである。
 武田泰淳の奥さんであるが、この方のエッセイは実に面白い。
 この方は、年代的に三~四回りほども違うが、知った理由は子供達が小学生の頃は土日の食事は私が作っていたので(家人を土日位は家事から解放したい&料理好き)、レシピ本を沢山買っていたのだが、特に高山なおみさんのレシピ本が好きで、この方が好きだと書いていたのが、武田百合子さんだったのである。
 代表作「富士日記」3冊を読んで面白さにビックリし、その後他のエッセイも読んで行った。特に「遊覧日記」は好きで、今でも時折目を通す。
 解説を書かれた巖谷圀士氏(この人のエッセーも、抜群に面白い。)にあるように、武田百合子さんは、見事なる”見者”である。
 「遊覧日記」に収められた「浅草花屋敷」などを読むと良く分かると思う。

<今作を観ると、芸術家って”見者”の素養と資質が必要なんだなあ、と思った作品である。>

NOBU
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