「そこに至る経過をもう少し丁寧に描いて欲しかった」劇場版 SPY×FAMILY CODE: White えい六さんの映画レビュー(感想・評価)
そこに至る経過をもう少し丁寧に描いて欲しかった
スパイファミリー
ネタバレ有りのレビューです。
映画を視聴してから読まれる事をお勧めします。
では始めます。
点数は50点位かな。ちと残念だったわ。
マンガが原作で、更には連載中ってなると1番気をつけないといけないのが…。
最低限、原作自体のストーリーラインを乱さないようにする事と、メインキャラを崩壊させないように立ち振る舞いさせる事。
この2点だな。
なので、映画自体は当たり障りが無いように作られるのはしょうが無いと思う。
そこは最初から納得も出来るが、幾つかキャラにそぐわない行動があったのでこの点数にしました。
映画本編の大まかな流れとストーリーラインはそこそこ良いんよ。
俺は評価する。
原作になるべく迷惑をかけないようにはしてる中で、更に面白くしよう映画にしようと努力してるのは見てとれる。
プロジェクトFのあのメカ敵キャラとウンコ連呼はちとどうかとは思うが…。
まあ、映画だし幅広い年齢層に受けようとするのも分かるし、ヨルさんに匹敵する強い敵で映画的に映えるのは必要ではあるから良しとしよう。
だが幾つかの点で、そこに至るまでの経過でキャラにそぐわない行動をされたらホントに萎えるのよ。
先ずはアーニャ。
マイクロフィルム入りのチョコを食べてしまう訳だが…。
映画だと、落とし物の鍵をトイレでアーニャは見つけ、その鍵の合うカバンを勝手に開けて中を見る。
その中にあるチョコを偶然とはいえ思わず食べてしまう。
ドミトリとルカはチョコが無くなったのを知り、近くにいたアーニャが食べたモノと思い襲うがヨルさんに撃退される。
ここまでに至る流れはさ、アーニャがチョコを盗んだ事に変わりないよね?
これは頂けない…。ノットエレガント!!
アーニャというキャラに合わないし、食べたのを直接見て無いのに食べたと決めつけて襲うのはストーリーの流れが非常に悪い。
そこは、普通に拾い食いをしてしまった方が、まだアーニャの行動っぽかったぞ。
例えば…。
ドミトリとルカは食堂車でカバンを開けマイクロフィルム入りのチョコを確認しようと取りだす、あの二人は小心者っぽいしね。
そこにあると分かってても思わず確認しちゃった。
その瞬間列車はガタンと強く揺れチョコを落とし、思いもよらずに遠くまで転がってゆく。
で、トイレから出て来たアーニャがそのチョコを見つけ、美味しそうだからと思わず食べ、その食べた瞬間をドミトリとルカは見てしまう。
もしくはトイレから出たアーニャがチョコを拾い上げた瞬間に、また列車がガタンと強く揺れ思わず口に入って食べてしまう。
盗んでしまう結果は同じでも、経過が違えば印象はまるで変わる。
チョコの拾い食いはバッチーだろと思うわれるなら、オブラートで包装され食べる時に剥けて食べたでも良かっただろうな。
まあ、とにかくアーニャに盗みを働かせ悪い子にしたキャラ崩壊の流れはダメだっ!
次にロイドさん。
メレメレというお菓子の材料である、サクランボリキュールを街中くまなく探すが全く見つからない。
仕方なく情報屋のフランキーに頼みサクランボリキュールを持ってきて貰いそれを受け取るために外出しようとするが…。
アーニャは犬のボンドの予知能力でサクランボリキュールの場所を察知し、それを手に入れるべくホテルを勝手に抜け出し手に入れる。
このストーリーの流れ、一見問題無いように見えるが…。
ノットエレガント!!
ロイドさんが見つけられなかった状況を作るのが下手過ぎ。
ロイドさんが街中探し回ったのに見つけられず、しかもアーニャがホテルから徒歩で行ける距離に、サクランボリキュールがあったのは、ロイドさんという万能一流スパイにはそぐわないミスだ。
キャラ崩壊に近い行動だな。
この場合、ロイドさんでは決して見つけられず、さりとてアーニャが見つけても、ロイドとヨルさん二人には疑われない場所を考えなければならないよね。
なら例えば、こんな場所…。
オモチャ屋にサクランボリキュールがあったとしたらどうかな?
この時期ならオモチャ屋が、クリスマスに手作りケーキはいかが?の材料コーナーを作ってたら、ロイドさんが見つけられなくてもギリギリ納得出来る。
で、ロイドさんにリキュールを渡す時にオモチャ屋にあったと言えば…。
ロイドさんもヨルさんも、アーニャが抜け出し、かつサクランボリキュール見つけたのにすんなり納得出来たんではないだろうか?
もしくは第2案。
ホテルの外に出掛けるとサクランボリキュールをなぜが貰えるという未来予知をボンドがしたので、ボンドと出掛けるアーニャ。
だがさらわれ、飛行船へと連れて行かれる。
それで飛行船の中でウンコを出す薬としてドミトリとルカからサクランボリキュールを渡され思わずゲットする。
適量のアルコールは便秘の改善に良いらしいし。敵のボスのスナイデルはお菓子好きだし、ドミトリとルカの二人の内どちらかがお酒飲むと下痢する体質という設定でも良いな。ドミトリ神経質っぽいし。
とにかく、ロイドさんという万能一流スパイでもサクランボリキュールを見つけられなかったとい状況を納得したいのだよ。
俺が!!
で、次にヨルさん。
飛行船の中でアーニャを探してる最中に、プロジェクトFの機械化兵士に有無を言わさずに襲われるヨルさん。
銃撃弾丸の雨あられの中で、口紅を使ってその機械化兵士を燃やし倒してしまうんだが…。
あのシーンはホントに納得いかんぜよ。
先ずは第1に、ヨルさんの相手の敵機械化兵士を、ヨルさん所属暗殺組織のガーデンから暗殺の指令もされてもいないのに殺してしまっても構わない敵だと、明確に確実にヨルさんと何より映画視聴者に対し認識させていない点。
これはヨルさんのキャラを完全崩壊させてしまう監督のだ~い失敗。
特大ノットエレガント!!
これは監督…やらかしてしまいましたな~。
敵が敵であると確実に認識させる。これホント重要。
そもそもヨルさんは、アーニャが軍に保護されているとロイドさんから聞いていて…。次に目の前の方達はチョコ強盗団と認識する。
つまり目の前の相手は特に殺すべき悪い相手と認識出来ないではないか。
その認識も出来無いのにヨルさんにあの大立ち回りをさせるのは、ガーデンって組織に所属するヨルさんを雑に扱い過ぎ。
ガーデンの殺し屋はシリアルキラーや快楽殺人者じゃ無いんだぞ。
銃撃され殺されようとしてるから反撃として殺してしまっては、ヨルさんの国の平和維持の為の暗殺思想と理念に反するよね。
であるなら例えばこんな感じ…。
ヨルさんに襲いかかる一般兵士達。
だが、その一般兵士達を気絶させ無力化していくヨルさん。
そこに機械化兵士が現れ、無力化された兵士達ごとヨルさんを屠ろうと弾丸を浴びせる。
ヨルさんは寸前に躱す事が出来たが、巻き込まれた兵士達は亡くなってしまう。
こうすれば少なくとも、ヨルさんは機械化兵士が倒すべき敵だと認識出来て、心おきなく暴れる事が出来ると思う。
で、映画視聴者に対しても…、敵は再び戦争を起こそうとしてる悪いヤツとしかふわふわした印象と情報にしかなっとらんよ…。
もう少ししっかりと敵の主目的は何を目的として、マイクロフィルムをどう活用し、どう行動してるのか、分かりやすくストーリーに組み込んで映像化して欲しかったわ。
次に第2に、口紅で火をつけて機械化兵士を倒すのは流石に無茶だな…。
既にあの火災の中で、口紅で付く程度の火力で敵が倒れても俺は納得いかんぜよ。
で多分あの口紅、ロイドさんから貰った口紅を使ったと思うんだが…。
ヨルさんのキャラなら確実にロイドさんから貰った口紅は大切に大切に使おうとするぜよ。
なので、こんな展開はどうぜよ。
銃弾の雨あられの中、何とか近づき機械化兵士にナイフを突き立てるヨルさん。
だが、機械化兵士にはナイフの刺突では意にも介さずナイフは壊れる。
機械化兵士の胸周りの弾丸が、腕の機関銃へとリロードされている事に気づいたヨルさんは、もう一度機械化兵士へと近づき…。
古い口紅を機械化兵士の胸の隙間へとねじ込む。
ヨルさんへ向けて腕の機関銃を発砲しようと機械化兵士だが、口紅が邪魔をして弾丸がリロードされず発砲も出来なくなってしまう。
機械化兵士に近接戦法しか出来なくさせれば、最早ヨルさんの優勢は変わりない。
一気に背負い投げで投げ、飛行船から突き落とし。
「そちらの口紅は差し上げます。新しい口紅をプレゼントされたので…」ってセリフでしめる。
少なくとも、貰った口紅を武器に使うのはヨルさんキャラには合わない行動だったぜよ。
まとめ、大まかなストーリーラインは決して悪くない。
細かなストーリーラインとなるとちと色々と難点もあるが…。
アニメ映画としてはギリ及第点。
だが、そこに至る経過を蔑ろにしてたりするのが、スパイ×ファミリーのキャラにそぐわない展開だったりして、落第点へと落ちてるかな。