「これ一本で、最新の怪獣映画だけじゃなく、『猿の惑星/キングダム』と『アイアンクロー』まで観たような気分になれる、たっぷり詰め合わせの一作」ゴジラ×コング 新たなる帝国 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これ一本で、最新の怪獣映画だけじゃなく、『猿の惑星/キングダム』と『アイアンクロー』まで観たような気分になれる、たっぷり詰め合わせの一作

2024年4月27日
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鑑賞方法:映画館

『ゴジラvsコング』(2021)に引き続いてアダム・ウィンガードが監督を務め、レベッカ・ホールやブライアン・タイリー・ヘイリーら前作キャストの続投も目立つ(アレクサンダー・スカルスガルドは出演してないけど)本シリーズの「怪獣優位」の方向性は本作においてさらに加速しており、もはや人間なぞ、怪獣の解説役程度の役割しか果たさなくなりました。

ちょっとネオンっぽい青や紫を多用したカラーや逆光を活かした画調は、おおむね前作を引き継いだもので、映像面ではシリーズとしての統一感がありました。

渡辺謙、小栗旬の出演など、前作までのゴジラと日本とを関連付ける要素も切り落とすほどの思い切りの良さ。それでいてゴジラの登場とコングの行動、各地に現れる怪獣たち、という作品設定がちょっと飲み込みにくく、アクション満載なのに中盤まで今一つ物語に入りきれないところもなきにしもあらずだけど、とある仕掛けにより巨大怪獣たちが縦横無尽に暴れる後半の戦闘は「鈍重」とはおよそ無縁の迫力です。

本作はつまるところ、コングたち一族の内紛にゴジラが巻き込まれる話、と言えなくもなく、巨大霊長類同士で戦うさまは、まるで『猿の惑星/キングダム』を先行して観ているかのよう(本編前の『猿の惑星』の予告が結構長いのも、もしかして意図的なのかも)。コングに敵対するスカーキングという王の振る舞いは、『アイアンクロー』にも登場するような悪役レスラーのそれでしかなく、しかも卑怯な手を使ってにやりとするあたり、シリーズ屈指の強敵のはずなのに、かなりの小物感が。スカーキング、シーモという怪獣はそれぞれコング、ゴジラの敵として魅力があるんだけど、特に地底世界での戦いでは、彼らの大きさの尺度を図るものがなく、規模感がつかみにくかったのがちょっと残念。スカーキングはコングとほぼ同じ大きさ、シーモはゴジラよりも大型、と頭の中で補正しながら観たほうがいいかも!

IMAXでも迫力十分だったけど、特に後半の戦闘場面の4DXでの鑑賞は、画面酔いしやすい人にはちょっときついかも知れません。この辺りは鑑賞前に、ご自身の体調とご相談を。

yui