「地下空洞に平和は訪れたが、地上がえらいことになってるのはスルーなのね」ゴジラ×コング 新たなる帝国 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
地下空洞に平和は訪れたが、地上がえらいことになってるのはスルーなのね
2024.4.26 字幕 MOVIX京都 ドルビーシネマ
2024年のアメリカ映画(117分、G)
『ゴジラ』『キングコング』のリブート的作品の『ゴジラVSコング』の続編映画
レジェンダリー・エンターテイメントとワーナー・ブラザーズによる「モンスター・ヴァース」シリーズの第5作目
地下空洞からのシグナルを察知した人類が未曾有の生物とゴジラ&コングの戦いに巻き込まれる様子を描いた怪獣映画
監督はアダム・ウィンガード
脚本はテリー・ロッシオ&サイモン・バレット&ジェレミー・フォスター
原題は『Godzilla × Kong : The New Empire』で、「ゴジラとコング:新たなる帝国」と言う意味
物語は、前作にてゴジラVSコングの決着がつい手から3年後の世界を舞台にして、未確認生物特務機関「モナーク」が地下空洞からあるシグナルを受信するところから紡がれる
技術者たちは機械の不具合だと考えていたが、そのシグナルと呼応するようにゴジラの活動が活発になり、人類言語学者のアイリーン・アンドリューズ(レベッカ・ホール)は、何かしら意味があるのではと考え始める
そこで、ポッドキャストで陰謀論を配信しているバーニー・ヘイズ(ブライアン・タイリー・ヘンリー)の元を訪ね、ヒントをもらうことになった
バーニーは「これまでの怪獣出現の時に同じシグナルを感知した」と言い、今回も「何かしらのSOSではないか」と言う
そこでアイリーンたちは地下空洞に降りて、何が起きているのかを確かめることになったのである
モナークの長官ハンプトン(レイチェル・ハウス)は、アイリーンの他に獣医のトラッパー(ダン・スティーヴンス)、パイロットのミケル(アレックス・ファーンズ)を同行させるものの、イーウィス族の生き残りであるジア(カイリー・ホットル)とバーニーもついてきてしまう
コングとともに地下空洞に入った一行は、そこで前線基地が破壊されていることに気づく
そして、そこにはコングではない何かの血のついた手形が残されていた
監視カメラを回収して中を確認すると、やはりそこには何かが映り込んでいて、地下空洞にはコング以外の何者かがいることがわかった
そして、ジアは何かを感じ取り、彼女の示す方へと向かうことになったのである
物語は、ジアの民族の生き残りと、グレイトエイブスの集団が見つかると言う流れになっていて、髑髏島の一族は地下空洞に逃れていたと言う展開になっていた
そして、そこには地上から守護神モスラを呼び覚ます救世主がいると語り継がれ、それがジアであることが判明する
ジアは期待通りにモスラを復活させ、コングVSグレイトエイブスの戦いに加勢することになったのである
映画は、所狭しと巨大怪獣たちが暴れまくる内容になっていて、それを楽しむために物語はかなり単純明快に作られていた
イーウィスの生き残りが伝説を壁画に残しているとか、ですよね展開が続くので、人類パートはあまり面白くはなかったりする
傷ついたコングにパワースーツみたいなのを装着させるのだが、何となくトランスフォーマー的な既視感を感じてしまった
ゴジラの放射能集めも大した出番がなく、原発が無茶苦茶になったフランス住めないよねとか、戦いの舞台になったブラジルもヤバいよねとしか思えない
アメリカ本土が舞台じゃないために米軍の出動がなかったりするのだが、あの戦いに人類が入っていけるはずもないので、傍観してどうなるかを見守るしかないのだろう
いずれにせよ、アトラクションムービーとしては良いと思うが、その割にはアイリーンとジアの母娘の絆みたいな安っぽい人間ドラマがあったりするのがノイズだったように思う
コングとスーコ(小さい猿)の関係とか、スカーキングとシーモ(囚われの氷の怪獣)が隷属的で、それがコングとの従属に変わると言う流れの方が重要だったように思える
自然界は「強者に従う」と言うが、シーモとスカーキングの関係は武器(クリスタル)を使っての恐怖政治だった
それが己の力だけで制圧し、頂点に上り詰めたことでシーモがなつくと言う感じになっている
でも、コングがパワースーツ(ビーストグローブ)を使用して、ゴジラとモスラの助けを借りて勝ち残っているので、このあたりはもう少しアシスト寄りにしても良かったように思う
VSではなく「×」なので、協力関係になるのは分かるのだが、本作の流れだと、コングが生身で打ち破る方が爽快感があったのではないだろうか
途中で邪魔になって脱ぎ捨ているとかでも良かったかもしれません