「駄作キングダム2の後に、超良作がやって来た!」キングダム 運命の炎 たけちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
駄作キングダム2の後に、超良作がやって来た!
キングダム1を見て感動して原作漫画のファンになりました。One Ok Lockも好きです。
コロナ禍で公開されたキングダム2を見て、あまりに原作無視の脚本演出で、かつ総じての駄作ぶりに呆れ返り、次回作は見るまいと心に誓いました。
ただ、シリーズ物にありがちな、駄作の次は良作のジンクスを思い出し(キングダム2,3は連作されており、3がメイン作品ではないかの世上の評価もあり)、しぶしぶ劇場に足を運ぶことにしました。
前日、地上波でキングダム2の放映を見て前作が間違いなく駄作だったことを再確認しました。加えて、キングダム2放映後に放映されたキングダム3冒頭11分を見てやはり駄作かと予感し、先のジンクスが外れることを恐れました。
しかしながら、劇場の大画面と大音響で冒頭11分を鑑賞し始めると(ただし、冒頭の嬴政と昌文君との会話は必要でしょうか?)、同じ11分なのに徐々に本作は面白いかも、→面白い気がする、→そうだ面白い、→間違いなく面白いと引き込まれていきました。顔のドアップの多い邦画にありがちなベタな撮影技法にもかかわらず、各俳優の演技に心を揺さぶられました。
細かい点をいえば不満がないわけではありませんが、そんなことは気にならず、見終われば、大、大満足です。
前半は、嬴政の当時の年齢、9歳の子役が演ずればまた違った感動があったでしょうが(それはそれでよかったかもしれません)、吉沢亮を使いながら、ほとんどその立ち姿を写さないで身長差を隠すなどして、杏と掛け合いさせることで少年期の嬴政を、破綻なく撮り終えているのは立派。吉沢亮の演技も杏の演技も心に迫ります。
後半は、山﨑賢人が人を鼓舞する演技に圧倒されます。
全体を通じて大沢たかおの王騎は原作の人物像を醸し出していて大好きです。
要潤、高嶋政宏、満島真之介、橋本環奈、濱津隆之、出番は少なかったが長澤まさみも好きなキャスティングです。清野菜名には多くのファンがいらっしゃるのは承知の上で、羌瘣には山本千尋を当てて欲しかったです。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人亅の暗殺者役の演技を見ても、本作の回想シーンの演技を改めて見ても、その年齢や武術経験からしても、どちらが役に相応しいかは明らだったように思えるのですが…。今回出演の佐藤浩市、玉木宏、山本耕史、片岡愛之助、そして小栗潤もそれぞれ役にハマっていて、よく考えたキャスティングです。なのに、羌瘣について外してしまったことが返す返すも残念でなりません。
ところで、今後制作されるであろう続編においては、より大規模な合戦シーンが続くことになりますが、みなさんがコメントされているように、それを映画化することができるのかは大きな課題でしょう。本作の急襲突撃シーンは、次回作で繰り返されても通用しないと思います。次回作が作られるとして、再び駄作に堕ちてしまわないかをとても心配しています。前作は、殺陣が非常に雑で貧弱、騎馬兵を含め個々の兵士に指導が行き渡らず、戦闘しているようには見えませんでした。本作では、前作ほど酷くはありませんが、やはり殺陣が不十分なところは克服されたとはいえないでしょう。ただ、前作で使われたアクションシーンのスローモーションや下手なワイヤーアクションがなくなり、時代遅れ感や安物感を払拭したことにほっとしています。
是非、劇場鑑賞をお勧めします。