君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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シン・ジブリかな??
※かなり重要な部分のネタバレありです。ご注意ください。
『風立ちぬ』を観て「もう宮崎駿監督は映画を作らないんだろうなぁ」なんて感じていたので新作が観られて本当に嬉しいです。長年に渡り情熱を持ってアニメーション映画を作り続ける姿勢に敬服いたします。
自分は監督の大ファンなんでどんな内容でも星5なんですがそれではレビューの意味がないのでここはあえて・・・。
まず、映像は間違いなく高クオリティ。これに文句をつける観客はほとんどいないと思います。どのシーンも安定的、かつさすがジブリと言える品質で安心して観てられます。
さて、問題はストーリーですよね。
舞台は戦時の日本。でも戦争はバックボーンにあるだけでストーリーには直接関係してきません。
主人公のまひと君(漢字忘れました。小学校高学年から中学生くらい?)は火事で母親を失います。
それから数年後、父親がいつのまにか母親の妹といい仲になり再婚します。
って!おーい!そりゃねえよ!!何十年後ならともかく学生の子供がまだ学生くらいの年月しか経ってないのに再婚?!しかも妻の妹と?!
ここを「そういうこともあるよね、まあ昔の日本だし」でスルーできるか「何この男最低!!!」となるかでこの映画を楽しめるかが分かれると思います。第一の関門。
話が逸れました。
傷心癒えぬまま田舎で継母と暮らすことになったまひと君。最初はどことなく不貞腐れて継母と距離を取っています。無理もない。
そこで母親が生前にまひとくんに遺した本「君たちはどう生きるか」を見つけ、それを読んでまひと君は前を向き始めます。タイトル回収はここで。まさかのキーアイテムでしたか。
その直後に継母が謎の失踪。本を読んでひと皮むけたまひと君は継母を探しに不思議の世界へ飛び込みます。
この不思議の世界の冒険がジブリ感満載。過去のジブリ作品のオマージュかな?関連してる世界なのかな?と思わせるような描写があちこちに散りばめられてます。ここは純粋にとても楽しかったです。
そしていろいろ冒険したクライマックス、ユパ様みたいなイケオジがまひとくんに「この不思議の世界の創造主になってほしい、さもないとこの世界は消える」と迫るのですが、まひと君は「自分には無理です」ときっぱりあっさり断って元の現実世界に戻ります。
ここで私はおおっ?!となりました。
今までのジブリ作品って少年少女に過酷な運命を託すものばかりだったんですよね。そして少年少女はそれを当たり前に受け入れる。ナウシカ、シータ、アシタカ、そうすけetc・・・。
何だか、そういう少年少女に対して「辛いことさせちゃってごめんね」と監督自身が言いたいのかなと、引いては今を生きる子供たちに「いかにももっともらしいことを言う大人や周囲に従わなくていい、自分の考えた道を進みなさい」と言ってるのかな・・・と思いました。
自身の過去作品を否定し完結した「シン・エヴァ」のような要素を感じました。もしかしてこれは「シン・ジブリ」なのか・・・?!
と、まあ完全な勝手な妄想です。これから情報がでてきて全然見当違いになるかもしれませんね!というかほぼなると思います。恥ずかし!
で、これを「面白かったから絶対に観るべき!」と人に自信を持って勧められるかというとちょっと悩むので星3.5です。自分は面白かったけど隣で見ていたどこかの子供は退屈そうにしてましたね・・・。不思議の世界での冒険が始まるまでがちょっと長いのと、テンポが緩いんですよね。あと子供が惹かれるような分かりやすく魅力的なキャラとかメカはいないので。
自分は満足でした!初見では見逃してるものがたくさんありそうなのでもう一回くらい観たいです。
宮崎駿の贖罪
悪意に溢れ歪んだ世界でどう生きていくのか。この作品はアニメーションを作り続けてきた宮崎駿の最後の贖罪の物語ではないのか。
主人公・眞人は裕福でありながら、それは父が戦時中に兵器(零戦の上の部分)を作っているからである。滑らかな曲線のボディを眺め美しいと思いながらも、この世界の歪みを感じる眞人。
母が亡くなった後、父はその妹である夏子を後妻とし子供を身篭る。兄弟だから代替できるものなのか。また、夏子の家は名家であり2人の結婚は勿論純粋な愛だけでない事もわかる。そう考えると夏子の言動に納得出来る。
そして眞人自身もある行為をし「悪意」を行う。
作中には現実世界の悪意と歪みが随所に出てくる。そしてそれに気付いているのは眞人だけではない。もちろん夏子も気付いているし、その他の人も言葉にはしないだけで各々がその歪みと悪意とを秘めている。
では大叔父さんが作ろうとした世界とは何なのだろうか。それは悪意のないユートピアであり、文学を読み漁っていた大叔父の作る世界とはフィクションの世界ではないのか。
すなわちそれは宮崎駿にとってはアニメーションを作ることである。しかしフィクションには功罪がある。「功」とは勿論今までも多く語られているし、自分たちも十分体感できている。しかし「罪」の方はどうだろうか。有名な話でトトロの例を挙げると、宮崎駿は対談で60回以上トトロを見ている子供に「危険だ、バーチャルでなく本物の自然と触れ合って欲しい」と発言したそうだ。ここにフィクションの「罪」の部分があるのではないか。もちろんアニメーションでも何でも、物語は生きる力になるが、そこに没入し過ぎてしまい現実が見えなくなることがある。
その一人こそが大叔父であり現実から逃げることで、フィクションの世界を作り上げる。そして眞人に継承させようとする。しかし「君たちはどう生きるか」を読み冒険をした眞人はこれらの悪意と歪み(現実)を直視した上で、この世界で生きていく事を選ぶ。ここに宮崎駿の最後のメッセージがあると思う。
大まかなテーマはこんな感じだと思うが、まだ細かい所まで解釈しきれていない。
ネタバレがしづらい映画
すごくおもしろかったと思います。
一回しか鑑賞していないので、雑感です。
この映画は、テーマのしっかりした視聴者に親切な冒険ファンタジーと捉えられます。その一方でメタファーが多いので、また別の見方ができるおもしろい作品だと思いました。
宮崎駿のことを知らなくても、知っていても楽しめる作品です。
アオサギが物語のテーマとして重要な役割を持っているので、広告ポスターに選ばれた理由がわかりました。
私小説的な側面のある作品ですが、前情報なしに鑑賞する体験そのものがこの映画をエンタメ化させていると感じました。
まさに集大成
宮崎駿の集大成。
醜いアオサギは宮崎駿自身。自身を嘘つき呼ばわりして自戒しながら、それでも今回も主人公の旅の案内をする。
主人公から見た最初の世界は、周りのばあばたちをトランクに群がる醜い虫のように見つめる、冷え切った世界。最初から人らしく見えるのは、美しい母に似た新しい母親と父のみ。それが旅を通じて、少しずつ周りの多くの人が、自分を守ってくれる優しい人だと気付く。
最初は卑しく表現されていたキリコは、力強い心を持ち、主人公も、幼い頃の母さえも助けてくれた人物だった。
自分にとって卑しいと感じるものをただ排除し、否定する我々現代人だが、自分自身もささやかな悪意を持つ存在であると、主人公の若者は最後に気付く。そして、ささやかな悪意を持つ存在の多くに、自分は守られているのだと徐々に気付く。
汚れなき積み木で楽園を築こうとする神は孤独の象徴であり、汚れなき存在などこの世に存在せず、全ての生き物が罪を背負って、ただ前に進んでいる健気な存在。
仏教感とも異なり、ただ自分の不浄を受け入れて、その中でこそ美しく輝く優しさこそが、おそらく宮崎駿が伝えたかったこと。
最後に主人公が現世に持ち帰った石の欠片は、この作品そのもの。すぐに忘れ去られる存在だが、それでも意味がある。
これは間違いなく、宮崎駿の最高傑作。
まずそのタイトルはどうなの?
それなり
今までのジブリにないものか?と言えば、それはそう。
例えばナウシカの代わりにこれを売り出していたら売れていたかというと、そうではないと思う。
芸術性は高いけれどエンタメの気質が削がれて、賞取り映画に近い形を感じる。
事前情報云々は、そもそも情報を一切シャットアウトして見る派なので大した新鮮味はない。台詞が少ないのは個人的に好きだった。
面白さはあるし、綺麗だと思うこともある。深く考えさせられる場面もあった。ただまとまりはない。そういったものに一本の筋を立てるのが主人公なんだけど、彼自身の考えがよく分からない。展開は遅くなだらか、教訓も爽快感もない。
致命的なのが、動機や背景を丁寧に描いたこと。複雑な動機は2時間弱の映画に映しきれないのが難点。加えて、視聴者は面白いものや美しいものより、単純で分かりやすいものを好むので、低評価が多いのもまぁ納得。
それなりに楽しめると思います。
ダイイングメッセージ
どうやら、この映画は宮崎駿さんのダイイングメッセージのようだ。
消えていく自身、去りゆく自身の思いのたけを次世代に託しているのが見てとれる。
ことを成し遂げた巨匠が行き着く先は皆、これなんだな...
大林宣彦然り
黒澤明然り
そして宮崎駿もまた然り
やはり彼らの根っこには戦争があって、戦争を繰り返しては行けないという思いも何処かにあるんだと思う。
奇しくも、今、世界では戦争が勃発して····
歴史は繰り返すというか、人間の愚かさというか
そういったものがあることを彼らは見透かし、己の次世代へ伝えるべきmissionとして作品を残しているのだと思います。
正直、面白い作品かと言われれば、個人的にそこまでは面白くはない。だが中々含蓄のある作品ではある。
観ておくべき作品であることは間違いない。
難解でした❗️
期待しただけに、、、
予告や前情報がない状態で、公開日の朝1番で観ました。
始まりは戦時中の話?と思ったけど、そこからは良くわからず、、違う世界に行って色んな人物が出てきて、、、終わってからは結局何なん?ってなりました。。
理解するまでに時間がかかりそうです、色んな方の考察動画を見たいと思います。
主題歌は素晴らしい😊
タイトル通りの作品でした
宮崎駿監督らしさ全開でしたな。
そして、のっけからすごい作画。
堪能、堪能。
自分には「いい引退作」「宮崎さんの集大成」に思えました。
これまでやってきたすべてが入っている気がしました。
ラーメンなら、トッピング全部盛りみたいな。
(ゆえに人によっては、手癖の連発、セルフオマージュの嵐であり、過去作のつぎはぎと焼き直しとしか感じないかもしれません)
物語としてはシンプル。
行って帰ってだけの異世界彷徨譚。
ずっと前を向こうとあがく、主人公の少年の眼差しはよかった。
思い付きとご都合主義のラッシュなのに、そうと思わせない画作り。
レイアウト、コンテ、キャラの動き、あらゆる演出と物語の力なんだろうなぁ、きっと。
どこか30代の拗らせた文芸映画青年の匂いすらする若さがあって、説教臭さがない。
本当に80代なのか?
また再来年あたりもう1本作ってないか?
というエネルギーも同時に感じました。
(本田雄さんはじめ、作画陣の尽力が大きいのでしょうが)
主人公の心理状況や、時間軸に関する設定は、大人には理解可能ながら、20代以下には難解と捉えられてしまう気も。
というのは、今の20代以下って「我々50代~60代が幼少時に読んできた、妙にSFチックな児童文学やジュブナイルSFの洗礼を受けてないんじゃないか」という推測からきています。
まぁ(別の作家さんの作品ですが)『かがみの孤城』の子どもの気持ちや、時間軸の仕掛けとかが理解できる読解力・理解力があれば、全然問題ないんですけど。
個人的には、本作は(幼児は無理かもだが)小学校高学年、いや、中学生以上には観てもらいたい印象。
あと、少年の前向きな心を忘れつつある、心のくたびれた大人にも。
タイトル通りの作品でした。
(でも、デートには微妙かも)
音と絵を味わうには、Dolby Cinemaが一番向いていそう。
大きめスクリーンのDolby Atmosスクリーンや、IMAXレーザーの選択もありだと思います。
君たちはどう生きるか
インパクトに欠ける
挑戦かあるいは....
正直言ってストーリーは散文的であり、淡々と物語の進行していく。セリフはさほど大事じゃないと感じた。無声映画として見てもそこまで変わらないであろう。セリフから得られる情報が少ない。つまり説明が限りなく少ない。観客を置き去りにしてる。
僕が大人になったのか、数多くのアニメや漫画に触れたからなのか分からないが、ナウシカやラピュタ、千と千尋のような世界観とは異なり、今作の世界観は全く心惹かれなかった。わくわくしなかった。なんか夢に出てくるような意味不明で現実と架空をごちゃまぜにしたような世界をそのまま描き起こした感じがした。
難解で映画としては駄作だと思えるようだが、観客に理解してほしいだとか楽しんでほしいだとかそういう目的での作品ではないと思う。ある意味、往年の名映画監督らしくはない若さを感じた。個人的にはこれまでの宮崎駿作品とは全く異なる印象を受けた。彼は新たなことに挑戦しようとしてしているのかもしれない。あるいは老いたのか...。
次作も楽しみである。
これは僕の妄想ではあるが、彼は観客を小馬鹿にしたいのかもしれない。
宮崎駿というビッグネームの作品、理解不能で意味不明なストーリー、そして「君たちはどう生きるか」という如何にも意味ありげなタイトル。
映画鑑賞後に悩む観客たちを屈託のない笑顔で嘲笑っているのかもしれない。
ジブリの世界観を堪能
ストーリーなど事前情報がないことに何か意味があるのかというと、特に意味はないのかなと思った。
別の世界に行ってからのジブリ感満載な世界観はやっぱり見ていてワクワクするし楽しめるものだった。
主人公が何をきっかけに大きく成長や意志を持ち出したのかは明確ではなかったが、子どもの成長とはそんなものなのかと思い、ファンタジーの世界でもリアリティを感じた。
寝落ちした
7/15午後に視聴。大きな劇場が満席でしたが、途中席を立つ人がちらほら。ぼくは2回ほど寝落ちしました。
戦時中から戦後にかけての話で、空襲で母を亡くした主人公が、母代わりの叔母を探すうちに不思議な世界に迷い込み…
という展開。
宮崎駿さんぽい魔物がうようよ出現する世界観は好きですが、ストーリーがわけがわからない。主人公以外の脇役の登場理由や動機が説明不足で、唐突に新しい脇役が出てきて主人公と絡んで、また次の脇役との絡みへ。この繰り返しと、なぜ主人公を邪魔するのか理由が不明な魔物との戦いが繰り広げられる。物語になっていないです。
ストーリーが破綻した綺麗な映像を120分近く見続けたら、寝落ちもするし、途中退席もする。
宮崎駿さんじゃなければ、ぼくも退席していた。
間違っても小さな子ども連れでは行かない方がよい。山場もないし、退屈してぐずると思います。
期待していただけに残念。
星1つは、声優陣やスタッフさんへのねぎらいの意味。
私は好きな作品です。
昨日から公開なのをうっかり忘れていて、午前中に定期検診を入れてました。昨日、日テレで宣伝してるのを見て「しまった!唯一映画館で観られる朝イチ上映は?」と調べてみると…
大迫力音響『Dolby Atmos』を最大画面、追加料金なし!の謳い文句が!
なんということでしょう!映像の匠、人は彼をジブリの魔術師と呼ぶ、そんな宮崎駿監督の技を10年ぶりに感じられる土曜の朝。(加藤みどりさん風に)
前置き・枕はこれくらいにして、一応『枕』に韻を踏んでみるとまさにビフォア・アフターではないですが、観る前の気持ちと観終わった後の気持ちがこれほど劇的に変わるとは思ってもみませんでした。
前情報があまりにないことと、急に観ることになったせいで予習不足は否めず、このままでは赤点必至なので、封切り日のまだ少ないレビュー40件くらいを見てからの鑑賞。『宮崎駿も終わりだ』『訳わからん』『駄作』みたいな書込みが多かったせいでハードルをくるぶしくらいに落としての鑑賞。
いえいえ、確かに難解で子供向けではありませんが(他のジブリ作品も大人向けのもの、結構多いですよね!)米津玄師さんのエンディング曲が流れた時には涙が出てきてました。もしかして本当に宮崎監督作品の見納め?という感情だけではないと思いますが、娘、孫まで3世代の情操教育を担ってくれたジブリ作品から宮崎監督が足を洗う(もっといい表現ないものでしょうか?)ことの寂しさをひしひしと感じたことは間違いありません!
正直1回目ではまだまだ消化不良ではありますが、これから何度か観直すごとに理解を深めながら感動も重ねていくことになると思います。
本編に触れるなら『ハウルの動く城』『千と千尋の神隠し』『となりのトトロ』『崖の上のポニョ』『魔女の宅急便』『思い出のマーニー(宮崎監督作品ではありませんが)』他、たくさんのジブリ作品のオマージュ、おばあちゃん軍団は湯婆婆やポニョの施設のお年寄りみたいですし、特に青鷺のおじさんはほぼカルシファーのキャラですよね。
強いて言うなら舞台を日本の戦中・戦後においた理由は今ひとつわかりませんが『風立ちぬ』も同じく宮崎監督の思い入れが大きいのでしょうね。ハウルとソフィのごとく眞人とお母さんのお互いを想う気持ちが痛いほど響いてきましたし、どなたか書かれていましたが積み木の数と宮崎作品の数、宮崎監督が離れたあとの『ぼくたち』はどう生きるか、が深く深く響いてきます。
あとは言うまでもなくジブリ作品特有の美しすぎる映像と久石譲さんの美しい旋律、声優をつとめられた皆さんの素晴らしさに感動です。宮崎駿監督作品をBlu-rayBOX(高かった!)で買って毎週、孫とトトロ鑑賞にいそしむ(ガンバレルーヤのまひるさんのごとくセリフを暗記してしまいそうです!)お年寄りとしては「いいものを観せていただきました!美味しゅうございました。(岸朝子さん?)」が率直な感想です。さあ2回目でもっと深掘りしなきゃ!
DNAを揺さぶる宮﨑駿の脳内プロジェクション
公開初日のレイトショーで鑑賞。上映開始直前まで情報を遮断したかったので、SNSは開かず周囲の会話も耳にしないようイヤホンを装着したまま座席に着いた。ここまでまっさらな状態で向き合う映画体験が昨今あっただろうか。声優のイメージや事前情報による余計な先入観に引っ張られることなく、物語と絵に全ての集中力を注ぐことができた…いや、そんな能動的な状態ではなく、全神経が勝手に持っていかれた。それだけで至福の時間だった。
最初から最後まで宮﨑駿節が全開。彼にしか生み出すことのできない、あの独特の絵の表現、キャラクター造形、ストーリーとが凝縮されていた。(詰め込むだけ詰め込んであった、という方が正直なところかもしれないが…。)「私はいま宮﨑駿の新作を見ているんだ・・・!」という興奮がずっと続いた。と同時に、本当にこの作品をもって引退するんだな、という決意というか哀愁を感じて、エンドロールではホロホロと涙が溢れてきた。米津玄師の主題歌も良かったな…。
監督の自叙伝的なお話しと聞いていたが、まさに監督の思想や悔恨みたいなものを映像化した、監督の脳内をスクリーンにプロジェクションしているような、そんな作品だった。「君たちはどう生きるか」は劇中で主人公が読む本のタイトルだった。母親から主人公へと贈られたその本はどんな内容なのだろうかと、そこにも興味を惹かれた。
「難しかった」とか「よく分からなかった」みたいな感想を抱く人もいると思う。でも私は、難解さや意味不明さがイコールつまらないにはならないと思っているし、分からないからこその面白さが宮﨑駿監督作品の醍醐味ではないかと思うくらいだ。私自身、小学校低学年の頃に「風の谷のナウシカ」を観たのが宮﨑駿作品との出会いだが、あの時の「・・・よく分からないけど、なんかすごい面白かった・・・」(それから何度も繰り返し観た)感覚はもはやDNAに刻まれていると言ってもいい。中年になった今日に、幼少期と同じ感覚を呼び覚まされた、そんな体験だった。日本に生まれ、宮﨑駿が生む作品と共に育ってきた私には、条件反射のように揺さぶられる感情があるのだ。
さて、もう一度劇場で鑑賞したら、どんな感想を持つだろうか。確かめてみたいと思っている。
分かりにくいから、考える
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