「イメージの濁流」君たちはどう生きるか レッサーパンダさんの映画レビュー(感想・評価)
イメージの濁流
ストーリーが意味不明という意見が多い。正直わたしも訳が分からなかった。でも意外と単純なのかもしれない。戦争中に軍需産業に携わった家庭で何不自由なく育ち、そのことに強い負い目を感じ、しかも母を亡くした少年が精神的に自立して、さらに新しい母親を受け入れていくまでの心の葛藤を映像で具現化しているのだろう。ただし描かれているのは少年の頭の中なのでつじつまが合っていない。そういう事だと思う。
それにしてもアニメーションが物凄い。見ているこちらはまさにイメージの激流をカヌーで川下りしている感じ。あれよあれよと思っているうちに2時間が経ってしまった。退屈している暇などあるはずがない。
西洋絵画に興味のある人はいろいろ気が付くと思う。この辺は印象派とか、ベックリンの「死の島」のような背景だったりルネ・マグリットのシュールレアリスムのようでもあり画面を見ているだけで圧倒される。
思うに自分の境遇に疑問や不安や葛藤のある少年が自分の母親である少女のちからを借りて生まれ変わっていく話なのだと思う。
なのでストーリーを追う事自体意味が無いのかもしれない。画面をみて何を「感じる」かそれこそが大事なのだと思う。
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