「生を励まされるような映画」君たちはどう生きるか 夜鷹さんの映画レビュー(感想・評価)
生を励まされるような映画
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自分の手で自分の世界も誰かの世界もいくらでもどうにかすることが出来た。それでも、清いものを前に自覚する「これは自分の悪意だ」。罪を償うように、己を律するように、生きやすい世界を自ら手放し、火の海の苦しい世界で生きていくことを決める。そんな眞人の真の強さに、心の底から震え上がるような勇気を貰った。己の黒い部分を受け止めることはきっと何よりも難しいことだと思う。実際私自身も無意識に幾度も自分を裏切って生きてきたのではないか「これは私が◯◯のためにやったことであって」自分の心を守っていたのだ。それでもやったことは消えない。言い訳をするということは罪悪感が後ろにあったのは確かで、かさぶたで覆っているだけ、中は腐っているのをどこか分かっていた。だから憧れるのだ。エンドロールが終わり画面に広がる「君たちはどう生きるか」の文字に、まるで雑踏に1人放り出された子供のように、突き放された気分になった。ここで映画全体が一つの問いかけだったことに気付く。眞人は指針だ。指針を隣に、さあ、君たちはどう生きるか?彼のように、黒も白も強さも弱さも己の全てを受け止められる人になりたい。それはきっと何年かでできるようなことじゃないから、一生の課題である。どうか強かに生きていきたい。
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