劇場公開日 2023年7月14日

「観る度ジワジワ好きになる」君たちはどう生きるか maniさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0観る度ジワジワ好きになる

2023年8月10日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

4回目を観ました。

前回まで分からなかったシーンの理解が進み、理解と同時にそれは宮﨑監督から自身へのメッセージでもあると気付きハッとさせられました。ホントに良く出来た映画だと感動しています。

1回観てあとはネット上の他人の考察を摘まんで理解した気になる、または理解出来ずつまらなかったで終わるのは本当に勿体ないです。自分の眼で、自分の耳で、自分の心で受け取り、感じ、考えてほしい、と強く願い生み出された作品であり、そのため暫し作品と自身に向き合う時間を要するからです。よって、勉強が好きでない方や感受性が豊かでない方は意味ワカラナイ、で終わるのが自然の摂理であり、万人ウケしないのを当然承知で世に放ったのは、世界から認められる宮﨑監督だからこその潔さです。

ただ、フレームは非常にわかりやすく冒険を通し成長する話なので、いちいち理由を求める大人よりも子どもの方が、すんなり受け入れることが出来るかもしれません。その子どもたちも数年後、何かのタイミングで監督のメッセージに気付く時が来るのでしょう。この点がまさに、宮﨑監督の真骨頂だと思います。実際、小学校低学年くらいの姉弟が、お母さんに嬉しそうに感想を話しながら映画館を後にしていましたよ。

宮﨑監督の頭の良さと優しさと才能、鈴木Pのバランス感覚、作画・美術等制作者のプライド、キャストの秀逸な選択とパフォーマンス、自己主張を削ぎ落とし極限まで澄んだ音楽。とにかくじっくり観れば観るほど、全てに迫力があることに気付きます。宮﨑監督の作品の中で1番好きかも。これまでの作品と違い、期限や予算、制作委員会の意向などの制限無しに天才が生み出した作品なのだから、そう感じるのは必然かもしれません。

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以下は2回目を観た後の感想です。観る回数による受け止めの変化のご参考になれば幸いです。↓↓

公開初日に観た初回は、事前情報の無さと本編の情報量の多さのため情報処理が追い付かず「宮﨑監督の集大成にして駿ワールド全開、バイタリティが過ぎる82歳、これは次回作もあるかも。だけど、なかなか難解な内容だったな」と、素晴らしい出来であることは解るものの、何だかモヤモヤした気持ちになりました。

モヤモヤを解消しようと、題名の著書を読んだ上で2回目を観たところ、1回目よりもかなり良い印象に変わりました。その理由は3つ。1つは大筋を知っているため台詞やアニメーションの細部にまで注目する余裕ができ、かなり高度なジブリクオリティに気付くことが出来たこと、次に、著書を読んだ主人公の心に何が生まれたかの気付きを得たこと、もう1つは私たちが慣れ親しんでいるジブリ映画との「この次は私のお気に入りのあのシーン!」「このセリフが好きなんだよね!」といったふれあい方が出来て安心したためだと思います。

他の宮﨑監督作品と一緒で、何度観ても新たな気付きやワクワクがある、また観たくなるような素晴らしい作品です。1回観て「よく分からなかった」で終わってしまうのは大変勿体ないと思います。少なくとも2回は観られることをおすすめします。

なお、勿論アニメーションは冒頭の炎の迫力や全ての鳥(インコ除くw)の動き、水の表現など、やはりジブリはアニメーション界のダントツ最高峰だなぁと、しみじみ感じることのできるクオリティでした。

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mani