劇場公開日 2023年7月14日

「老いたのは自分か宮﨑駿か」君たちはどう生きるか akkinaさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5老いたのは自分か宮﨑駿か

2023年8月7日
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鑑賞方法:映画館

公開に先立って観た『千と千尋の神隠し』以来のジブリ作品『風立ちぬ』が望外だったため、期待に胸踊らせて満席の中を観に行った。

結果、レイトショーだったにせよあくびが止まらず、途中から早く終わらないかと念じ続ける様に。

今のところ今年のワースト2(ワースト1は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』)といった評価。

前半はどうにか観られたけど、後半から「おつかいゲー」の如き敷かれたレールの上に沿った展開が続いてウンザリした。

ラストの選択なども誰だってそうするだろう、意外性のない、既視感にまみれたものだった。
監督は最近の作品を観てないんじゃないか、感性をアップデートできてないんじゃないか、という疑惑が終始ついて回った。
(それでも面白ければ口を閉ざしたろうけど、令和の時代においては古臭さ(もちろん悪い意味での)は否めない。)

作画にしても齢を食った今となってはそのカロリーの高さと味付けの濃さに胃もたれしてしまった。
やたら書き込まれてたりヌルヌル動いたりすればいいってもんじゃないな、、、というのが最近のアニメを観ての感想。
たとえば、規模は比べるべくもないが、『夏へのトンネル、さよならの出口』くらいのあっさりした画のほうが好み。
(このへん、写真の台頭によって絵画の主流が写実主義から抽象画へ移ってった傾向に似てるかも。)

百歩譲って芸術性は認めたとしても、娯楽性がサッパリだったのも評価を低くした一因。
(傑作は、まず娯楽性が来て、それから芸術性が来る、が信条なもので。)

エンドロールの米津玄師の歌も『シン・ウルトラマン』の「M八七」と違って1フレーズも記憶に残ってない。
(もっとも、これまで述べてきたように作品自体がひどくて余韻に浸るどころではなかったからかもしれない。)

あと、監督の生い立ちや人間関係などといったメタ情報を知っ“たら”楽しめる、という評価は論外。
(知らなくても楽しめるけど知ったらなお楽しめる、であればわかるが。)

物語を頭に入れた上で改めて観たらひっくり返るかも、という予感が残された一縷の望みだ。

akkina