劇場公開日 2023年7月14日

「説明しがたい、でも伝えたくなる映画」君たちはどう生きるか ボンズの妹さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0説明しがたい、でも伝えたくなる映画

2023年8月1日
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泣ける

知的

幸せ

1週間前に観ましたが、いまだに何度も思い返してしまいます。
まず、一切の宣伝なしという戦略によって得られたわくわく感、その体験に感謝です。
そして映画。現実と夢、精神世界が入り混じり、つじつまなど考える暇もなく圧倒的な世界観に引き込まれました。青サギ以外にも鳥がかなり出てきますが、人間の欲望の塊を代わりに演じてくれてるような不気味さと滑稽さがあり、それも鳥肌ものでした。
駿さんの過去作の要素が散りばめられていますが、これはもう上質なシャレと受け取って大いに楽しませてもらいました。
今作は過去作と比較して、私小説のようにスケールが小さくなったとも取れますが、私は今のこの不穏な世の中で、個人の心の中を問いかけることの重要性が突きつけられたように思います。人によって感じ方は様々だと思いますが、見るたびに視点を変えて何度でも味わえる唯一無二の作品と思えました。
最後のシーンが静かに終わり、エンドロールで米津さんの曲が流れた瞬間、スイッチが入ったように涙が出て、そこから止まりませんでした。なんだこの天才たちは!とてつもなく温かい大きな力を受け取った気持ちで、素晴らしい作品を観たという感動が溢れ出る、そんな映画でした。

ボンズの妹