「君たちはどう生きるか 監督から私達へのメッセージ」君たちはどう生きるか ホラー好きさんの映画レビュー(感想・評価)
君たちはどう生きるか 監督から私達へのメッセージ
プロモーションがないので当初は公開されることも知らず。SNSで観た人の感想で、公開を知った。
おしなべて、解釈が分かれる映画だという。
キービジュアルだけで、絵に似つかわしくないタイトル(キャッチコピー)
どんな映画か、さっぱり分からず、
監督のエゴだけの作品でしかないなら、観たくないなと迷った。
⚠️以下は、読まずに映画を観てほしい⚠️
難解だと事前の口コミで聞いてもいたが、
非常に宮崎駿らしい映画だった。
どこかおどろおどろしいファンタジー、彼の映画は子供に向けた作品でありながら、原始的な闇があり、子供をすくませる。
現にこれまでの作品でも、子供が怖いと泣き出し映画館を出ていく姿を何度も観た。
今作で難解なのはその世界観で、世界のルールを飲み込みさえすれば、物語を楽しむことができる。
屋敷に落ちてきた力ある石。
その力を得て、大叔父は世界を創り上げた。後継者を求めて、子孫を呼び寄せる。
その世界は意図してか、無意識なのか宮崎駿のこれまでの作品風景がそこここにパッチワークのように散りばめられ、既視感を覚えた人も少なくないはずだ。
老いてなお、彼の中にはこれほど豊かなイマジネーションがあることに、改めて驚く。
そして大叔父と主人公は邂逅する。
世界はバランスの悪い積み木を重ねるように、保つことが困難で、
1日1日を迎えることが、どれほど難解かを語る。
主人公に、おまえが世界をつくるんだと諭し、平和で穏やかな未来を作ることを願う。
これこそが、宮崎駿が私達に伝えたいこと。
「君たちはどう生きるか」
政府により国民は搾取され、貧困に追い込まれ、
自ら戦争へと突き進む今の日本をみて、どれほど歯痒いだろうかと思う。
私達の明日は、私達自身がつかみとれ、きっとこのメッセージを届けたくて、この映画を作ったんだろうと、心打たれた。
ただ、物語の起承転結としては弱く、映画そのものの魅力はやや欠けたのは残念。
それでも、観て良かった。
観るべき映画だった。
子供たちには難しいかもしれないが、私は観てほしい。