劇場公開日 2023年7月14日

「好きではない映画です」君たちはどう生きるか かるーあさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0好きではない映画です

2023年7月18日
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鑑賞方法:映画館

難しい

宣伝広告一切なし、観たければ劇場へ。
そういわれると気になってしょうがない好奇心の塊な私はたまらず劇場へ行きました。
率直な感想は…何となく伝えたいメッセージは分かったけど面白くない、です。

作画や美術背景はさすがジブリだなと思いました。
冒頭の火事の場面。炎の演出はとても迫力があり見入りました。あの炎を描けるのはジブリだけだと思います。
そして人物、動物の動き。階段を駆け上がる足の動きや走る動き、アオサギが向かってくる瞬間や大量のペリカンやカエル、インコに襲われる場面が卓越した表現力で描かれており、見応えがありました。

田舎の風景や異世界の景色など世界観を彩る背景も美しく、まさにそこに自分がいるかのような空気すら感じられるくらい引き込まれました。

ただストーリーに関しては…破綻寸前です。
これを完全に理解できた方はいらっしゃらないかと思われます。「意味不明」「何一つ分からなかった」とまではいいませんが、ない知恵を絞って考えながら観賞すると片頭痛に悩まされることになるくらいには難しかったです。

ざっくりいうと異世界に取り込まれた義理の母親を助けに行く少年の冒険活劇(???)という単純なストーリーです。
それなのに何故そこに存在するか分からない要素や出来事がありすぎて、これは『考えるな、感じろ』系の作品なんだと諦めざるを得なくなり、結局よく分からなかった…になるのです。

考察は非常に苦手なのですがそれらしい人物を当てはめると…
大叔父=宮崎駿監督、真人=後継者候補(息子?庵野監督?私たち?)、インコ=SNSに蔓延る口先だけの匿名人、アオサギ=…誰??鈴木敏夫P?
なのかなと思いました。

そして伝えたいメッセージというのは、物語の終盤に出てくる台詞が全てかなと。
「異世界(=ジブリスタジオ?)を保つために後継者になってほしい」「積み木を積んでも積まなくても君の思うままに生きなさい」そして表題の『君たちはどう生きるか』に繋がるのではないでしょうか。

宮崎駿監督の人生を描いているのでしょう、13作品のオマージュもどこかに描かれているのでしょう。でもそんなこと映画内では説明してくれません。
鑑賞して自分なりの答えを見つけなければいけません、たとえ解答したとしても誰も正解は教えてくれません。(後日パンフレットで明かされるかもしれませんが)
答えのない問いに夢中になれる方であれば、今作をおおいに楽しめるでしょうし、何度でも解るまで通いたくなるかと思います。
要は考察が好きな方向けです。

私が好きではないと思う理由はまさにこれです。
つまり【映画は観たものが全て】というスタンスが好きだからです。『2時間』という限られた時間の中で起承転結揃っており、着地も綺麗かつ内容もスッと理解できる作品の方が好みです。

考察しようと思えば考察できる要素もほんのりいれておくけど今回のストーリーの評価を左右するほどのものではない、というくらいが丁度いいと思っています。

一回見てある程度すら理解が出来ない、全て観客の考察任せな作品は映画としてどうなのかと疑問に思っているわたしにとってはまさに今作は賛否でいえば否です。

でもこれは映画をみた一観客の戯言です。

今作はあくまでアートムービー的な立ち位置にある作品なので、観る人の数だけ感想も千差万別であり賛否両論あって当然のものだと思います。なので一個人の意見を鵜呑みにせず、気になるのであれば自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
インコたちが評価を掻き乱してしまう前に出来るだけ早めに劇場へ足を運ぶことをお勧めします。

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かるーあ