「今を生きる人々へのメッセージ性を感じる作品」君たちはどう生きるか ののさんの映画レビュー(感想・評価)
今を生きる人々へのメッセージ性を感じる作品
完全にネタバレレビューです。
作品を観た直後『なぜこの内容でこの題名なのだろう。』という疑問が浮かんだままでした。後からゆっくり内容を思い返し、【生きる】というメッセージにフォーカスを当てて 私なりの見解をしたところ、やっと自分の中で腑に落ちました。主人公 マヒトは、戦争で母を失い、転校先では友達からのいじめを受け、馴染めない土地で急に叔母が母となり、父はそんな叔母に夢中。…となれば人というものは孤独であり、悲しみに暮れ、最悪『死』さえ意識するかもしれません。そんなマヒトが迷い込んだ世界では 自分の思うような理想の世界を創り上げられる。しかしその世界は殆どが『死者』であるとの事。その死者の世界の王として暮らしていた大叔父にここに残らないかという選択を迫られる。 しかしマヒトはそこでの暮らしを選ばず 現実の世界に戻る。現実の世界で自分を理解する友達を作り、母の死を受け入れ生きていくと…。現代の世界では悲しいことに人生に悩み、疲れ、死を選ぶ人々が多くいます。そんな方々もこの主人公 マヒトのように 生きることへの苦しみを感じているのではないか。しかしこのストーリーではマヒトはいくら苦しくても、孤独でも この大変な世の中で強く生きていく決意をします。宮崎駿監督はこの作品を通して、多くの苦しむ人々に生きるという選択肢を選ぶ事。そして自分自身で生き方を選んでいく事ができるというメッセージと希望を与えてくれたように感じます。
マヒトは真っ当にこの世を生きるが、悩みが多きひとりの人の象徴でしょうか。アオサギは死の世界へ誘う死神のようなポジションでしょうか。数多くの人を喰うインコ達は現実世界で人の心を蝕む人や物の象徴でしょうか…。
完全に私なりの解釈ですが、直接的な表現ではなく間接的に、そしてジブリの世界観を使い 大きなメッセージを届けてくれたように感じました。
この見解で正解ならば高評価ですが…全然違ったりして(笑)なんて思って遠慮の星3です。