「今までの実績を信頼したこちらが悪いのか」君たちはどう生きるか カサイさんの映画レビュー(感想・評価)
今までの実績を信頼したこちらが悪いのか
一切告知無し、それでも映画館は満員。これが信頼される実績を持った監督だから成せること。
これから書くことは、大いに批判である。
「嫌なら見るな」と言われるだろうか、「ジブリファンなら黙って見ろ」「ファンなら公式からの供給を素直に喜べ」と言われるだろうか。
ひどい映画だった。ストーリーもめちゃくちゃだ。幻想的!神秘的!という肯定的な意見もある。分からないのだ。ピースが散らばったジグソーパズルをドンと置いて、「完成です。これが作品です。これが映画です、芸術です」と言われたような感じだ。
人を試すような作品は作ってはいけないと思う。映画なら尚更だ。映画ならストーリーで勝負しろ。芸術作品を並べて見せ続けるのは映画じゃない。自己満足だ。個展でやるべきことだ。
物語として考察しようにも、辻褄が合わなかったり、矛盾点が多くて、考察のしようがない。
「告知をしないことで作品に入り込ませる実験的な作品、それがよかった!」みたいな評価をする人がいるが、本来そうであるべきだろう。消費社会が加速してるから、失敗したくなくておもしろいという確信がなければ見ない人も増えたが、ネタバレをたくさん吸って映画に足運ぶ人はそんなに多いのか。少ないだろう。本来の映画の楽しみ方だし、作品のレビューをしろ。作品の良し悪しを上映の仕方やプロセスで評価するなよ。今後、レンタルとか配信で見る人には関係ないだろう。Amazonで「配送遅かったから低評価」とか言う人と変わらんぞ。
そして、告知しないことでネタバレの流出も大いに防いでいる感があるが、それで素直な低評価も弾圧されている気がする。
そして、「これまでのジブリのオマージュ」「監督の集大成、監督の頭の中」とかで評価されている方もいるが、それこそ監督の自己満足作品と言ってるようなものだろう。
本当にがっかりした。風立ちぬは本当に大好きで、何回見ても泣いてしまう。あれはストーリーが良かったから、声優の違和感も帳消しにできた。
今回の作品はただの芸能人声優当て楽しみましょう映画だ。暇つぶしの作品でしかない。
彼の一作品に惚れ込んだ私だからこそ、心の底からがっかりした。見なければ良かったとさえ思う。素晴らしい作品を作る監督というイメージを失いたくなかった。本当に本当に残念な映画でした。