「駿がいっぱいコレクション」君たちはどう生きるか ケンさんの映画レビュー(感想・評価)
駿がいっぱいコレクション
例の絵以外ネタバレ厳禁らしいので。
宮崎駿の遺作ですね。個人的には富野監督の∀とレコンギスタに近いかも。
ナウシカや千と千尋のようなファンタジー、風立ちぬのような現実世界の戦争、もののけのような自然描写と、いろんな世界を行ったり来たり。ファンタジーや戦争や自然など、描写ごとは綺麗なのは駿さんの特徴。声優を使わないからザルな演技が目立つのも駿さんの特徴。キムタクを使うなとあれほど言ったのに。
多分、大叔父様=駿で、大叔父様が調整してきた世界=駿さん作ってきた作品は間違いないかと。それを「子供が次は積み木の石を組み立てる」「モブがほとんど鳥=烏合の衆=一般人が好き勝手言って勝手に変なダメージを受けたり気に入らないから一刀両断する」「烏合の衆が、生み出す力を持つ人を好き勝手食い物のする」とかのメッセージを入れてるんじゃないかと思いました。
ただ、話の前後や関係性が支離滅裂。懇切丁寧におしめから墓場まで説明する必要はないけど、突拍子がない場面が多々あり。駿というフィルターをかけても、映画としては駄作。考えていることはわかる、わかる人には一部メッセージを受け取れるかもしれないけど、難解すぎるのと話の脈絡がなさすぎるので、この点数。昔の駿さんだったらもうちょっと綺麗にまとめたり表現したと思う。
個人的な解釈としては、「これまでこんな世界を駿は作った」「駿には世界がこう見えるし、とらえられるし、表現できる。駿はこう生きた。」「そんな世界の中で、自分の考えを主張したり、表現したり、貫き通したいという人に対して、『君たちはどう生きるか』を問いかける」というアートに思いました。
エンターテイメントの「ジブリのアニメ映画」としては駄作だけど、宮崎駿がこれから生きる人達(特に創作に関わる人達)に投げかけるメッセージとしては興味深い。告白本とか、そういうものに似ています。見た方がいい駄作、と私は思います。