「アニメ史に残る"兵馬俑"」君たちはどう生きるか Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメ史に残る"兵馬俑"
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「君たちはどう生きるか」。
もっともジブリらしい画がいっぱい詰まっていた。宮﨑駿が創ってきたキャラクターたちの再現しかり、ジブリ映画の声優たちしかり、冒険ファンタジーへの誘導しかり、その夢物語から醒めるとき、それらに久石譲の鎮魂歌が寄り添う。
宮﨑駿が世に提示してきた数々の斬新な(かつて斬新だった)表現の宝箱。いまや当たり前になってしまった技術は、まさしく宮﨑駿が創ってきた手描きの美学である。
そして、それらを支えるのはジブリに関わってきたアニメーターたちの再集結。エンドロールの文字がいちばん泣けた。
宮﨑駿のために集まった卒業生たちによる豪華絢爛な副葬品の数々。さしずめスタジオジブリによる”兵馬俑”のような趣きに圧倒される。
作品の好き嫌いは明快に分かれるであろう。あなたは"宮﨑駿"が好きかどうかを問われている。まさに("宮﨑駿"なきアニメの未来に)、「君たちはどう生きるか?」である。
"現代日本人は皆アダルトチルドレンだ"という、本質を突いているような作品でもあり、主人公が男の子ゆえにマザコンアニメのそしりを免れない。本作に嫌悪感を抱くとしたら、その指摘が妙に当たっているからだろう。
アニメ史に残る"兵馬俑"。ウォルトなきディズニーランドのように、100年後もジブリパークは続いていくかもしれないが、レジェンド宮﨑駿とともに一時代を楽しませていただいたことに感謝する。
(2023/7/14/ユナイテッドシネマ豊洲/Screen10/H-18/シネスコ)
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