「宮崎家の貴種流離譚」君たちはどう生きるか bionさんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎家の貴種流離譚
アートして鑑賞するだけで、見たまま、感じたままをそのまま受け取るだけで、こんなに面白く感じるとは思わなかった。
もちろん2回目ということもあるし、岡田斗司夫ゼミのプレミア解説まで聞いているということもある。一番参考になったのは、村上隆が示したヒント。ベックリンの「死の島」。この絵をしばらく眺めているうちに、無性にもう一度見たくなった。「死の島」の意味は、漠然としかわからなかったが、宮崎駿の絵の力に引き込まれただけでよしとしよう。
評価は爆上がりです。
以下は、寝落ちしてしまった1回目の感想です。
あっけないラストにポカーン。エンディングで流れる米津玄師の曲を聞きながら思った。
これは、内省的な自伝的物語ではなく、宮崎家の貴種流離譚じゃないの。なんか鼻につく。
主人公の家庭は、戦時中にも関わらず、転校先の学校にダットサンで乗り付けるくらい裕福で、家には何人もの使用人がいる。嫌味なくらいのお金持ちの息子が、心抉られるくらいのどん底に落ちてしまう物語であれば、自然と感情移入もできる。
それがまた、苦難には程遠く、ほどよい試練の連続なんだよね。なんか、お伽噺を聞かされているようで、後半は何度か寝落ち。
期待したゆえに、不満を先にこぼしてしまいましたが、アニメーションに関しては文句なし。宮崎監督お得意の、サスペンションの動きを使って、車に演技させるシーンは絶品だし、アオサギの七変化やペリカンの大群は、大スクリーンで見ないともったいない。
物語としては、いただけませんが、すばらしい映像と芸達者な声優の演技を体感できるので、是非劇場でご覧になってください。
追記
2回目の鑑賞ポイント。
①ベックリン『死の島』との関連性
②キリコの部屋のワンピース。高そうでオシャレなワンピースが2種類ある。
③ワンピースの隣に掲げられているトルメキアの旗。
④菅田将暉の青鷺。七色の声。
⑤インコのフンまみれ=金まみれ
⑥大叔父=アインシュタイン=科学の負の側面
⑦ラノベ異世界ハーレム構造(夏子、キリコ、ヒミ)
⑧あっさりすぎるラス
⑨とんでもない迫力の冒頭シークエンス
共感ありがとうございます。
ラストへ向けて慌ただしく進み、ホントに結末ポカーンという感じでした。あの自傷の傷跡って何なんでしょう、宮崎監督にもあんな傷があるのか?