「長年のファン故のショック」君たちはどう生きるか まるさんの映画レビュー(感想・評価)
長年のファン故のショック
宮崎駿監督の長編は最後に相応しい風立ちぬで綺麗に終わったと思っていたので、今作発表はびっくりしつつも初日昼から楽しみに観た。
結果、支離滅裂、という感想しか出てこなかった。そしてもう二度と見たくない。幼少期からディズニーよりジブリを見続けて育った私がこんな感情を抱いてしまう、その事実が信じられないほど悲しい。
ナウシカ、もののけ姫、紅の豚、風立ちぬで見てきたような(私は世間一般人気がある千と千尋やハウルなどのファンタジーは子供っぽくて好まない)宮崎駿監督しか描けない社会性の重いテーマやメッセージが何ひとつ伝わってこず、キャラクターも感情が乏しく魅力がなく、一人も好きになれるキャラクターがいなかった。気味の悪い老婆や鳥人間、次々現れる謎の能力者…視聴者を置いてけぼりにさせているとしか思えず入り込めなかった。勝手にしてくれと思ってしまった。他の肯定的なレビューにあるように過去のジブリ作品のオマージュなどは随所に感じたが、人物に焦点が合わず脈絡のない展開がずっと続くため気分が悪くなってくる。しかも2時間を超える。途中まだ終わらないのかと時計を確認してしまいそうだった。空腹で腹がなったが、隣席や背後かやも腹の音が聞こえた。とにかく面白くも可愛くもなく、何を伝えたいのかわからず拷問のような2時間だった。二度三度みれば謎が解けるかと聞かれてもそういう内容ではないような気がした。
タイトルに使うならそのまま説教映画を作ってくれた方が絶対良かった。宮崎駿監督にしか作れないはずだから。
こんな苦しいレビューを書かずにはいられないほど、長年のファンとしてのショックが大きくてまだ受け止めきれない。宮崎駿監督らしくない作品だった。