「違和感だらけ」ウーマン・トーキング 私たちの選択 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
違和感だらけ
違和感だらけの映画。
教育を否定され、読み書きもできなければ考えることすら禁じられてきた彼女たちが、あれほどロジカルで巧みな会議の運営ができるのだろうか。
「書記」として参加したオーガストは2010年の外の世界を知っている大学卒の男なのに、どうして逃げ込める保護施設などの情報を与えないのか。大雑把な地図だけ与えて「ここがこのムラ」とか丸つけたりするだけ。
女たちも「出ていく」と決めたなら、まず安全な行き先を確認しないか、小さい子供も妊婦もいる、世間から隔絶された社会しか知らない自分たち、という自覚もあるでしょうに。
オーナは道端で出産したようだ。なのに、赤ん坊を抱いた母の声には一抹の不安もない。
ずっと放浪の旅? 捕まって連れ戻される心配もあるのでは?
監督によれば「寓話」として作った、ということなんだが、どんなことへの教訓なのか? 弱い立場のものを好きなように虐げていると逃げられてしまう、という男たちへのそれか?
弱いものでもヒトとしての誇りを持って団結すれば大事を成し遂げることが可能だ、ということなら、成し遂げた成果まで含んでいないと寓話として成立しないと思う。(この映画ではまだ道なかばで脱出劇の結末/成果が見えない)
大人数で行う大事を決めるなら、ぎりぎりまで外部に秘密にして綿密な計画が必要、でないと失敗する(あてどなく放浪する様なことになる)とか?
実話をもとにした原作は寓話ではなさそうですが、サラ・ポーリーの映画としては細部にはこだわらない、おとぎ話で良い、「寓話」だからそういうもの、ということなのでしょうか?
この映画を世にはなった意義はなんだろうか、と思ってしまった。
性暴力に耐えるのをやめて宗教コミュニティから出ていく決意をした女性たちという、現実的なテーマなので、どれほどの知恵と勇気と工夫をこらして脱出に成功したか、というリアルなところを描くほうがしっくりくるのでは。テーマが生々しすぎて寓話にそぐわない気がする。
ただし、女たちの発言にはいちいち頷いて感心させられました。
「赦しを許可と勘違いするものがいる」まさにそうです。
共感ありがとうございます。
ほんと、あのあとどうなった、が無いと、結局結論出ずで、何が訴えたかったのか、わからないままですよね。
タリバンみたいな男たちだったら、追っかけてきて連れ戻されると想像するのが普通だし。
実際にボリビアで有った話ならドキュメンタリー風に顛末まで教えて欲しかったです。