オオカミ狩り : インタビュー
ソ・イングク、初の悪役は“極悪非道の犯罪者” 1日6食で肉体改造、16キロの増量は「幸せなバルクアップだった」
強烈な残酷描写で世界をざわつかせた「オオカミ狩り」(R15+指定)が、ついに日本上陸を迎えることになった。本編を見てみると、ヤバすぎる描写の出血大サービス! 「極悪犯罪者VS警察VS怪人」の残虐バトルを描いており、ゴア描写が話題となった「哭悲 THE SADNESS」に匹敵するほど“血生臭い映画”と評されている。
2022年、フィリピン・マニラ。現地で逮捕された犯罪者たちを乗せた貨物船“フロンティア・タイタン号”が釜山港に向けて出航した。長年、凶悪犯罪を担当してきたベテラン刑事の約20人が護送官として乗船。釜山では、海上交通管制センターで海洋監視システムを設置。万全な体制により、韓比共同護送計画(プロジェクト名:オオカミ狩り)が進められた。監獄化した貨物船には、極悪非道な犯罪者たちが収容されていた。その夜、暴動が勃発。船上は武器を手にした犯罪者たちで溢れかえる。仲間以外は誰であろうと容赦なく殺める犯罪者たちと彼らに立ち向かう警察。そこに、眠っていた“怪人”が目を覚まし、熾烈な戦いが幕を開ける。
地獄の航海から生き残るのは……。「生きるか、死ぬか」ではなく、まさに「死ぬか、殺すか」の“海上監獄バトルロイヤル”。監督を務めたのは「メタモルフォーゼ 変身」「共謀者」などで知られる“ジャンル映画のマスター”キム・ホンソン。2017年にフィリピンへ逃亡した韓国人犯罪者47名の集団送還のニュースから着想を得て、想像を絶する残虐な映画を創り上げた。
主演を務めたのは、ドラマ「ラブレイン」で俳優デビューを果たし、「君に泳げ!」「パイプライン」でも知られるソ・イングク。反乱を主導する狂気に満ちた極悪非道な犯罪者・ジョンドゥを演じている。
全身タトゥー姿のジョンドゥは、第一級殺人の国際手配犯。その犯罪歴は「13名に対する殺人および殺人教唆、強姦罪」というすさまじいもの。大胆なイメージチェンジをはかり、キャリア初の悪役にチャレンジしたソ・イングク。作品への並々ならぬ思いや、撮影時のエピソードを語ってもらった。
――台本を手にした数日後にはオファーを快諾したそうですね。キャリア初の悪役としてパク・ジョンドゥという人物を“絶対に演じたい”と思ったポイントは何だったのでしょうか?
実は以前から悪役をずっと演じてみたいと思っていたんです。ジョンドゥは、悪の極致を見せられるキャラクターだと思いました。彼は、残忍性とカリスマ性を兼ね備えているような人物。今回の機会を逃してしまえば、二度と出合えないようなキャラクターだと感 じ、出演することに決めました。
――役作りでは、16キロ増量&肉体改造をされたとお聞きしています。
とにかく幸せなバルクアップだったと思っています。1日6食、大体3時間おきに食事をとっていました。もともと食べることが好きなので、体重を増やすということに関しては、まったく苦痛ではありませんでした。むしろ増量したことによって、人生のクオリティもあがったと思っています。とても幸せでした。
――では、パク・ジョンドゥの“内面”を理解するために、何か心掛けたことはありますか?
台本に多くの情報が記されていました。そこには監督が考えたディティールが書かれていて、その内容について直接お話する機会もありました。そこに、僕自身が表現したいディティールをどんどん加えていったような形です。例えば怒りの表現ひとつにしても、ただ単に怒っているというだけではなく「何が原因で怒っているのか」ということを考えながら表情をつくる。そのように細部にこだわりながら、ジョンドゥというキャラクターを表現していきました。
――フィクションやノンフィクションを問わず、役作りの参考にしたものはありましたか?
僕は台本を読んだり、監督のお話を聞きながら、役作りをするのが好きなんです。ですから、今回も特に参考にしたものはありませんでした。とにかくユニークなキャラクターを作りたいという気持ちが強かったので、監督には頻繁にお会いするようにしていましたね。ジョンドゥにはこういう過去があったんじゃないか? こんな風に生きてきたんじゃないか? ジョンドゥの個人的な話に至るまで、監督とは色々話し合いました。
――キム・ホンソン監督とは親密な関係を築き上げたようですね。今回タッグを組んでみていかがでしたか?
クランクイン前は「本当に面白い方だ」と思っていました。面白いだけではなくて、可愛いところもありましたし、情熱的な方でもあります。ですが、いざ撮影に入ると、スタッフや俳優を引っ張っていくリーダーとしてのカリスマ性を感じました。そして本当に粘り強く、撮影を進めていく。現場では誰よりも一番走り回っていました。俳優に対しては常に気遣ってくれて、安全面も考えてくれていました。普段から俳優とたくさん触れ合って、スタッフの方とも親しくしていましたね。ただし、怒ると非常に怖い方なんです。その点も含めて、カリスマ性のあるリーダーだと感じました。
――“フロンティア・タイタン号”での撮影で印象に残っている光景はございますか?
船の中で銃を撃つというシーンがあるんですが、なかなかタイミングが合わず、何度も撮り直したことがありました。その日は、ずっと銃を撃っていたのですが……狭い船内で発砲すると、音がとても響くんですよね。1日中やっているので、耳がキーンとしてしまって……(笑)。そんな出来事もありました。
――特に印象に残っている共演者は誰でしょうか?
やっぱり「空から降る一億の星」でも共演したチョン・ソミンさん(女性凶悪犯の護送担当刑事:イ・ダヨン役)ですね。またご一緒できたことが、とても嬉しかったんです。今回、共演シーンはそれほど多くはなかったのですが、時間が空いた時には一緒にお話をしていました。撮影現場ですれ違った時には、目だけで会話をすることもありましたね(笑)。楽屋にいる時にも色々お話をしましたし、おやつを一緒に食べたりもしていました。
――「悪」という言葉を聞いた時、どんなことを思い浮かべますか?
「悪」というのは、暴力を振るわなくても、人の心を破壊し、人の精神を破壊する存在だと思っています。
――では、対となり得る「正義」という言葉はどうでしょうか?
「その行動を真似したい」と思わせてくれるものが「正義」ではないかと思っています。そして「正義」の中には、道徳という要素も含まれていますが、これに関しては強要しなくても、強調しなくてもよいと考えています。総じて、他人に対して迷惑をかけず、善良な影響を与えてくれる存在ではないでしょうか。
――本作にも通じるような、ホラーやスリラーといった「ジャンル映画」はお好きですか?
「ジャンル映画」は大好きなので頻繁に見ていますよ。先日もNetflixでアニメーション映画の「GANTZ:O」を観たばかりです。この作品も非常に残忍で残酷な内容ではありましたが、とても楽しめました。