プロミスト・ランドのレビュー・感想・評価
全9件を表示
【マタギの誇りを護る二人の若者の姿を描いた作品。】
ー マタギは東北地方で古くから、先祖代々継承されている。
近年では減少傾向にはあるが、有害駆除だけではなく熊を山の神と称え、自然への畏敬と共生を図る民として、貴重なる存在である。-
◆感想
・本作の舞台はエンドロールを見ると、山形の庄内地方の様である。出羽三山に囲まれた土地であり、特に月山の山深さは特筆である。
・今作では、”何も分かってはいない”お上からのお達しで、早春の熊猟のを禁止されたマタギたちの中で二人の若者が、禁を破って熊猟に出る姿が描かれる。
追い込み猟である。
熊を追う者、逃げる熊を遠方からライフルで撃つ者。
<現在、マタギを主人公とした映画は殆どない中で、貴重な作品ではないかと思う。飯島監督はこの作品が長編第一作だそうであるが、次回作にも期待したい。>
<2024年9月8日 刈谷日劇にて鑑賞>
こんな映画があってもいい
監督と杉田くん舞台挨拶あり、撮影秘話(先にドキュメンタリーを撮った等)が興味深かったです。監督がこんな映画があってもいいんじゃないかなっておっしゃってて、、静かだけれどそれが良かったです。冒頭で大好きな渋川さん三浦誠己さん小林薫さんがチラッと出てきて、わあお!と興奮しました。主演のお二人はもちろん素晴らしかったです。
雰囲気と役者は抜群!
レビューのまとめとして。
他人には薦めにくい。しかし映画好きには「ああ、あれね!」と少し得意げに言える作品。
しかしとにかく心が動かない。
原作からリアルな熊狩りの様子を昭和を舞台に映画にした。
といえばそれまでだが、ほんとにそれだけなのがおしい。惜しすぎる!
寛一郎さんの色気は全盛期の銀幕スターのそれだと感じた。
映画は評価されなくとも、彼自身は大いに評価されて欲しい。評価の星はその分の星。
彼だけ評価対象なら★5でも足りないくらい。
以下、映画の冒頭からの補足レビュー
冒頭の大事な熊狩りに関する話し合い、なまりが強く聞き取れない。
ただただ熊を狩りたい。でも上が言うからダメだ!というくらいはわかるが
大事な主張、感情を込めたセリフが聞き取れないのがつらかった。
映画は早戻しできないしね。
映画の技法をうまく使いました。会話を思い切ってカットし編集頑張りました。
自然への畏敬の念を表しました。余白を良い感じ風に残しました。
すごいでしょう!という感じ。
なんとなく「悪は存在しない」に似た部分を感じたが
こちらの方がストーリーがはっきりしているし役者の魅力が光る。
映画好きならこれを面白いといわないといけない雰囲気をビシビシ感じるが
それを露骨に感じさせすぎているのが私には合わなかった。
映画のインフルエンサーとか宣伝広告をめちゃ頑張ると
世間は「これなんかいいんじゃね?」となる可能性を感じる。
もう1本の映画、「MATAGI」とともに作られた本作。
その制作の話を知っているとどうしても、急ぎでついでで撮った感を感じてしまう。
それを消して欲しかった。端折られた会話を補う深みが感じられなかった。
淡々とした会話劇の中で、若者たちと自然との距離感が滲み出てくる
2024.7.11 アップリンク京都
2024年の日本映画(89分、G)
原作は飯嶋友和の小説『プロミスト・ランド(『汝ふたたび故郷へ帰れず』所収)
マタギとして生きる青年と、地元の風習に懐疑的な青年の「最後の狩り」を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は飯島将史
物語の舞台は、東北地方のある村(ロケ地は山形県鶴岡市大鳥)
そこでマタギとした生きてきた礼二郎(寛一郎)と、地元の風習に馴染めない弟分の信行(杉田雷鱗)は、行政が決めた熊の狩猟禁止に憤りを覚えていた
礼二郎は決定を不服と史、信行は仕方ないと思いながらも、兄貴分の礼二郎を真っ向からは否定できない
マタギ衆の親方・下山(小林薫)は、狩りを行えば密猟になるとして、「今年の山はなしだ」と断言した
物語は、その決定に従えない礼二郎が信行を連れて山に入り、熊狩りをする様子が描かれていく
山に入ってからは、ほぼ二人だけの会話劇で、礼二郎と信行の隠された本音というものが描かれて行く
礼二郎は「人間はやりたいことをするようにできている」と言い、実家の養鶏場の後継が差し迫っている信行は、自分の将来と向き合うことになっていく
熊狩りの実態を描いている内容で、年に1頭も狩りをしない現状であるとか、禁止措置をする以外にやるべきことがあるだろうというメッセージが込められている
また、礼二郎の狩りを誤魔化そうとして、熊の肉を地面に植えようとする下山たちに対して、彼は自然に対する畏敬を捨てるべきではないと哲学を貫いていく
彼らが熊を仕留めた後の所作もそれを示しているものであり、その辺りをリアルに描写しているように思えた
いずれにせよ、エンタメ性はかなり低い作品になっていて、一歩間違えばドキュメンタリーかヒーリング効果の高い作品のように思える
さすがに熊を実際に仕留めたということはないと思うが、熊の血を啜るシーンなどは妙にリアルに思える
映画の良し悪しは、マタギへの興味とか、自然に対する人間の向き合い方などに依ると思うので、単なるエンタメとして見るとしんどいかもしれません
私にはぐっときました 雪山ずっと歩くシーンなんて眠くなっても良いは...
私にはぐっときました
雪山ずっと歩くシーンなんて眠くなっても良いはずなのに、
最後まで食い入るようにみてた
ところどころ泣かされた
キャスティングも良かった
真っ直ぐな映画でした。
昔好きだった飯嶋和一原作との事で観賞しました。
先祖代々、熊狩りを行っている集落に住む若者が、環境省から今年の熊狩りを禁止されそれに反発し狩りを行って警察に自首するまでが描かれます。マタギの若者達の行動は自然への畏敬を持たない環境省(都会人)への無自覚か抗議なのかな?と感じました。
ここで描かれる自然はとても厳しく恐ろしく、グランピングやらソロキャンプやらで描かれるアミューズメント的なものではない。獲物である熊を殺してその血を啜り毛皮を剥いで解体する行為にも自然な尊敬が溢れていて、高額なペットを売り買いし、挙げ句の果てにビニール袋に詰め込んで処分してしまう人間達とは対極にいるように感じます。
動物を殺し売る事は変わらないのに、全く違うものだと確信するのは何故なのでしょう。
若者二人の設定も秀逸で、マタギの家系のプライドと人生の鬱屈を全て熊狩りにかけ取りつかれている男、閉鎖された集落と時代遅れな熊狩りの習慣に嫌気がさしている男。この全く相容れない二人が熊を追い狩る行為の高揚を通して束の間心を通わせ、別れて行きます。
山に入り熊を狩り帰ってくる、ただそれだけの映画ですが、自然や人間社会の事を考えてみる少しの契機になりました。
懐古的で強烈なリアリズム、現代的なようなめっちゃ古くさいような・・・
なんか響きのいいタイトルに惹かれて観賞したものの、なかなかきついテーマ、これを享受できるのはかなり限られるのでは・・・と思ってしまう内容で、多少引いてしまいました。とはいえ、徹底したリアリズムと、結構質が高い映像・音響・演出で、意外と最後までしっかり見切ることができました。でも、ひたすら淡々と歩き続ける描写には眠気が・・・その果てには結構な緊張感があって見入るほどでしたが、あまりのリアルな雰囲気に、やっぱきっついなぁー、と思ってしまいました。
もはや現代にはそぐわないような内容と思うと同時に、当時の社会ではああいった雰囲気も当たり前のようにあった気がします。
人々の気持ちそれぞれに対してあまり理解や共感はできませんでしたが、普遍性も感じたので、古くさツ!と切り捨てるには安直のような気もします。とはいえ、やっぱ、しんどい作品ですねー・・・
快楽殺熊
環境庁の通達が県の自然保護課に降りて、今年の熊狩りが禁止される中、豚箱入りをわかっていつつ狩りに出る若者の話。
マタギがどうの伝統がどうのと言っているけれど、車の中で信が言っていたことがド正論と思ったけれど、原作は40年前のものなんですね。現代劇で今更作られても…。
アイデンティティがどうのと言いたいのかも知れないけれど、もしかしたら2度と出来ないかも知れない熊撃ちを、どうしてもやりたくて迷惑をかえりみず我を通した勝手な若者にしかみえず。
強いて言うなら礼にあれだけ言って結局手のひら返した信の機微はいくらか考える余地はあるかもと思うけれど、結局お咎めは?
作中半分以上は会話もなく山を歩いたり熊を捜したり待ったりで、雰囲気作り込みでも半分の尺で充分な気がした。
自然に対する畏敬を見た
東京ではひとつの映画館でしか上映されておらず、
内容もマニアックでストイック。
ある年、役所から熊撃ちを禁止されるが、
納得できずそれを破り、
マタギの若者ふたりが
山に入り、熊を撃つ話。
それ以上でもそれ以下でもなく。
自然、そしてそこに生きるものに対して畏れ敬う。
人間はそのような感覚を徐々に失いつつあるのではないでしょうか。
熊を撃つ、ただそれだけのストーリーの中で
見事に、自然を、そして熊を
畏れ敬う感覚を見せてくれた映画でした。
若きマタギのひとりに貫一郎。
デビューしたての頃はそんなに感じませんでしたが、
ふとしたときの話し方や動きに
父親である佐藤浩市が見え隠れしています。
全9件を表示