「脚本も良いが、チームを支えるバイプレイヤーが味噌」劇場版 緊急取調室 THE FINAL 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本も良いが、チームを支えるバイプレイヤーが味噌
祟られているような映画で、2022年公開予定が安部元総理暗殺事件のあおりを受けて延期。2023年6月に延期された公開予定は総理大臣役の市川猿之助不祥事で再延期。観て分かったが総理大臣は本作の準主役みたいなものだから、公開を諦めても不思議はなかった。実際しばらく噂を聞かなったので諦めたかと思ったが、大幅な撮り直しを経て遂に公開。関係者の執念を感じる。予告編で天海祐希が言う「最後の悪あがきよ」はそこまでして公開にこぎつけたかった関係者の気持ちを代弁しているように聞こえた。
俺はドラマシリーズを観たことが無く、2023年公開直前に延期になったニュースでこの作品の存在を知った。そして本作がついに公開されることを知ってから、今秋の放送されたドラマを予習として初めて観た上で観賞。
【物語】
長内洋次郎(石丸幹二)は日本のケネディーとも呼ばれる、国民の人気が非情に高い内閣総理大臣。あるとき巨大台風が日本列島を襲う中、緊急対策閣議が開かれるが長内は10分遅刻する。 緊急を要する大事な会議に遅れたことを閣僚、マスコミから批判され、遅れた理由を詰問されるが、長内ははぐらかす。そんな中で長内は暴漢に襲撃される。
犯人はすぐに取り押さえられ、長内は無事だったが、テロ事件として緊急事案対応取調班(キントリ)が招集される。 犯人森下弘道(佐々木蔵之介)の取調べが開始されるが、森下は長内の10分の遅刻を批判するだけで動機を語らず、長内にしか話さないと長内との面会を要求し続ける。 取調べは難航するが、長内が閣議に遅れた空白の10分間と森下が何か関係していることを突き止める。
キントリは空白の10分、そして森下と長内の関係の謎を追い、やがて真相を究明すべく総理大臣を事情聴取すべく動き出す。
【感想】
面白かった。どうしても公開したかった気持ちが分かるような気がした。もちろん制作投資を無駄にしたくなかったという事情が一番だろうが、少しではない追加投資までしたのは、出来上がっていた作品に大きな自信が有ったからではないか。
最初から最後まで緊迫感が維持され、謎解きの展開も飽きさせず、2時間あっと言う間に過ぎた。
展開には意外性もある。「大人気で国民受けの良い政治家」が映画に登場したら、「真実は腹黒い、私利私欲の巨悪の人だった」という展開がお決まりだ。冒頭でそのような描写を観たときは、そういう展開を予想した。予告編を観ても、「“空白の10分”にどんな悪どいことが行われていたんだ?」が興味をそそる。 しかし、タネが明かされると拍子抜けする人も少なくないはず。 俺も一瞬そういう感覚に陥ったが、今作の主題は「どんな罪も、どんな人でも犯した罪は償うべき」であることを知ると、それでいいんだと理解。
そんな意外性も含めた筋書き・脚本も素晴らしいと思うが、やはり役者がいいんだと再認識。 主演の天海祐希も良いのだが、それ以上に脇を固めるバイプレイヤー達が素晴らしい。かつては大杉漣も出ていたそうだが、個性的なバイプレイヤーで構成されるチームの奏でるハーモニーが観客を引き付けるのだと今更ながら気が付いた。
冒頭に書いたとおり、俺はドラマ シーズン4までは全く見ていないので、配信なで過去作を見てみようかという気になった。
