「(何がネタバレかよくわからないので安全策でネタバレ扱い) ※「●ね」の発言の扱いの考察」劇場版 緊急取調室 THE FINAL yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(何がネタバレかよくわからないので安全策でネタバレ扱い) ※「●ね」の発言の扱いの考察
今年198本目(合計1,739本目/今月(2025年12月度)2本目)。
腰痛で全治2か月で離脱していましたが本格的に復帰…と思いきや、年末の最終週…。年間200本は行けるかなぁ。
まず、他の方も書かれたように、日本国憲法を無視しているとか何とかという議論はすっ飛ばします。法律系資格持ちは極めて気になりますが、これを問題にすると採点不能になってしまい(ここだけで減点5.0になり採点が成立しない)、意味がなくなるためです。
作品単体で見た場合でも、ヒントになる描写は一応あることはあるし、作品の述べたいところは十分理解できるので、あとはその「そんな展開が現在の日本の三権分立からありうるかどうか」という部分にどこまで対応できるか、という気がします。今週の作品の中では比較的推せるタイプではないかなぁ、というところです。
作品としてはこれで終わりになるようですが、丁寧に作られていた印象が良かったところで、法律系資格持ちが見ると突っ込むようなところはあるものの(後述)、ちゃんとフォローされている点もあり(いわゆる不逮捕特権について正確に言及している等)、法律ネタを扱った映画という観点でみると、「一応」及第点かなぁ、という気がします。
採点は以下まで考慮しています。
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(減点0.4/通達の効力について)
通達は、上級行政庁が下級行政庁に出すものであって、国民にあてたものではありません(墓地埋葬事件)。
(減点0.3/法の適用に関する通則法に関する配慮がやや足りない)
海外でトラブルに巻き込まれたとき、どこの法律を適用するのか、を定めた法律で、この映画でいう「ヨットのトラブル」にも影響してくるところですが、ここは扱いが微妙なので(日本の法が排除されても、海洋上である以上、どこかの国の法律は適用はされます)、もう少し掘り下げがあってよかったかなと思います。
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(減点なし/参考/「●ね」というと刑法199条の罪が成立するか)
ここがややひっかかった部分です。判例上もそのような立場を取らず、刑法199条が適用されるかどうかは、被害者への暴行・傷害の程度や、意図等から総合的に決せられますので(同様に、民法96条の強迫も、「●ね」発言だけで直ちに成立はせず、それにより相手が畏怖したことを要する、というのが判例)、ここはややうかつだったかなぁ、という気がします。
