658km、陽子の旅のレビュー・感想・評価
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心に傷を負った女性の冒険の旅
陽子が外の世界に出ていくことで少しずつ社会との健全な繋がりを取り戻していくというドラマは、人間関係が希薄になりつつある現代社会において、とても大切なメッセージを放っているように思う。奇しくもコロナ禍に見舞われたこともあり、そのメッセージは更に大きな意味を持って訴えかけてくる。やはり直接顔を合わせて話すことは大切であると痛感させられた。 ただ、そのメッセージは十分理解できるのだが、陽子が様々な人と出会うことで成長していくドラマは今一つ説得力が弱いという印象を持った。そもそもたった一夜でそこまで人は変われるものだろうか?という思いが先立ってしまい、観終わっても今一つ釈然としない思いが残ってしまった。陽子の本当の旅はこれから始まるのかもしれない。 一方、陽子の旅のきっかけとなるのが長年険悪だった父の死である。両者は20年間疎遠で、父娘の縁は完全に途切れていた。本作のもう一つのテーマは、彼女がその父の死をどう受け止めていくかという”喪の仕事”と解釈できる。 こちらについては見事な着地点を迎えたと思う。陽子の葛藤に上滑りするような所もなく、亡き父に対する後悔の念をしみじみと受け止めることができた。 また、本作が上手いと思う所は、陽子と父の関係や彼女のバックストーリーをほとんどボカした点である。そこが乗り切れないという感想に繋がるのも分かるが、逆に観客夫々が自分に当てはめながら観ることができるように敢えてボカしているように見れた。陽子のように夢に打ち破れた者、人間関係に後悔を残す者なら、自然と感情移入できるのではないだろうか。そういう意味では、懐の深い作品とも言える。 監督は「私の男」、「海炭市叙景」、「鬼畜大宴会」の熊切和嘉。本作はTSUTAYA CREATORS' PROGRAMというツタヤが主催するコンペティションで選出された脚本を元に製作された作品だそうである。 時折ファンタジックな演出が出てきて戸惑いを覚える個所もあったが、基本的にはじっくりと腰を据えた演出が貫かれ見応えを感じた。 特に、後半の海のシーンを筆頭に、サービスエリアで出会うヒッチハイク少女とのやり取り、野菜を売る老夫婦との交流が印象に残った。旅の途中で出会う他の人々も夫々に何らかのドラマを抱えており、最後まで飽きなく観れるロードムービーに仕上がっている。 ただ、冷静に考えると少し無理に思えるような箇所もあり、そのあたりには詰めの甘さも感じてしまう。 例えば、陽子が従兄の車とはぐれてしまうシーンは、陽子が実家に電話をすれば済むだけの話ではないかという気がした。最初は電話番号を知らないのかと思ったのだが、後半で公衆電話から実家に電話をしていたので知らなかったというわけではない。ではどうして最初に電話しなかったのか?と不自然さを覚えた。 また、劇中には東日本大震災の傷痕を描くエピソードも登場してくる。東北を目指すロードムービーなので触れずにいられなかったのであろう。しかし、実際に青森を目指すのにわざわざ常磐道を選択するだろうか?普通であれば東北道を利用した方が便利という気がする。 キャストは何と言っても菊地凛子の好演。これに尽きると思う。終盤の独白は見事であるし、それ以外にも彼女の繊細な演技は見応えタップリである。 熊切監督とは「空の穴」以来のタッグと言うことだが、申し訳ないがその時には主演の寺島進の方ばかりに目が行って彼女のことは全く印象に残っていなかった。クレジット表記も今の菊地凛子ではなく”菊池百合子”だったというのもあるが、まさかその時の彼女がこうして日本映画界を代表する女優になるとは全く想像もしていなかった。そう考えるとこの協演には感慨深いものがある。
当然のごとく心が震えました
コミュ症の女性が658kmをヒッチハイクせざるを得ない状況に追い込まれた顛末を描きます。 まず菊池凛子さんのコミュ症の演技は評価に値するものでした。諸々を経て迎えるラストは心を震わせるに十分な重みを感じました。 ただ、父の亡霊としてのオダギリジョーの怪演はアレでよかったのだろうか?時折現れる亡霊に対する菊池さんの独白で過去を想起させる作りになってましたが、オダギリさんと菊池さんの子役でわかりやすく過去場面を描くとか、せめて亡霊のオダギリさんに菊池さんと受け答えさせる事で関係性をより明確にするとかではダメだったのかな?「そのくらいのニュアンスは汲みなさい」って事かな?
一人の力では
東京で鬱屈したものを抱えながら孤独に生きる陽子。
ある朝、彼女はしつこく扉を叩く音で目が覚める。扉を開けるとそこには従兄の茂が立っており、父親が亡くなったことを告げる。
茂はきちんとお別れをするべきだと彼女を実家のある青森に連れていこうとする。
どうやら彼女と父親の間には大きなわだかまりがあるらしく、彼女自身が父親の死をどう受け止めてよいか分からずにいるらしい。
陽子は茂の家族と共に車で高速を走りながら青森を目指す。
しかしサービスエリアで茂の子供が事故に合ったため、彼らのもとを離れていた陽子は置き去りにされてしまう。
携帯が故障中の陽子は連絡を取る手段もなく呆然と立ち尽くす。
やがて彼女は片っ端からドライバーに声をかけ、ヒッチハイクで青森を目指そうとする。
とにかく人の目を見られず、まともに会話すら出来ない陽子の姿に、彼女が東京で過ごした日々の暗さを感じさせられる。
人はそれぞれに事情を抱えて生きているが、それを分かち合える他人と出会える機会は決して多くない。
この映画もやはり人の善意と悪意を強く意識させられた。
人の親切につけこんで悪事を働く者もいれば、困っている人の弱みにつけ入ろうとする者もいる。
だからヒッチハイクはする方もされる方もリスクが伴う。
それでも世の中を動かすのはやはり人の善意であると信じたい。
陽子は何度も冷たい反応をされてしまうが、それでも最初に彼女を車に乗せてくれたシングルマザーに、同じようにヒッチハイクをする孤独な少女、親切な老婦人に3.11のボランティアをきっかけに何でも屋を始めた女性と、彼女を助けてくれる人間はどこにでもいた。
もちろん自己責任だと言いながら、彼女にセックスを強要する卑劣な男もいたが。
そしてヒッチハイクの旅で様々な人間に会うことによって、陽子も少しずつ成長していく。
最初は相手の目を見ることも出来ず、質問にも答えられなかった彼女だが、最終的には相手に握手を求め、感謝の言葉を伝えられるようにまで変化する。
そして旅を通して彼女の中で父親に対する想いも変化する。
最初は葬儀のために父親のいる青森に向かっているのに、父親の影から逃れようとする彼女の行動に矛盾を感じた。
幻として現れる彼女の父親はとても若く見える。
だからそれだけ彼女は父親と長らく会っていないのだろうなと思った。
結果的に彼女は20年も父親と会っていなかったのだと、彼女を乗せてくれた親切な父子に告白する。
時間は過ぎてみればあっという間だが、確実に積み上げてきた時間の長さは心に刻まれる。
この658キロの旅は、彼女が父親の死を受け入れ、また人としての心を取り戻すために必要なものだったのだろう。
東北が舞台なのでやはり東日本大震災の爪跡を感じずにはいられなかった。
あれだけの災害もあっという間に過去のものになってしまったが、まだまだ現在進行形で復興は続いている。
そのことも決して忘れてはいけないと思った。
打ちひしがれて黒
そう、第一印象は黒
昼間は仕事にしないで家にいる
だけど罪悪感があるからカーテンは閉めっぱなし
暗くて汚れが気にならないから掃除はしない
出かけないから風呂にも入らない
着替えない
人と会わないから声も出ない
楽しみはネットや漫画、テレビなど
イカスミパスタも、心の中のどす黒いものが出ている様に見える
一生懸命何かをして挫折して引きこもって気づいたら鬱だった
そんな経験をした事がある人が表に、ましてや実家に帰るしんどさが伝わる
見ていて、体が重い
ヒステリックに父親と話す様は八つ当たりにも感じ取れる
自業自得?そうじゃない
自分が思い描いていた人生と違うのはよくある
苛立ちと絶望は人の行動を制限する
世の中、良い人ばかりではない
あんな対価のセックスでよく先に進んだなと思う
それだけ長年、何をやってんだと自分に毒素をかけていたんだろう
立ち上がったその原動力を探る
雪(白)が今の季節と相対感じ、とても綺麗だと思った
観たい度◎鑑賞後の満足度◎ ヒッチハイク映画は洋画では珍しくもないが、邦画としては珍しいかな。全編菊地凛子の名演に支えられている。他の人ならもう少し退屈な映画になったかも。
①はじめは殆んど無口(というか喋る気があるのかこいつ、という感じ)で且ついい年をしてろくに挨拶や「有難う」も言えないのか、という苛立ちが先にたつ。引きこもりってこんなん? ただし、チンした冷凍のイカスミスパゲッティを食べるのは私もよく食べたので共感。 しかし、菊地凛子の演技のお陰でだれない。表情というか目の演技 がスゴい。目は口ほどもものを言うてか。 ②主人公がヒッチハイクで乗せて貰った人たちとのふれあい(一人だけは実際に肌のふれあいまでして散々だったが)を通して変わっていくのはよくある展開だし、私は家の都合でそれこそ馬車馬の様に働いて(そういう時代だったけれど)引きこもる暇などなかったし、父親とは適度な距離を取りつつも逝去まで付き合いが有って葬儀も全て私が取り仕切ったし、東日本東大震災もニュースの映像にはショックも受けたし戦慄もしたけれど、誤解を招くのも承知の上で言うと災害が少なく距離も離れている奈良ではどうしても自分の身に寄せて感じられない。 風吹ジュン扮するオバサンの東北弁は殆んど分かんなかったし。 従って本作の内容には殆んど感情移入は出来なかった。 菊地凛子の女優としての存在感に圧倒されたのみ。 ③最後に乗せてもらった車の中で堰を切った様にこれまでの自分の人生との向き合い方、父親の死をやっと受け入れる心境になった経緯を吐露する菊地凛子の一人語りの芝居が見事。絶妙な匙加減である。 運転する父親は振り返りもせず何も言わず助手席の息子がスマホで兄に連絡したことだけ告げる演出も上手い。 ④42歳なんてまだ若い。658km(はじめの方の何kmかはともかく)を一人で何とかかんとか踏破したんだから、その経験が、体験が、これからの人生の礎となる筈。
せめて各エピソードの場所を明らかにしてほしかった。
熊切監督の前作『#マンホール』は、前代未聞の失敗作と断じるので、本作も不安なのだが、菊地凛子の存在ゆえに観る。 父の葬儀へ出るためにヒッチハイクで青森へ帰郷する「ロードムービー」である。彼女のロードムービーといえば、2014年のカンヌのマーケットで、映画ファーゴの撮影場所へ衝動的に向かう日本女性クミコを演じた「トレジャーハンター・クミコ」という作品を観た。こちらも「旅するにはコミュ症すぎる」という点で同じだったような。そういう役柄が合っているのか。というか、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バベル」(06)で第79回アカデミー助演女優賞にノミネートされた時の役柄は、聾者であった。むう、深い。
成長
104本目。 1本観て帰ろうと思ってたけど、1本目がストレス過ぎて、このままではと思い鑑賞。 ざっくり言えば、コミ障女のヒッチハイク、ロードムービー。 ざっくり言い過ぎか? 設定が設定だから、ストレス溜まるかと思ったけど、そうではないけど、作品が終える迄に、どの位の成長が見えるかで変わってくる。 正直、このまま終わりそうで、ただただこのまま日常を生きてくだけで終わるかと思ったけど、車の中で吐き出す言葉に共感。 作品は最後まで観て、どう思うかなのかと。 あのルートを通したのも、そうした意味もあるのだろうし。
コミュ障だった陽子の表情の変化が、さすがの菊地凛子
引きこもり状態がった陽子が、父親の葬式に出る為に東京から青森までヒッチハイクで向かう物語。 言っちゃうと地味なロードムービー。 ただコミュ障だった陽子の表情が、人々に触れていくにつれ段々生気が戻ってくる演技がさすがの菊地凛子。
何を述べたいか、映画の主義主張がはっきりしない…。
今年265本目(合計916本目/今月(2023年8月度)4本目)。 (参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。 諸般の事情で、とあるサービスエリアで取り残された女性が、ある目的地に向かってヒッチハイクをするお話。 逆にいうとその繰り返しで目的地に到着する「だけ」の展開になるし、他の方も書かれている通り、コミュニケーションに難を抱えているのか(ただ、この点はある程度映画を見ているとその理由ははっきりする。「東北地方で起きたリアル日本の出来事」は何でしょう?)それらの点がよくわからないので、見る方によってはイライラするのではなかろうか…というところです。 コミュニケーションに難を抱える方は多かれ少なかれ存在するし、それは正式な診断を受けている方はもちろん、そうでない方も、いわゆる性格的な「はずかしがり屋」のレベルからいろいろあるところ、この映画のそれは描写が極端な上に、方言(東北方言)まで混じるため聞き取りも難しく、「ある意味で」サイレント映画に近いという珍妙な枠ではあります。 かなり見る方によって解釈が分かれる上に、「参照されている、東北地方で実際にあった出来事」をどこまで映画に解釈に入れるか等、さらに「東北地方特有の文化」をこっそり参照している部分もあり、かなりの難易度ではなかろうか…というところです。これらが重なった結果、「映画の主義主張がはっきりしない」(かといって、東北地方の観光名所を巡る趣旨のいわゆる癒し系映画という解釈も無理)というところです。 採点は以下の通りで、4.0をそのままにしています(四捨五入等の処理は行わず)。 ------------------------------------- (減点0.3/ヒッチハイクと道路運送法) ・ ヒッチハイクは対価をもらう等すると、法に触れます(白タク行為に当たる)。ただ、一般的なもので、かつ対価も「地域のお土産」といった対価の「価値が観念しづらいもの」に対しては事実上容認扱いですが、この点はエンディングロールで断っておくべきではなかろうか…と思えます。 (減点0.4/ヒッチハイクと事務管理(民法)) ・ ヒッチハイクも、当事者の意識がもうろうとしている等のケースでは、それが事務管理にあたるケースも出てきますが、その場合、民法上の事務管理のルールが適用されます。しかし、事務管理は任意に中止できず、「本人・相続人・法定代理人が管理できるまで」継続する義務を負います(民法700条)。 したがって、「ホテルのシーンと、その後電話がかかってくるシーン」は明確にまずいです(仕事があることは理解できても、それをもって事務管理を中止できるのではありません)。 ※ なお、民法700条は「本人・相続人・法定代理人が管理できるまで」という扱いで、遺失物法等で「警察に届け出たらそれ以上は何もしなくてよい」等とあるのはその特則になります。 (減点0.3/墓地埋葬法に関する知識がある程度要求されてしまう) ・ 人が亡くなった後の「お葬式」を規律する法律ですが、実際には法はスカスカで「なくなったらお葬式をしましょう」くらいで、大半を「文化が違うのだから、個々都道府県でどうぞ」という「地方に投げっぱなし」の法律の代表例です(条例がいくつも存在する)。 この点、日本では火葬が一般的ですが、それをいつまで待つのか、あるいはどの儀式をどの順番で行うかなどは、地域によってバラバラで、法の趣旨(死人の冒涜行為や、生きている方の「活力」を奪う行為等)に反しない限りある程度自由なお葬式ができるようになっています。舞台の青森は特殊なお葬式のルールがあるようで、字幕が一部???になる部分があります。これはそのような事情です。 -------------------------------------
前半イライラした。鎌倉殿の菊地のイメージもあり、乗れなかった。でも...
前半イライラした。鎌倉殿の菊地のイメージもあり、乗れなかった。でも、ここんとこは人のいい役の多かった浜野の最低ぶりが拍車をかけ、風吹ジュンにも助けられ、ラストの車の中での独白と、雪の中でのラストシーンは、うまかった。もともと菊地は聾唖の役で出てきた人で、そういう、不能性を抱えた役はやはりうまい。救いだったのは、車の中での独白シーンであり、それが絶妙だった。開かれていく感じ。自分も故郷を出て東京に行った人間だったので、感情移入もした。この主人公のように20年とか、故郷に帰れず、逃げ続けると彼女の言う人生を送っている人は少なくないはず。
人と関わるのが苦手だと生きていくことが難しい。
菊地凛子さんが引きこもりの主人公を見事に演じていました。人と関わるのが苦手だと生きていくことが難しいですね 。この旅はその縮図のように感じました。 しかし旅を通じて最後には人と関わることの大切さに陽子が気づけて良かった。 いい話でしたが、ただこの脚本で2時間はちょっと長く感じてしまいました。
特殊事情を排して、福島を通って、
2022年。熊切和嘉監督。40歳を超えて都内でフリーターをする女性主人公は意欲もなくなんとなく生きている。ある日、故郷青森で父が死んだことを知り、受け止められないまま、従兄の車に同乗するが、ふとしたことからPAに置いていかれてしまう。ほとんど所持金もなく、スマホもないまま、ヒッチハイクで故郷に帰ろうとするが、という話。生きる意欲を失った主人公が父の死を受け入れて立ち直る様子を描く。 主人公が東京でやりたいことがなんだったのか、父とのいさかいの出発点になった出来事はなにか、ということが描かれないまま、なぜか意欲を失っている主人公が、なぜか父の葬儀を受け入れることに困難を感じているという設定から始まっている。特殊事情を排除して一般的な「無気力」「家族とのいさかい」からの立ち直りを描きたかったのかもしれない。その意味で、自分についても周囲についても客観的な認識を欠き、主観的な気分や納得のままに動いている主人公(コミュ障といわれている)の内面から出る言葉や行動には妙に切実なものがあって、心が動かされる。行動のもとになる事情が判明していたら、ここまで心を揺さぶられることはないのかもしれない。 しかし、ロードムービーとしてみると、やはり、行動の動機が不確かなのは致命的と言わざるを得ない。しっかり決意した後半はともかく、前半ではそこまでして青森に行こうとする意味が伝わってこない。わからないからこそ行動、ということでもない。例えば、本作では通関点である「福島」を目的として目指すロードムービーである「風の電話」は、一部ヒッチハイクも取り入れた女子高校生の旅だったが、震災で失われた親の姿を求めるという明確な目的があった。今作では高速に乗ったままなら通らないはずの福島の浜通り(富岡町あたり)を通っている。それには理由もあるし、結果的にそこでの出会いが重要ではあるのだが、画面に映る核廃棄物や防波堤が意味を成しているようには見えない。
すいません、青森まで乗せてもらえませんか?
40近い、引きこもり。田舎から出てきたものの、馴染めずコミ障。かといって、体裁悪く田舎にも戻れず。 いるんだろうな、けっこう。 思いがけず置いてきぼりを食らい、それでも疎遠だった父に会いたさが勝り、遠い青森を目指す。嫌でも人と触れ合っていくことで徐々に氷解していく閉じこもっていた心。 だから心から「こんな私をのせてくれて、ほんとにありがとうございます。」と言葉が出てくるのだろうし、握手を求めるのだろう。 茂。せめてさ、やっとたどり着いた陽子をまずは労わってやれよとは思う。だけど、そのぶっきらぼうな態度がまた東北人なのだろうな。けして冷たいのではなく、内にはよく頑張ったなって気持ちは溢れていそうだったものな。 この手の映画、ジムオルークはよく似合う。
共感部分3割
共感できる部分が父との確執の部分だけで、 それも3割ぐらいだった…。 陽子が、ただコミュニケーションが苦手な引きこもりだけに見えなくって…。 少し知恵がないのかと思うような行動をするから...、 この違いって、こちらの陽子に対する見方が変わるんだよね…。 あと、いろんな部分で、いくらなんでも…という描写が多くて… 従兄弟もサービスエリアに呼び出しするでしょー、とか。 携帯借りられるでしょー。とか。 海で寝たらヤバいし…あれは、妄想なの? 俯瞰で撮影してる波で全身濡れるシーンとか正直いらない。 イケてるでしょ、このシーンのドヤ感としか思えなくって…。 まぁ、そんななんやかんやを言ってしまうと物語が進まないから、 仕方ないんだろうけど、もう少し辻褄の合う展開で旅をさせて欲しかったかな。 よくよく考えると、今の便利な時代って、映画も作りづらのかもね...。
詫びなかったね(笑)
観て来ました。 挫折と不運が付きまといましたが孤独と孤立から抜け出そうする彼女の姿は人生の岐路とも言える瞬間でした。 声を出して相手に意思を伝える事も出来なかった陽子がしだいに成長する姿をみていて辛かったけどそれが彼女が都会で生活する姿、そのものだったんだと思いました。 様々な人と出逢い望郷への想いが強くなっていく姿に応援したくなりました。 置き去りにした叔父さん、詫びる事もなく迎いいれたのには一瞬、唖然(笑) 題名が『旅』でしたね。 すれ違う車の名前を語る男の子、台詞だろうと感心しましたし、この子はトラブルの始まりとはね。陽子さんも大変な姪っ子をお持ちでした(笑)
菊地凛子さんの代表作になりました🙌
熊切和嘉監督 × 菊地凛子さん 陽子、42歳、独身、締めっぱなしのカーテン、引きこもり、自宅のPCでカスタマーサポートのバイトなのかな? 父の訃報を受けて東京から故郷の弘前へ向かった。 それも訳ありのヒッチハイク。 コミュ障を悪化させてるので人に話しかけることもままならない。無様な陽子と自分を重ねて心がざわついた。 そう、自分にとってはかなり痛いロードムービーだった。間違いなく好きなテイストだった。 何はともあれ凛子さんの代表作になりました🙌 熊切監督作としても「海炭市叙景」と並んで好きな作品と言える。
胸が痛い
次の日のお昼の告別式に向けて青森(弘前)に行く途中で乗せていた従姉妹を忘れて出発してしまうなんてちょっとヒドい話しと思っていたら、落ち着きのないアスペルガーっぽい子供がSAで怪我して、急いで病院に連れて行ったために、携帯が壊れているのにSAのはずれの雑木林にふらふらと行ってしまった陽子と連絡がつかなくなったのだった。携帯ないと本当に不便な世の中です。友部SAは常磐道。東北道じゃないから、青森にストレートには行かない。やベーよ。福島のいわきから太平洋側を北上して岩手久慈を通るルートだった。ぶっ飛ばしても1日じゃ着かないんじゃね。しかも、ヒッチハイク。弘前は日本海側だからそっちのルートかとも思ったんだけど。もうそっちのほうが気になってしまいました。
黒沢あすか(よく食べる)
見上愛(正体不明のお嬢さんハイカー)
浜野謙太(東日本大震災を題材にしてするルポライター。ほんとかよ!)
あと、風吹ジュン。
最後の軽ワゴン車での陽子の独白の内容は本当に胸が痛くなりました。
君は悪くないよ。
浜野謙太(在日ファンク)のくそヤなやつの演技は期待どおり。もう十八番といってもいいレベル。キャストに選んだひとにとても共感。浜野謙太にはもう少しいい人の役が来るようにと願いました。
サービスエリアのトイレで何度でも発声練習しよう。
他人を怖がらず、
自分を励ますためにも。
映画の内容もさることながら…
他の方も色々な矛盾を指摘されていましたが…。 確かに、なんで?なんで?とか、思ってしまった。 そして、心の狭い物言いになってしまうけど、きちんとお礼も言えない人とは、あまり付き合いたくないなぁ…と感じたのが一番かなぁ…。 こういう人が一定数いることも理解はしているけど、申し訳ないけど、自分から積極的に話かけて、その人の心を開こうとか思わないかなぁ。 一方で、この映画の登場人物のように、心が広く、誰にでも分け隔てなく接する人も、やはり一定数いるんだろうけど、そういう人にもなれない(ヒッチハイクを断るというレベルの話ではない)。 だから、ちょっと受け入れられなかった。映画の内容もさることながら…
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