「故郷、父親、煩わしいはずなのに」658km、陽子の旅 chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
故郷、父親、煩わしいはずなのに
8月お盆の帰省ラッシュのニュースが今年も流れている メモリアルパークという名の墓地霊園に多くの人がお参りに来ている
でもその一方、故郷や家族と疎遠になっている人もたくさんいる 故郷に帰る人であっても、楽しみに思っている人ばかりではなく、半ば義務的な思いの人も多いだろう
主人公の陽子も父親との確執から何年と故郷に帰らなかったのに、従兄からの知らせで車に同乗したとはいえ、帰ることを拒否する選択だってできたであろう 父の幻だって拒絶できたであろうに、父と過ごした時間やわずかな思い出を手繰り寄せるような気持ちは、故郷を出て20年以上思うように生きられなかった彼女の中でも、父の存在がずっと大きかったのであろう 手の届くところに父の手があっても、なかなか握ることができない場面が、彼女の悔悟を表していた
彼女のような人を「コミ障」という言葉で一括りにされるが、他人の思いを知り、彼女自身も自ら言葉を発して自分の気持ちを伝えようという、最後の親子の車での彼女の言葉は、自ら変わっていこうとする思いが伝わってくるものであった 菊池さんは日本の女優でありながら、一気に国際的な手の届かない方になってしまった思いがあったが、この陽子が変化していく姿を演じられて「さすが」と思わずにいられなかった
個人的には篠原篤さん、言葉少なくても思いが通じるような演技がよかった
(8月10日 シネマート心斎橋にて鑑賞)
そうですね。風吹さんも温かな眼差しと、誰にも見返りを求めない優しさで陽子の心をほぐしてくれる重要な人物でしたね。東北のイントネーションにある陽だまりのような心地よさを感じましたね☺️
コメントありがとうございました。
ミラー越しにみえる木下さんをそっと見つめるシーンなど、疎遠になっている父をおもう陽子のきもちが手にとるようにわかりましたね。
過去については深く説明されなかったけれど〝帰らない選択〟をせずに父の元になんとかたどりつこうとした陽子が取り戻したいものを感じていたのは確かだったとおもいます。