「ちょっとテーマとずれてる気も」ワース 命の値段 ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっとテーマとずれてる気も
アメリカ同時多発テロ
2001年9月11日
アメリカ上空でハイジャックされた
複数の民間機がNYのWTCビルや
国防総省「ペンタゴン」を標的に
体当たりを敢行
これまでアメリカが受けることの
なかった本土攻撃をテロという形で
目の当たりにした米国は
テロとの戦いとの覚悟を求められ
今に至るまで世界はこの事件以前と
以後に分けられるほどの
影響を受けていると言って過言でない
今作はそんな911において
ハイジャックされた民間機が起こした
事で起こる航空会社への訴訟に対し
施行された被害者遺族救済プログラム
においてどうやって分配するかという
最も困難な役割を買って出た弁護士
ケネス・R・ファインバーグ弁護士を
主人公にした実話ベースの映画
感想としては
いまだ世界をテロの恐怖に晒す
きっかけとなったテーマの重みに
対してあまりに描写が不足
主人公のケネスがなぜこんな難しい
仕事を引き受けたのかの
根拠が弱く映ってしまい
ただ流動的にどうにかなった
ようにしか見えませんでした
何より「命に値段をつける」
というテーマにあんまり
沿ってなかったような・・
同時多発テロ発生直後
7000人にも上る犠牲者の遺族は
アメリカのお国柄もあり
ハイジャックされた航空会社を
訴えるであろう事は予測され
一家の稼ぎ頭を失い経済的に
苦しくなる事は予想され
また航空会社にとっても
先の見えない訴訟地獄より
決まった額を払いだした方が
やりやすいですから
ロビイストがもう動いており
米政府は救済基金を立案
企業や公的機関相手の
やり手の弁護士だったケネスは
惨状を目の当たりにした事で
生じた「使命感」によって
犠牲者へ基金からの分配を
決定する「特別管理人」
という最も難しい役割を
無償で買って出てしまいます
ケネスは民主党寄り
時のブッシュ政権は共和党
ですから失敗しても痛まず
ケネスは即座に任命されます
要求された数字は
「最低80%の申請の同意」
期限はおよそ2年半
ケネスはまず集まった
犠牲者遺族を前に
公平性を第一に救済額は一定で
特例を受け入れられない
(その上積み立て年金があると
そのぶん引かれるなど
納得のいかないもの)
旨をあまりにそっけなく
説明してしまうと当然大炎上
すると犠牲者家族の中にいた
チャールズ・ウルフなる男性が
その場をまとめ一旦は収まり
ケネスは助かったので
謝意を示しに行くとチャールズは
救済プログラムのおかしな点を
ネットに拡散し改善を要求する
運動を展開している第一人者
だったのです
つまり要求を受け入れられ
なければ申請より訴訟を選ぶ
旗手となるわけですから
ケネスにとって複雑な存在です
で事務所に戻ってスタッフが
遺族の面談から情報を
整理していくと
ケネスの思っていたよりも
はるかにおり入った事情の
家族が満載でした
例を挙げると
・WTC上層階で働く株屋
・救出で犠牲になった消防士
・出身州で未認可の同性パートナー
・子供と残された妻ががんの治療中
などなど・・
とても一定額の支給で納得させられる
ものではなく大学で賠償となれば
命に値段をつけなければいけない
と教えていたケネスはまさに
そこに直面した時に何も当事者の
事を知らない自分に直面します
また時間の都合で初めて面談に
応対した消防士の遺族の妻は
夫を失ったショックから
立ち直れずに周りは訴えろ
申請しろばかり言ってきて
もう何もしたくない
(申請とかどうでもいい)
という訴えをも聞いてしまい
損得ばかりでものを考えていた
ケネスはこれも衝撃を受けるのでした
ともかく申請者の率はこうでは
全く上がっていきません
そしてその消防士の妻は
亡くなった夫に実は他に
子供がいることも知って
しまうのです
その子供たちも支給を受ける
権利を持つことになります
時は過ぎていき
いっこうに上がらない率に対し
期限ぎりぎりになれば
申請してくるさと楽観的な
物言いをしつつ
犠牲者の中でも富裕層側に
基金総額の引き上げをケネスは
要求されます
しかし法改正によって
議会に差し戻されれば
また支給が延びてしまうし
最悪廃案にもなりかねない
と予測しそれは出来ないので
苦悩しあろうことか
遺族たちに申請を
踏みとどまらせている
チャールズに悩みを
打ち明けると改正に至らずとも
遺族の事情を汲める方法が
あるだろうと忠告を受けます
(このへんのやりとりがなんとも
抽象的で中身がない)
結局遺族の事情を
広く聞くようにし
子供が他にいた例の
消防士の妻にも自ら尋ね
申請を迫ることにします
それでも80%に届かず
だめかと思って
富裕層の基金引き上げ
要求書にサイン・・しかけますが
可能性を信じていた若いころを
思い出しケネスは書類を突っぱね
事務所に戻ります
するとチャールズがケネスの
方針転換に対し信頼を示した
事で申請者が一気に訪れ
95%という数字を最終的に
残すことになりました
なんというか
映画だけ見てると
結局ケネスがナメてたんじゃん
としか見えないので
本当に本人に取材したのか?
と思ってしまうとこあります
(協力は得られなかったとか
どっかの記事で見た)
命の値段がどうこう
をもっと理数的に出してくる
シーンでもあるのかと思ったら
200万ドル!とかいきなり
言うだけだったり
ただ「折り入った個別の事情」
でしかなかったわけで
そこがズレてた印象
〇ンビ〇バボーでナレーション
つけて15分くらいでまとめたほうが
もっと出来よくなったかも
知れないと思うレベルの
史実ものだったかな
ただ冒頭の
ケネスは音楽聞いてて
気が付かなかったものの
列車の中で異常事態に周りが
ざわめいていくシーン
あそこだけはとびぬけて
良かったと思う
あそこだけで☆1個あげる